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楽器の改造について( #今朝の一言_ラッパの吹き方 )

毎朝7:30に荻原のX(旧Twitter)個人アカウントと、Facebook「ラッパの吹き方」ページに掲載しております「 #今朝の一言_ラッパの吹き方 」。トランペットや音楽について一言つぶやいております。
朝早い投稿なので見逃してしまうかもしれませんが、見つけたらぜひリポストやシェアで拡散していただけるととても嬉しいです。よろしくお願いします!

先日はこんなこと書きました。

僕は改造しない派

改造パーツというのは昔から出ては消えてを繰り返しています。
そうしたものを大きく分類すると、「質を変える」「重さ(形状)を変える」「追加/削除をする」と言った感じでしょうか。

以前改造パーツを付けている人に(イヤミとかそういうのではないですよ)、純粋な興味として「それを付けたらどう変わったのか」と質問したら、「音にまとまりが生まれた…気がする」と、何とも曖昧な返答が返ってきまして、いろいろ聞いても本人が漠然とした印象しか持ってなかったことが印象的でした。

もちろん主観で感覚的に良い、と思ったことを実践するのが悪いわけではありません。本当に良い方向に変わることもあるでしょうし、何よりもメンタル的に前向きになれば楽器を吹くのが今まで以上に楽しみになります。

ただ、個人的なことを言えば僕は積極的に楽器を改造しようとは思いません。それは、もう8年ほど使っている今のB管に関して、お恥ずかしながら未だベストな音を出せていると思えないからです。楽器の持っているコンセプトを完全に理解できていないため、この楽器が本領発揮するにはどうしたら良いか、今もまだずっと探しています。

楽器の持つ本質が理解できていないのに、それを改造するという発想にはどうしても至らないのです。

コンセプトのバランスが崩れる

売っている楽器はそれぞれコンセプトがあります。例えば、できるだけ原価を抑えるために必要最低限のパーツに限定し、製造過程を簡略した定価格帯の楽器があります。そうした最低限のクオリティを保った楽器は、とりあえず軽い気持ちで始めてみたいと思った初心者や学校備品としての購入に適しています。それを一概に「ダメな楽器」と呼ぶことができるでしょうか。

一方で音の質、響きの密度の高さを追求した高額な楽器もあります。金属の質や、どこにどんなパーツをどのように設置するかなど、プロ奏者と一流の製造者が協力し合って、様々なところに工夫を凝らして機能性やサウンドを時間をかけて追求する楽器は、当然それなりのお値段になります。

そうした楽器は監修した人の名前が「〇〇モデル」として商品名になっていることもあり、クラシック向きに響きの豊かさを追求したり、ジャズやスタジオでベストなパフォーマンスが発揮できるために考えて作られたりと具体的な方向性を定めて作られています。

そう考えると、市販されている楽器もコンセプトに従ってオフィシャルに改造されたもの、と呼んでもいいかもしれません。そうしたひとつの完成形をさらに自らの手で改造するということは、意図的にバランスを崩す行為であり、(僕の場合は)そこまでの知識や覚悟がないので怖くてできません。

何が起きて、どういった結果になるのかを把握する

楽器を意図的に改造する場合、主観だけでなく客観的な結果、例えば客席や合奏での周りへの聴こえ方についても問題がないか確認する必要があります。

例えば、ピストンのボトムキャップ(下のキャップ)を1つ少しだけ緩ませて音を出してみてください。同じ楽器とは思えないくらい抵抗感がなくなり、鳴らしやすい印象を持つかもしれません。
ピストンのケーシングの中も響きや抵抗感を作り出している重要な部分であるとこれでわかると思いますが、仮に奏者自身が軽く鳴らしやすいとポジティブに感じたとしても、響きの密度が下がったことで多分客席には届きにくい開い音、浅い音になっていると考えられます。
主観でどれだけ吹きやすいと感じても、お客さんにその良さが伝えられないのであれば、これはデメリットと呼ばなければなりません。また、抵抗感が軽すぎると楽器に空気を流し込みたくなってしまうので、オーバーブローによりアパチュアが内側から開かされ、口周辺の筋肉を必要とするためにすぐバテてしまうし、開いた音のためにハイノートやフォルテのピッチバランスはきっと不安定になります。一時的、瞬間的に良いと感じても、それが本質的にプラスに転じた良い結果なのかも見抜かなければ改造沼にはまってしまうだけではないでしょうか。

今回のお話は完全に僕の考え方を書いています。根拠も理論も検証もきちんとした上でポリシーもプライドも持ち合わせて改造をし、明らかに良い方向性に変化したと自信を持って言えるのであれば改造することも悪くないと思います。

とりあえず、練習、しましょうか。


荻原明(おぎわらあきら)

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荻原明(おぎわらあきら):トランペット
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