「大丈夫?」と聞かれてすぐに話せるわけじゃない。何気ない会話ができてこそ、話せることがある。聞いてほしいことがある。
一般高校に聴こえない私が入学した頃から、私はよく周囲に「大丈夫?」と声を掛けられるようになった。
私の聴力障害は重度であり、聞き取りはまったくできない。発音も不明瞭。そんな女の子が、一般高校のなかでどうやって学ぶのか周囲の大人たちは、想像もつかず心配にもなったのだろう。
ある日、教育実習の先生がきた。
教育実習の先生は、休み時間にも教室にいて積極的に生徒と会話をしていた。私がいつも一緒に過ごしていた級友とも話をし、私にも「何か授業上で配慮してほしいことはない?」と聞いてきた