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自分の感受性くらい

今日は、私の好きな詩の一つ、茨木のり子さんの詩をご案内します。
そして、おまけは自作の詩です。

  『自分の感受性くらい』 
                                            茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

だめなことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感性くらい
自分で守れ
ばかものよ



『友へのラブレター』 
          トロータ
書き連ねた言葉が
本当に言いたいことじゃなくて
心を探すように
言葉をたどる

ハグしたら
思いが届くような気がするの
「分かるよ 大好きだからね」って
「支えるからね」って

そして
Falcoのように
命の宿った言葉を
あなたに贈りたい
光の中で
あなたと笑っていたい


『願い』
       トロータ
仕事中 ふいに現れた 思いのかたまり
丸くなった小さな背中を洗いながら
思いが どんどん膨らんだ

このひとが 幸せでありますように
このひとの介護を通して
日本中の老女が
必要な介助を受けられ
笑って過ごせますように

戦争の体験
老いてなお続く試練
嬉しいこと 悲しいこと
それら全てが糧となって
報われますように

大きくなった思いは 熱いバブルになって
一瞬のうちに
私の身体を駆け抜けて 天に昇った


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