詩 : 聖なる夜 ~Night Divine~
クリスマスに降誕した
救世主は成功したのだろうか
磔刑に処せられたんだから
失敗したのではなかろうか
時の権力者にとって
突然現れた救世主は邪魔者でしかない
クーデターを起こされては困るから
本当に救世主なら
時の権力者でさえ歯向かえない
だから自分では手を下さなかった
救世主の仲間の一人を
お金で間諜に雇い入れた
一番弱い仲間が選ばれた
救世主は謀反の罪を着せられた
仲間は無実と信じていたから
冤罪だと疑わなかった
救世主は刑に服すると決めていた
磔刑は最も重い罪人に与えられる
それほどの罪だったのか
今の時代でも
抗議するだけで
死刑になる国がある
権力者に正論を説くものは
疎まれ憎まれ
極刑に処せられる
刑に処せられると
信じていた仲間は逃げ出した
巻き込まれたくなかったから
聖なる夜~Night Divine~に
思いめぐらせるのは
自分はどの立ち位置かということ
お金に目がくらんだ間諜か
刑が執行されると逃げ出した仲間か
権力者に従い糾弾した民衆か
喜ばしい救世主の生誕は
怖ろしい磔刑へとつながっている
そこからは信仰の世界
3日目に死人のうちからよみがえり
天に上り神の右に坐したまえりと
そう信じるところから
本当の信仰が始まる
絶望から栄光への逆転
生誕の喜びだけでは
祝会が始まってお開きになる
信仰とは全く無縁の世界
聖なる夜と言えるのは
聖別された者のみで
風物詩の祝会とは聖別される
どちらを選ぶかは信仰の自由
誰を選ぶかは正直の自由
どちらも誰も選ばないのも無垢の自由