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除電チューニング広まる

マニアからバス会社、ディラーも

マジ軽ナット タイヤ用が発売されて3年が経ちました。そこに至る経緯、発明されるまでのいきさつを書こうと思います。

最初の気づきは13年前の友人の言葉です。これはパンフレットに書いてありますが、「路面が濡れていると、車が静かでスムーズに走る」という事に気付いた友人が、私に問いかけたのが全ての始まりでした。

路面が濡れていると放電量が増えて、車体が除電されるのが始まり

路面が濡れていると水は導体だから、タイヤを通じた路面への放電量が増えるので、車体の帯電量が減る(除電)。その結果、スムーズに走る事に気づいたのです。
テストドライバーになる前、学生時代から車に発生する静電気をタイヤを通じて路面に逃がしている(放電)のは知っていました。
発生し続ける静電気の大部分は路面に逃げていると思い込んでいました。
当時は流れる先の材質まで考えていなかったからです。

写真は昭和の時代の大流行グッズで、車の後ろに取り付ける導電性のゴム製のアースベルトという物です。このタイプになる前は、単なる金属製のチェーンをぶら下げてシャラシャラ引きづりながら走っていました。
その点では、現代のドライバーより昭和のドライバーの方が「車で発生している静電気を逃がそう」という意識は高かった訳です。

ベストカーwebより引用

このベルトを付ける目的は、車から降りて車体に触った際の「パチッ」という放電現象が不快なので、それを防止する目的ですが効果は感じられませんでした。
ちなみにマジ軽ナットを付けると、そのような不快な放電現象はほぼ無くなります。
この頃は静電気で走行性能が低下しているとは誰も考えなかった。それに気が付く人が現れるには、世紀が変わり御代も代替わりした平成の時代、除電元年の2012年まで待たないといけません。

今から僅か13年前ですが、当時は静電気を除電すると物の動きが良くなると言うと「そんな事ある訳が無い」と言われたものです。まぁ、今でもそう言う人は存在しますが。
しかし自分のテストドライバーの経験からして間違いなく効果がある、そして面白い。当時は会社員でしたから、誰にも言わず様々な試作品を取り付けては走行テストをしながら通勤していました。
現在のマジ軽ナットシリーズもそうですが、試作品も目立たない。SNSで買ったパーツをこれ見よがしに自慢する方もいますが、私は目立たずに性能を向上させる方が好きです。会社でも一切バレる事なく走行テストをずっと続けていました。
後に特許を取得する友人の工場に寄る度に、新しい試作品が出来ています。試作と走行テストを繰り返して少しずつ進化して行きました。

市販品の加工ではなく、特許に繋がるアイデアが出たのは2013年の前半頃。私の車にはあえてそれを残しています。除電に興味を持った方にはその進化の経緯をお見せする事もあります。
市販品を加工したものでは放電効率が悪く、含有元素や形状、製造方法等の研究の結果、ほぼ現在の形状となりました。
もちろん、その試作品を取り付けて通勤がてら走行テストも続けていました。相変わらず誰も気付きませんでした。
いつの日か「これ、売りたいな」と思うようになりました。こんな事(除電チューニング)をしているなんて、他には絶対いないだろう。革新的な技術で様々な箇所で効果がある。それに最初から関われているし、今までの自分の経験が生かせるだろう。そう思うようになりました。
まさかトヨタ自動車も静電気の除電を研究しているとは、知る由もありませんでした。もちろん、特許を申請しようとしている事も。
その頃、友人のお客さんのつてで、福島県のトヨタディーラーでサスペンションを除電するナットの販売が始まったのが2014年。まだトヨタが除電の特許を出願する前の事です。

まだその頃は除電の効果や取り付け場所は手探りでした。電源を使わずに除電するという、今までに無かった技術ですから致し方ありませんが、それこそが貴重な財産で真似しようとして真似出来ない技術の深みになるのです。素人が除電の効果の高い箇所を探りながら、取り付け場所を決める。これはかなり敷居が高い。取り付けも今や男性でもネジをどちらに回せば締まる、緩まるのが分からない人もいます。
その頃は効果もあるし面白いけれど、同じ車を並べているディーラーか専門店の車屋さんでないと売るのは難しいと思いました。
それでも漠然と「いつかは売りたいなぁ」と思っていましたから、少しずつ勉強も始めました。ネットも活用しましたが、基本は様々な文献です。
ネットで調べるのは簡単ですが、あくまでネット上だけのもの。論文や文献もある程度は読めますが、そもそも専門用語が分からないと内容が理解出来ない。その他基礎知識や論理が分かるベースが無いと、ただ読んでいるだけではちんぷんかんぷん。
幸い基礎知識は車の構造には詳しいので、理解出来ました。

特許文献も今ではネットで簡単に読めますが、読んだだけでは何の役にも立ちません。
特許文献はその道の技術者が読めば、ある程度は書いてある先の奥の部分も読み解けますが、それでも全ては読み解けません。特許を取得した側からしたら、真似されて同じ物が作れないように隠して(書かない)いる部分が必ずあります。他の技術者が特許を盗もうと読まれる事は想定内です。
面白いのが素人の浅はかな考えで、努力をせずに簡単でとにかく上辺で何とかしようとする。なるべく努力をせずに同じ物を作れると思っているのです。
このような技術の模倣の失敗例は、お隣の国を見れば分かります。日本の新幹線の技術、米国の新型空母の電磁カタパルトの技術、最近ではAIのDeepSeekもそうですが、自己開発をせずに技術を盗む。開発コストがかかりませんから、似ている(別物ですが)ような物を安く作る、売る。でも似て非なる物なのです。
もちろん犯罪ですが、基礎技術の重要性をないがしろにしています。基礎技術とは様々な研究と試行錯誤や失敗も含まれます。技術というのは成功例だけではありません。これは表には出しませんが、それこそが命なのです。

車もそうですが、なぜ走行テストを繰り返すかというと、簡単に言えばダメ出しをする為です。いくら頭で考えてコンピューターを駆使して作っても、乗るのは人間です。人の感覚は十人十色ですから、その人間が乗ってダメ出しをする。様々な人が乗る事で広い報告を吸い上げて改善して行かないと、良い物は作れません。
物作りをした事があるなら分かるはずですが。
その頃、親が厄介な病気になり、数年間は除電どころではありません。趣味も殆ど出来なくなっていました。ひとまず、除電は横に置かざるを得なくなりました。

そして3年と少し前に工場の立ち退きで実家に帰ったはずの友人から電話がありました。「家にママチャリある?」、「あるけど、それより、まだ(こちらに)いるんですか?」、「おお、いるよ」、「タイヤ用を作ったんだよ」
てっきり実家に帰っていた(そう言っていた)と思っていたので、すぐに会いに行きました。
それはタイヤのエアーバルブで除電する新製品。これなら取り付け箇所とか取り付け方とか、工具も必要なく誰でも取り付けられる。

タイヤのエアーバルブで除電します

サンプルをもらい、その場で車に取り付けて走ってみました。とりあえずなので、初めに走った距離は100m程でしょうか。
走っては止まるを繰り返しました。次は少し長く走ってみる。これは車の特性を知る為に新しいテスト車両に乗る時に確認するやり方です。どの位の踏力でどの位ブレーキが効くのか。どの位アクセルを開ければどの位進むのか等、未経験の車でいきなりアクセル全開で走る等ということはしません。
同じ車種でさえ、初めは慣熟走行でその車に馴染む、プロなら当たり前の事です。

ほんの少しの走行でも三つの違いが分かりました。
①同じ踏力でもブレーキが途中から「グゥー」と効きが良くなる
昔、性能の良いブレーキで「真綿で締め付けるような」という表現がありましたが、同じブレーキングなのにタイヤを除電したらそうなったのです。
②エンジン音が静かになった
比較するのですから、もちろんオーディオは消して走行しています。エンジンの振動をタイヤがより吸収したのと、ロードノイズも含め静かになったのです。その為、ファンベルトやパワステベルトの音が際立ちました。
③コーナリングが更に良くなった(タイヤが付いてくる)
タイヤの前に足回りではサスペンションを除電していて、コーナリング性能は良くなっていましたが、更に改善しました。
正直、あんな小さなパーツで走りがこんなに変わるとはびっくりです。帰路でもオーディオは消したまま、効果を噛みしめるように走行しました。

今度はオートバイにも付けてみました。いつも走っているスピードが出せる道です。走り慣れた道なのに、タイヤの接地感が変わりました。路面に吸い付くというか、まるでシルクの道を走っているかのような滑らかなフィーリングが、ステップに乗っている足とシートに載っているお尻で感じられるのです。
次に友人に会った時に感想を聞かれ「何か、タイヤがシルクのような感じになった」と言ったのを覚えています。自分では車でもオートバイでも自転車でも変化が分かった、でも自分だけかも知れない。
ママチャリ(英式バルブ)用ももらったので、家内の自転車に黙って付けてみました。数日経って何か変わったかを家内に聞いてみました。
①何か分からないけれど、軽く走るようになった
②道路が良くなった
はマジ軽ナットを使っている方なら分かりますね。転がり抵抗が減ったので、少ない力でも同じく走れる。省エネでもあります。
では②はどういう事なのか?別に道路工事をやっていた訳ではありません、今までと同じ通勤路です。
説明すると、路面の凹凸をタイヤがより吸収してくれるので、スムーズに走れた。自転車に手を加えたとは知らないから、てっきり路面が良くなったと勘違いしたのです。
今ではタイヤに加えてチェーンも除電して、さらに少ない力で軽く走れるようになっています。

チェーンの除電も効果大

親の問題も片付き、ちょうど人生の節目に当たったタイミングで、タイヤ用が出来た。これなら工具も不要で誰でも取り付けられる。しかもタイヤは路面を駆動する唯一かつ重要なパーツです。
いくらエンジンやサスペンションの性能を良くしても、タイヤが良くなければ性能は発揮出来ません。タイヤは除電の一丁目一番地なのです。

これがきっかけでいよいよ販売する運びになりました。とはいっても、今から3年前は除電チューニングは全く知られていません。「乗って貰えば分かるけれど、説明しても理解してもらえない」という状況が続きました。
それでフリーマーケットに出店し、主催者の許可を得て自転車でマジ軽ナットあり/なしで比較試乗して貰うという荒技を始めたのです。
自転車に乗ってもらうと全員が軽く漕げるのは体感してもらえました。でもお買い上げに至るかどうかは別の話。
それで、除電を面白がるであろうマニアが早朝から集まる、エクスチェンジマートに出店を始めました。

出店すると「静電気の除電って何?」という人が殆どでしたが、私の説明を聞いて論理的に合っていると理解出来る人が現れ、怪しみながらもマジ軽ナットを使ってみる方の比率が明らかに増えました。
それから毎月出店し続けていますが、出店当初からヘビーユーザーになった方、通りがかりで興味を持ったユーザーさん、当ブログを読んで数百キロ先からはるばる高速道路を使って毎月のように通うお客さんまで出て来ました。
ユーザーさんの中にはマジ軽ナットを2個付けしたり、他の部分の除電にも興味を持たれ、除電チューニングの面白さにハマるマニアも出て来ます。これは自分がそうであったので想像通り。
今までに無かった面白さと同時に、コーナリングや走行安定性はもちろん、タイヤの転がり抵抗が減るので、摩耗の減少や燃費についてもSNSや直接連絡を下さるユーザーさんも出て来ました。
マジ軽ナットの2個付けは推奨していませんが、自動車とオートバイは同じ米式バルブですから、自動車を購入された方には「オートバイも同じ規格で使えます」とお伝えしています。

マジ軽ナットユーザーの中には「これは凄い、人に教えたい」と、「貸し出し用」を自腹で購入して、友人知人に広めて下さる方もいらっしゃいます。そのようなヘビーユーザ-さんが結構いまして、現在Hさんに4トントラックでの効果を確認してもらっています。
マジ軽ナットは基本走りを楽しむものですが、良い副産物があって、タイヤの性能が上がるのに、転がり抵抗が減るので摩耗も減るのです。転がり抵抗というのは、タイヤが回転する際にその動きを邪魔をするもの(抵抗)の事です。
例えば、滑らかに回転させるためのベアリングですが、中にはグリスが入っています。グリスは硬めの油ですから抵抗がありますが、静電気が帯電すると更にグリスが硬くなる(トヨタの除電の特許より)ので、抵抗が増えます。
それを除電してあげれば、粘度上昇が抑制されるので、少ない力で回転する。
これはオイルも同じですからサスペンションを除電すると、少ない力で伸縮するので走行性能が良くなります。
そして無駄に消費していたエネルギーを走る事に使えるようになる。マイナスを減らすだけでなく、その分がプラスに使えるのです。

NSR250Rのフロントフォーク(マジ軽バンド)
XJR1300のリアサスペンション(汎用マジ軽ナット)

マジ軽バンドの発明で、対象物が円筒形のインナーチューブやマフラー、インシュレーターも除電出来るようになりました。

トヨタPIXIS(ダイハツ アトレーOEM)のインシュレーター(マジ軽バンド)

それだけではなく、部品が少ない力で動くと摩耗が減り、負荷が少なくなりますから、部品が長持ちします。
一見相反するように思えるかも知れませんが、マイナスを減らす事でこのような事が起きるのです。

前述の Hさんはタイヤショップ勤務、会社ではタイヤを運ぶのに4トントラックを使っているので、マジ軽ナットの事を良く知っている Hさんに様々な条件、空荷やフル積載等の実際に使う状況での効果を確認して貰えるか打診したところ、快諾して下さいました。
最近はバスやトラックで試してみたいという広がりもあります。マジ軽ナットシリーズでの除電を授業に取り入れている公立高校の先生ルートで、バス会社で試す話も出ています。
バス会社はこれもマジ軽ナットのヘビーユーザーで、スーパーカブのエンスージアストのトモさんがバスのドライバーをされていた時に、マジ軽ナットの話を整備担当に話したそうですが、頭が固くて聞く耳を持たなかったそうです。もったいない話です。
マジ軽ナットならば、個人営業の宅配業者やタクシーでも十分元が取れます。ましてバスやトラックを何台も運行している会社ならば、タイヤの摩耗が抑制されるだけでも、年間で大幅なコストカットになります。毎回整備記録を残していますから、一目瞭然でしょう。

同様に先生ルートで、大手自動車ディーラーに勤務している、自動車科の卒業生のリポートが届きました、何と一級整備士さんですから、信頼出来ますね。
マジ軽ナットタイヤ用に加え、マジ軽バンドも送って下さり試してもらいました。
インシュレーターにマジ軽バンドを付けたそうです。それだけで、アイドリングが若干上がった。
これは、ゴムと空気の摩擦で静電気が発生すると空気の流れが悪くなります。下敷きを擦ると髪の毛がくっつくように、ゴムに吸い寄せられてスムーズに流れなくなります。
それを除電すると流れが良くなりますが、回転数の上昇が若干であったためにコンピューターが制御するまではアイドリングが上がらなかったと考えられます。
ショックアブソーバーに取り付けたら、路面からのゴツゴツ間が減って、いつも衝撃で録画を始めてしまう場所でも、ドライブレコーダーが作動しなくなったそうです。

ショックアブソーバーに汎用マジ軽ナットを取り付けた例

振動の軽減は、ドライバーにもメリットがありますが、お客さんを乗せている仕事では一種の乗客サービスです。そのような事もあってバス会社も興味を持っているのでしょう。タイヤに加え、是非ラジエターホースも除電してみて欲しい。

エアクリーナーの後ろ側(インシュレーター)、インタークーラーの入口と出口とマフラーにもマジ軽バンドを取り付けて、エンジンの吹け上りや加速が良くなるのは予想通り(それが凄い)で、排気音が若干低減したとの事。はい、そうです。
この結果を受けて、別の車でも試してみたくなったそうです。それはもう、車は売るほどありますから。
このように、乗り物の技術的な知識のある方、新しい技術に興味がある方が、本物の除電チューニングに興味を持つ事は自然な流れなのです。

今日のような寒さで雪になっている地域も多いです。タイヤのゴムが硬化する原因は経年劣化と低温は知られていますが、もう一つ静電気の帯電があります。オイル・グリスと同様に、帯電でゴムの分子の動きが悪くなります。


雪道でのグリップが悪くなる要因の一つ、静電気を除電する事でタイヤの性能が一定程度回復出来るのです。

マジ軽ナットはLED電球と似ています。少しお金を出せば、無駄に使っているエネルギーを減らして、長く使える。白熱電球に戻す人はいません。
違うのはLED電球は面白くはないですが、除電は面白い。
除電チューニングが広まるにつれ、偽物や模倣品が出回っています。
マジ軽ナットは特許製品、自動車の技術サイトにも掲載されている他、ホンダのエコランカー、県立工業高校の授業でも採用されている「本物」です。
偽物を購入されても効果はありません、除電の理論が分かっていないからです。

除電チューニングの入り口はタイヤからです。BASEの各商品画面をクリック(タップ)すると、説明写真の下に「レビュー」があり、マジ軽ナットのインプレッションを読む事が出来ます。タイヤの除電の体験を読むだけでも価値があると思います。

マジ軽ナット 自動車用とオートバイ用のみメルカリでも販売を始めました。他はご相談下さい。
メルカリのホームページで「マジ軽ナット」と検索して下さい。たまったメルカリポイントで購入される方も増えています。

お知らせ
テレビ東京系列のドラマ「風のふく島」でオートバイ トライアルの回が放送予定です。福島県に移住した人をモデルにしたオムニバスドラマです。
その第5話「川内村」では、モデルはトライアル小冊子「自然山通信」の編集人である西巻氏。2010年頃に福島県川内村に移住して、村の人達と交流を深めつつトライアル文化を広め、今では川内村でトライアルを開催しています。
相模川クリーンナップトライアルでお世話になった方でもあります。
放送は2月7日(金)24:24~25:13 という事は、実際には8日になってすぐの放送時間ですね。
トライアルは全てのオートバイの基本技術が詰まった競技。ロードレーサーでも習っている人もいるのです。番組の宣伝なので、自然山通信の告知の一部分だけ公開します。


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