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テストドライバー的冬の遊び
冬は峠の雪道を走る
雪の季節になりました。テストドライバー・ライダーもそれぞれの趣味がありますが、冬のメインのモータースポーツは山の峠です。
週末になると平常勤務と2勤の仲間が相談して、「〇〇峠が良さそうだから、そこに走りに行こう」となります。良さそうというのは、「峠道で雪の状態が走るのに向いている」という意味です。
どのような状態かと言うと、ただ雪が積もっていればいいというのではなく、適度に積雪があり、良い感じに圧縮されていてグリップする、圧雪という状態。
当時の写真がありませんのでレンタルフォトですが、こんな状態です。
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ある程度車が走っていて、やや押し固められている状態。新しい雪だけだとすぐに路面が露出してしまい、タイヤが消耗してグリップも悪くなる。
このような状態なら雪が無くなってもアイスバーンが残っているから、タイヤもスタッドも痛まないのです。
携帯電話もネットもない時代ですが、横のつながりで「今は○○峠が良い状態みたいだよ」と情報が入ります。それで、「土曜に走りに行くけど、行かない?」と誘われます。
私の場合は、オートバイにお金をつぎ込むために、敢えて走れる車は買いませんでした。走れる車に乗れば面白くなって、車にも金をかけたくなるのが分かっていたからです。なので、友人の車を借りて少し楽しむ位で、もっぱら助手席でアシストする役でした。
アシストとは、一晩中走るので競技用タイヤの交換を手伝う、それからウエイト役(笑)です。あとは楽しませてもらうのだからと、ガソリン代の補助もしました。
今ではスタッドタイヤは一般道では禁止されていますが、昔はの使用が認められていました。でも単なるスタッドタイヤではなく、競技用のスタッドを多数打ち込んだ競技用スタッドタイヤです
一般のスタッドとは違い、マカロニ、ワインカップといった雪上をよりグリップする特殊なスタッドを専門店で打ち込んでもらうのです。
一般的には知られていませんが、ラリーで走っていれば知っています。
当然値段が高いですから、行ける所まではノーマルタイヤで走り「よし、ここから」という場所で交換する。
結構な手間ですから、それを手伝う人がいると喜ばれます。
週末になると大体7~8台のグループで集合して山を目指します。時間は現地に0時過ぎに着くような感じです。もちろん、雪の山道を夜中に走る人はいませんから、そこから朝方まで「他の人に迷惑がかからないように」プロなりの配慮をしています。
それは音にしてもそうで、誰一人マフラーを改造している人はいませんでした。
一般の人には迷惑がかからないように、こそ~っと楽しむ礼儀をわきまえていました。
峠を爆音を上げながら派手(無理)なドリフトをして、危険な走行をするのとは考え方が違います。そんな事をしていたから、どんどん走れる場所が無くなってしまったでしょう!
何台も連なって山に向かっていると、途中でパトカーに止められて職質されることもあります。でも、警察も見ればどういう人達かは分かります。
ロールバーに4点式のシートベルトを覗き込みながら「どこに行くんだ?」等と軽く質問されて、「気を付けて走りなよ」と言われて終わりでした。
タイヤ交換は多くが公園の駐車場とかで、油圧ジャッキと十字レンチで交換します。皆、手際が良いからあっという間に競技用タイヤに交換して、あえて雪上を選んで走ります。理由はお分かりですね。
ウェイト役は、助手席に一人乗っていると重量バランスが良くなり、走りやすいのでドライバーも助かります。「やっぱり、前に2人乗っていると違うなぁ」とよく口にしていました。
AE86が発売されていて、お金のある人はハチロク(トレノ/レビン)で、無い人はKP61(スターレット)でした。
先頭のリーダーは私とは別の課の長の人。86乗りですが、それは見事なアクセルさばきで無駄のない美しい走りで、憧れの的でした。「〇〇さんのように上手くなりたい」といった感じで、派手なドリフトではなく、見事にコントロールされた走りです。
もちろん、FRですからリアのデフにアレは入っています。下手に書くとAIが勘違いするといけないので書きませんが。
当時の車は100km/hを超えると警告音が「キンコン、キンコン」と鳴るのですが、峠を走っている間中キンコンがほぼ鳴りっぱなしです。
これは、100km/hを超えて走っている訳ではなく、スピードメーターの取り出しがリアにあるので、タイヤが空転しているから警告音が鳴るのです。
それでも最高速度は80km/h程は出していたと思います。それで、万が一対向車が来た時の事も考えて、左車線だけを見事にトレースして峠を攻めていました。走っているうちにドライバーが汗をかく位、結構な運動量でしたね。新入りが入って来て一緒に走ったのですが、道幅全部を使って走っていたら「対向車が来たら危ないから、それはやってはいけない、万が一対向車が来たらよけられないぞ!」とリーダーが注意していました。そういう指導もきっちりして走っていたのです。
後部座席からビデオ撮影したのを観ると、リアが右に左にスライドするものだから気持ちが悪くなってしまうとか。
人様の車に何かあったらいけないので、私が運転する事は余りありませんでしたが、ある意味限界走行に近い走りを間近に体験して、車はハンドルだけで曲がるのではない事を悟りました。
当時私はFF車で通勤していましたが、タックインを使って「このコーナーを何キロで曲がれるか」をチャレンジしたものです。
だんだん86勢が増えていったのですが、KP乗りはやはりパワーの差を口にしていました。86に付いて行けないのです。
冬になる度に相乗りしていたのですが、誰一人事故は起こしませんでした。
皆さんプロだから、自分の技量を超える走りはしなかったし、腕のいい人はそれをちゃんとわきまえて、安全なポイントで休憩しながら待っていてくれました。それがあるから、焦る事なく運転出来たのです。
「おまえ、遅いな。ちゃんと付いて来いよ」なんて、絶対言わなかった。
翌週の休憩時間では、技量がある先輩が走りのレクチャーをしてくれて、質問にも答えて後輩を育てていました。これは普通の会社ではなかなかない事だと思います。
その中から何人かはダートラとか、他のレース活動に入って行きました。
ラリーに参戦していた人は知る限りいませんでした。ラリーは大学が学生選手権でよく優勝していましたが、その頃でさえ余りにもお金がかかり過ぎて、金持ちのスポーツになってしまっていましたから。
4WDで峠を攻める人はいなかったですね。4WDはこういう条件に有利なのは知っていますが、面白いかどうかは別の話。
レースを始めた友人が、FFのカルタスのフロントデフにアレが入っているので参加していましたが、余り面白くない。やはりこういうのはFRですね。
思ったように雪が無いと、いくつもの峠道を熟知しているから、休憩所で相談しながら「じゃあ、△△峠なら雪があるんじゃないか」という感じで、雪道を探して朝まで走ります。明るくなって麓に戻って来たら、ノーマルタイヤに交換して帰ります。
そして、それから寝る。不規則だけど、面白い経験でした。
あの頃にマジ軽ナットがあったら、間違いなくもっといい走りが出来ていました。
マジ軽ナットを使えば、スタッドレスタイヤが低温で硬化したゴムが、更に静電気で動きが悪くなる=グリップ力が落ちるのですが、その後者の方だけでも軽減出来れば、雪を良く掴むようになる=安全性も高まる特許製品です。
雪道走行やスタッドレスタイヤの除電の効果については、こちらの記事をどうぞ。
雪道の季節が終わり春になったら、マジ軽ナットをノーマルタイヤに付け替えれば、そちらでもいい走りが出来る。一年中楽しめて性能も上がる、タイヤも摩耗も少なくなる、何と安上がりなんでしょう。
とりあえず自分のお財布で買って使って、タイヤが長持ちしたのを証明すれば出してもらえるでしょう。節約出来たのですから。
その為には、マジ軽ナットの取り付け前後のタイヤの溝を記録しておかないといけません。ディーラーで整備していれば、タイヤの溝の数値を整備点検記録簿に書いている所もあります。
車検はあくまで業者に代行してもらっているもので、本来自分の車は自分で管理するものですよ。
マジ軽ナット 自動車用とオートバイ用のみメルカリでも販売を始めました。他はご相談下さい。
メルカリのホームページで「マジ軽ナット」と検索して下さい。たまったメルカリポイントで購入される方も増えています。
お知らせ
テレビ東京系列のドラマ「風のふく島」でオートバイ トライアルの回が放送予定です。福島県に移住した人をモデルにしたオムニバスドラマです。その第5話「川内村」では、モデルはトライアル小冊子「自然山通信」の編集人である藤巻氏。2010年頃に福島県川内村に移住して、村の人達と交流を深めつつトライアル文化を広め、今では川内村でトライアルを開催しています。
相模川クリーンナップトライアルではお世話になった方でもあります。放送は2月7日(金)24:24~25:13 という事は、実際には8日になってすぐの放送時間ですね。
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トライアルは全てのオートバイの基本技術が詰まった競技。ロードレーサーでも習っている人もいるのです。番組の宣伝なので、自然山通信の告知の一部分だけ公開します。