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テストドライバー的異音の確認方法   その1

プロはこうしています

車で走っていると異音がする事があります。足回りから発生する事が一番多いと思いますので、その特定方法を書きます。
先日、車で走っていて左にハンドルを切ったら小さい「シャンシャンシャン」という音が聞こえました。
「おっ、音が出ているぞ。どこからだ?」異音は場合によっては危険信号ですから、すぐに特定する必要があります。テスト走行では、程度によっては走行を中止して整備場に戻らないといけません。

ハンドルを右に切っても音はありません。という事は、左のフロント周りの可能性が高いというのが、第一段階。でも、まだ特定には至っていません。単に運転席側の窓だけ開けて確認したつもりで「運転席側、それも前の方だ」と決めつけてしまうのが素人あるあるです。
テスト走行をしていても異音がする事象はよくあります。テスト内容にもよりますが、データ測定でもない限り2名乗車はまずありません。

「一人でどうやって異音の発生場所を特定するの?」と思われるでしょうから、その方法をご紹介します。
足周りからの異音の多くは、小石がディスクブレーキローターとそのバックプレートの間に挟まり、ディスクローターと干渉(接触)したり、振動で動いて音が発生するというのが殆どです。砂利の駐車場に停めている場合によくあります。

パックプレートとディスクローターの間に小石が挟まる場合が多い

ドライバー以外に誰かが乗っていれば、判断を手伝ってもらっても構わないのですが、正確な判断が出来る人でないとかえって誤った判断になりかねません。そこは注意が必要です。これから書くのはドライバー一人で特定する場合です。
足周りに異音が出たら、まずは窓を全開にします。発生している音の大きさと種類(音質)を確認します。
前述のように「シャンシャンシャン」という連続音は、タイヤ周りの回転系に何かが軽く触れている音の可能性が高い。「カラカラ」する音なら小石が載ってしまい、振動でバックプレートに当たる音か、ストラットのスプリングを載せている皿に入って跳ねている場合が殆どです。

この皿の上に小石が載るとカラカラと音がする事が多い

これが、「ギ―」という音なら何か固い物が挟まっていて、強く当たっている可能性が高い、「ゴロゴロ」、「グー」という連続音ならベアリングの可能性があるので、共にすぐに走行は止めて確認が必要です。
このように音質である程度の危険度を判断する事が可能です。

異音はエンジンルームからという事もあります。一度停止してアクセルを煽る、それで回転に応じて異音が変化するなら補器類も含めてベアリングやベルト、タイミングチェーンという場合もあります。エアコンを入れたり切ったりして”どこから発生しているのか”の絞り込みをします。
音質と音の大きさで”走行を続けても良いかどうか”を判断します。
今回は軽い音なので走行しながら次の段階に進みます。
音が発生するのはハンドルを左に切った時のみ。左折しながらハンドルの切り角を変えてみます。大きく切った場合と余り切らない場合の音の変化を見るのです。
それで、ある程度以上ハンドルを切った場合のみ音が発生するのを確認しました。

発生している音が、タイヤやディスクローターの回転と連動しているかどうか。バックプレートとディスクローターの間に何かが挟まっていれば、回転と連動した音になります。ただ足回りに何かが載って振動で当たっているのなら、回転音にはなりません。
タイヤの回転に応じて異音も変化するのを確認しました。

次に前後の窓を全開にして走行します。これをしないと自分に一番近い所=発生箇所と誤認し易いのです。国産車は右ハンドルだから「右フロントから音がしている」と判断してしまう人が多いのです。
窓を全開にして走り、音が右側か左側かを判断します。この判断には左右のハンドルの位置による音の大きさの違いも加味します。当たり前でしょう?もうひとつ、公道なら静かな住宅街等の塀のある道路を走るのです。
コンクリートやブロックの塀は音をよく反射します。安全を確認しながら運転席が右側ならば耳を前後方向に向ければ、どちらからの音かは判断出来ます。運転席の反対側となるとそれは出来ないので、横を向いて頭を車の前側/後側に移動しながら反射した音の大きさを確認します。
上半身ごと動かせば、だいたい80㎝位は頭の位置が動かせるので、音の大きさから前からか後ろからかを判断出来るはずです。
テストドライバー時代から足周りからと思われる異音の場合は、このように塀のある場所に行って一人で音源を確認し、テスト走行を続けるかどうかの判断をしていました。このようなノウハウは先輩から後輩へと伝授されていました。今でもこのようにして判断しているはずです

今回の発生箇所は”左のフロント足周り、回転部分に何かが触れている。
それもハンドルの切り角で音が変化するから、小石ではなさそう”
というところまで絞り込みをしました。近場の用足し中なので、「家に戻ったらタイヤを外して確認するか…」と走っていたら、音がしなくなりました。
左折はハンドルの切れ角が大きい、右折はその逆ですから、わざと右左折しながら確認していたのですが、音がしなくなった事でどこに何が挟まっていたのかは確認出来なくなりました。
前日は台風のような嵐でしたから、飛んで来た枝か何かが入り込んで挟まったのでしょう。それが左にハンドルを切るとつっかえ棒のような形で、バックプレートが押されてディスクローターに干渉したのだと思います。木の枝では「シャンシャン」という音は出ません。薄い金属が軽く擦っているような音です。

このように、経験に応じて何でもかんでも人に頼るのではなく、自分の能力で出来るところまではセオリーに従って判断する事が大切だと思います。
近年、情報はSNSが主流になり、それも画像が中心になっています。
見ただけで知っていると勘違いし易い時代だからこそ、基礎的な知識や経験、技術がある人は強い。

静電気の除電でスーパーカブのミッションが3速から2速に急に入ってしまうというトラブルが解消したMさん。いきなりこのようなDMが届きました。

最初の連絡がこれなので、何がなんだか分かりませんでした

一体どのような事かと聞きました。スーパーカブで3速70km/h位で走っていると、突然2速にギアダウンしてしまうのだそうです。そんな状態で群馬のカブミーティングに埼玉から行くとは知りませんでした。

写真の通り、チェンジペダルの固定ボルトを、マジ軽ボルトに交換しただけです。ミッション用マジ軽ボルトはチェンジペダルから機械的に繋がる、シフトメカニズムやミッションを除電します。この効果は多くのギアが回転しながら擦れ合うミッションで発生する大量の静電気を除電します。

放電素子がダブルになっています

機械は動くことで静電気が発生し、ミッションのオイルに静電気が帯電するとオイルの粘度が高くなります。オイルの粘度が上がれば各ギアを動かすのにより力が必要となります。つまり、動きが悪い。
それ以外にも要因はあります。距離を走っていますから、ギアを固定しているサークイップのガタやシフトドラムのガイドピンの摩耗もあるでしょう。
いくつもの要因に含まれる静電気の影響を取っただけで、2速にギアダウンする症状が出なくなった。
おそらくは、様々な要因でシフトドラムかミッションの特定のギアの動きが悪く、3速のギアのドッグが100%噛合っていなかったのでしょう。
本人はマジ軽ボルト一本でクランクケースを割ってミッションをオーバーホールせずに済んだと大喜び。「根本的に直った訳ではありませんよ」と釘を刺しておきました。
Mさんはとっくにマジ軽ナットシリーズのヘビーユーザーでしたが、これを機会に更に「次はどこをやったらいいですか?」と、次々除電チューニングを進めています。

テストドライバーは思い込みを排除して、何が原因でどのような事象が起ったのか評価出来る能力が不可欠です。ですから「大丈夫、テストしていますよ」と言っています。
このように自分の経験を活かしながらマジ軽ナットの販売をしていますが、今でも少しずつ性能は上がっています。小さな事を積み上げる努力は惜しみません。
以前からやりたかった「除電での排ガスクリーン化」の実証実験がやっと始められるめどが付きました。ちなみに、私の古い過走行のトランスポーターですが、CO値はずっと0.00です。
同じ作動をするのに少ない力で済んで、燃焼が良くなったら、同じ排ガスになる方がおかしい、そう思いませんか?

お知らせ
10月13日(日)
モビリティーリゾートもてぎで開催される、Honda エコマイレッジチャレンジにてマジ軽ナットシリーズが展示されます。
高校生のクラスに参戦する神奈川県立平塚工科高等学校のエリアで、マジ軽ナット タイヤ用や、マジ軽ボルト・ナット・バンド等をご好意により展示して下さるそうです。
中学生の皆さん、高校で静電気の除電を学べるのは日本(おそらく世界でも)ではこの高校しかありません。現在は自動車科のみですが、そのうち加工技術や電気科にも広がって行くと思います。何しろ先生方の間でマジ軽ナットが流行っている位ですから。
学校のサイトを覗いてみて下さいね。これから必要になる技術ですよ。
エコランのレース車両には下のステッカーが貼られています。

フォーミュラーレースマシンにも貼られるかも知れません

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