やってみよう、不整地でのランニング!
不整地走とは
不整地走。
ランニングについての情報収集を行った方なら、一度は聴いたことがあるトレーニングかと思います。
その名の通りアスファルトやトラックなどと違って土や芝生、砂利、ウッドチップ、砂場、雪、ぬかるみ、砂など不安定な路面で走る練習です。
またの名をクロスカントリーといいます。
不整地でのランニングは導入が簡単であるにも関わらず、様々な利点があります。
以下に利点を挙げていきます。
利点
体幹が鍛えられる
膝への負担が減り故障しにくくなる
集中力が養われる
フォームが良くなる
心身がリラックスする
足首周りが強化され怪我のリスクが減る
それぞれ説明しましょう。
・体幹
不安定な路面で走ることにより、重心が不安定になり、自ずと身体がバランスを取ろうとします。
すると自然と体幹を使うことになりますし、舗装された路面よりも体幹を意識するのが容易になり、鍛えることが出来ます。
・膝への負担
不整地の方が路面が柔らかく、衝撃を吸収してくれるので膝へのダメージをかなり軽減してくれます。
特に膝に問題を抱えている方、体重が重めでダイエットをしたい方は、普段のジョグを不整地で行うとダメージが減るかもしれません。
・集中力
不整地は少し誤ると転倒したりする可能性があるのでロードでの練習よりも自然と集中することになります。
ただ、これに関しては気楽な方が長く続くという意見もあるでしょうし、賛否両論かも知れません。
・フォームの改善
不整地は衝撃が吸収されてしまう為、地面の反発を利用して進むことが難しく、自らの筋力を使って走らなければなりません。
また、凸凹した路面で走ることで全身にストレッチ効果が期待でき、柔軟性が増して体幹の強化も相まってより安定した効率の良いフォームの獲得に繋がっていきます。
可能なら坂のある不整地の方が筋肉をダイナミックに動かせるのでストレッチ効果も高いのですが、必ずしも必要というわけではありません。
・心身のリラックス
場所にもよりますが、不整地は農道だったり川沿い、森の中など大抵自然の多いところにあることが多いと思います。自然の中でのランニングは心理的にリラックス効果を与えてくれます。
また、人も少ないのでプレッシャーなども感じにくいかと思います。
・足首の強化
路面が平坦では無いので、ロードと比べてかなり足首を使うことになります。結果足首周りが鍛えられ、柔軟性も向上するので捻挫の予防に繋がります。
不整地走にはこれだけの利点があるのです。
気になる方は普段のジョグを週2回不整地で行ったり、ポイント練習の翌日のリカバリージョグを不整地で行う、といった形で取り入れていきましょう。
これだけ利点がある不整地走ですが、当然欠点もあります。
欠点
疲労が溜まりやすい
出来る場所に限りがある
強度を上げにくい
転倒しやすい
足首を捻る
足首を捻る
足 首 を 捻 る
……順にみていきましょう。
・疲労
普段使わない筋肉を使いますし、ちゃんと筋肉を使わなければ体が進みません。集中力も使います。
その為普段よりも距離は長く、慣れるまでキツく、疲労も感じると思います。
・場所の制限
特に都心や住宅街となると、舗装された道しかない場所もあると思います。
その場合不整地に行く為わざわざどこかに出かけなければなりません。
モチベーションが高いならともかく、やはり日課となるとこの様な積み重ねが響いてきます。
・強度を上げにくい
スピード練習などはあまり出来ませんし、速く走ることも難しいので、路面とは別物だということを考慮する必要があります。
一応心拍数は上がりやすいですが、速度を上げる場合後述する怪我のリスクが大きいので、ジョグやイージーラン以上のペースの練習は慣れるまで推奨できません。不整地走には筋肉の負荷など他に効果があるものの、最大強度で言えば路面やトラック練習には劣るでしょう。
・転倒しやすい
当然安定しない路面なので、転倒するリスクは通常の道路よりも高くなっています。一応地面が柔らかいので転倒しても大事に至ることは少ないかと思いますが、集中力を切らさないよう気を付けましょう。
・足首を捻る
・ 足 首 を 捻 る
・ 足 首 を 捻 る
これが、この練習最大の欠点です。
ガチで捻ります。
慣れてきた時、ふと気を抜くと捻ります。
数ヶ月経って流石にないだろう、と思い始めた矢先に捻ります。
見えない謎の草やら枝に引っかかって捻ります。
なんなら下を向いて地面を見て走っていても捻ります。
本当に足首の捻挫、そして捻挫までいかずとも捻って靭帯が伸びる程度は起こります。
一応靭帯が伸びた程度なら慎重にすれば数日でロード練習なら出来ると思いますし、足首のサポーターを利用すれば何とかなりますが、それでも数日間は練習できなくなってしまいます。
捻挫はもっとタチが悪く、下手をすれば松葉杖。復帰に月単位でかかることでしょう。
もう一度言います。ガチで捻ります。これだけは本当に注意が必要です。
対策としては、足首のストレッチやドリルを練習前に行うこと、不整地でのランニングを始めたての頃はあまりスピードを出さないこと、入浴後などにもストレッチを行って柔軟性を高めることがあります。
どれも大して時間がかからないので、不整地で走りたい方は日々行っていきましょう。
また、集中力を切らさないことも重要です。なるだけヒヤリハットの回数を抑えていきましょう。
総括
不整地走は捻ることさえ無ければ、走る場所を変えるだけにも関わらず非常に高い効果があるトレーニングだと言えます。
海外で盛んに行われている『ファルトレク』は、不整地など自然の地形を利用することが推奨されていますし、昨今世界の長距離を席巻しているアフリカ勢は、大抵舗装されていない不整地でトレーニングを積んでいます。
田中希実選手のケニア合宿を見てみれば、彼らがどのような環境で練習を行っているかが分かるかと思います。
ランニングの古典的名著、『リディアードのランニングバイブル』でも、不整地走はクロスカントリーとして熱心に推奨されています。
経験則的に成果が現れるのは少なくとも1ヶ月後、目に見えて変わるのは数ヶ月後になるでしょうが、トップ選手も取り入れている練習法です。
少しでも興味があり、不整地のある環境に恵まれている方はぜひ、取り入れてみて下さい。