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推しにファンサをしようと思う

ファンサという言葉を理解している人は「お前、何様?」と思うかもしれん。

ファンサとは、造語、和製英語でファン(推し)が、推し活者に向けて行うサービスのこと。
である。

なので一般的な使い方で考えると、私のつけたタイトルは思い上がりも甚だしい恥ずかしい女である。
例えば、推しも自分を推してくれていたら成立するかもしれないが、日陰の筋肉好き女を私の推しの侑太郎さんは知る由もない。

別に知らんでいいしな。
侑太郎さんは元気に生きて、少しでも長くアスリートとしてバスケを楽しんで笑っていればそれでいい。

毎日元気にバスケして筋トレして、筋トレしてバスケして。
サウナ行ってツルツル艶々のいつまでも新米(美味しい米という意味で)でいてくれれば何も思うところはない。

だからと言って、黙っているのは変態の名が廃る。
変態たるもの、好きな人から摂取できる栄養で心と目を肥やし、開幕戦をまだかまだかと待ち侘びながら、プレシーズンマッチを隅々まで血眼でストーキングする毎日で飽きてどうする。

何かが足りない

そこで私は、白米を噛み締め、もりもりと一駅ウォーキングし、駅前のコンビニでオイコスを飲み、脳みそを筋肉にして考えた。

ファンとは、芸能・スポーツなどの熱心な愛好者。また、特定の俳優・選手・人物・団体などをひいきにする人。

大辞林より

サービスとは、相手のために気を配って尽くすこと。奉仕。貢献

またまた大辞林より

時間や金を割いて推しを応援し、その見返りにファンサを受けるのは、もよおせばトイレに行くのと同レベルの行動。
更に、応援うちわ、ボード、写真、SNSでの拡散は、マーケティングにもなるし、それを目にした推しのモチベーションにもつながる。
そこから認知され、自分へのお手振りや「来てくれたんだ!」的な他のファンとの格差も生まれる。

そこに嫉妬は生まれにくい。
ファンは、他のファンがいかに自身のお金と時間、労力を注ぎ込んでいるかが数値化して分かるからだ。

認知度スカウターを通常オプションで装備している、戦闘民族と言っても過言ではない。
そして常にライバルであり、盟友の戦闘能力を意識しているのだ。
中にはファン同士の熾烈な戦いがコート上でティップオフし、公式戦どころでなくなっている場合もある。
本末転倒だが、それも含めて推し活ではある、実に嘆かわしい。

その立ち位置から見ると、私はフリーザ様の言葉を借りればゴミだ。
多分、ムスカの言葉を借りてもゴミだ。

だが、ゴミにはゴミのカッスい言い分がある。

向いてる力の方向が違うねん。

「私、侑太郎さんにファンサしようと思う」

駅に到着した私を車でピックした姉は飛行石を初めて見たポム爺さんみたいな目で私を見た。
またしょうもない事やる気やな、と。
でも姉とてそれが嫌いではない。
「詳細を聞こうじゃないか」


私たちファンは、日々推しを摂取するを考えている、猫と推しは吸うもの、そして心の安定を維持する。
ちなみにだが、私は推しの筋肉を吸うので自分の推し活を「肉吸い」と呼んでいる。
高級感もあって良い。

その為に私達は、動画、静止画、ライブに試合、プライベートのこと、SNSなど心の至福を肥やすために追い続け、拝み現地に赴けば「お手振り」「きゅん」などをやってくれと、うちわや応援タオルをぶん回してアピール。

応援されることは嬉しい、モチベーションになる。推しもそれで満足だろう。

姉から聞いたある推し活女子の言葉をここでお伝えしたい。
「推し活費は、推しが光り輝いて自分を照らしてくれる光熱費やから、生活費なの」

素晴らしい、と思う。
私達が推し活をする事で推しのワット数は上がり、自分達の私生活のワット数も上がる。

推し活は推しのため、延いてはそれでファンサをもらえる自分のため。

凄くいい循環だと思う。

でもなぁ、と私は頭をひねる。

ファンクラブに入る、試合を観に行く、グッズを買う。
それ以外で出来る何か面白いことってないかしら?

今の私は美しい侑太郎さんの筋肉でぶくぶくと至福を肥やした、少しの重めの変態でしかない。

私はもっと、軽い、羽のような変態やったやんか?
蝶のように舞い、蜂のように刺す変態やんか。

姉は静かに頷いた。
そしてコーヒーを飲みながら私に提案をした。

「そうや。あんた来月、誕生日やん?
ネタバレするけど、侑太郎さんのアパレルブランドの服プレゼントするから好きなの選んどいて」

侑太郎さんは自身のアパレルブランドを持っている。
素材と着心地にこだわった合わせやすいシンプルなデザインは、洋服を着心地で選ぶご本人の意思を強く感じる仕上がり。

これ着て写真撮って、ブランドのハッシュタグつけて投稿すると、侑太郎さんがお礼を込めてタグ回収し、絵文字等を添えて自分のストーリー載せてくれる。

投稿する時になんかおもろい一言つけたら、侑太郎さんタグ回収した時に笑うよな。
買ってくれてありがとうって、思いながら、笑ってまうよな?
ストーリーに載せてくれたら、それ見た他の選手も、選手の家族も、同じブースターさんも笑ってまうし、自分もやろうかと思うよな?
それって私達ができるファンからのサービスやでな?
略してファンサやんか。

姉に言うとにっこり笑った。

「ささやかやけど、それめっちゃいいやん!」

肉厚な生地はコットン100%
ちゃんと刺繍でロゴを入れているし、太めのリブが良い
洋服好きはこんな所にたぎる


半袖やけど、厚めの生地なんで冬に重ね着しよう。
大きめやから中にシャツ着て、タックのチノと合わせよう😆

笑っている姿を拝むことはできないけど、侑太郎さんを少し幸せにする小さなファンサを企み中。

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