【難易度・採点基準】台湾留学経験者から見たHSK5級&HSK6級
ここではHSK5級/6級のリスニング、リーディング、筆記の難易度や、HSK6級の筆記評価基準を台湾への留学経験者が感想を交えて解説していきます。
①なぜHSK?
HSK(中国語検定)を受けてみようと思ったことはありますか?
私は大学から大学院まで6年弱台湾に正規留学していましたが、HSK(中国語検定)を受けようと思ったことはありませんでした。というのも、先輩たちに、日本で就職するときにHSK等の資格があってもそれほど評価に差が出ないと聞いていたからです。
しかし・・・!
実際日本で就職して生活をしていると「台湾に留学した人が話すのは関東語」だと思っている人や、中国語という大きな枠の中に①北京語②関東語③台湾語などがあり、「中国語話せるって言ってたけど、いったいどの中国語?」と聞かれたことが幾度か。。。
HSKには有効期限(2年)がありますが、一度でもHSK等の資格を取得しておいた方がと相手からの評価が統一されると思い、先日急遽HSK5級とHSK6級を同日に受験してきました。
いくつかある中国語検定の中でHSKを選んだ理由は2つ
①HSKは中国政府公認の資格
②世界的に通用する中国語検定
だからです。HSKには日本語訳や中国語訳はなく、実用性を重視したTOEICの中国語版だと言えます。
②HSK5級の難易度は?(試験時間:午後)
台湾では繁体字を使っていたので、慣れない簡体字には戸惑いましたが、試験1か月ほど前から「中国語検定HSK公式過去問集5級」を過去5年間分解いていたら少しずつ慣れてきました。
結果、リスニング、リーディング、筆記、全てにおいて8~9割取れました。5級では得点のみしか出ませんが、6割以上で合格レベルだそうです。
特にリスニングは比較的簡単だと感じました。発音も台湾アクセントではないのである程度の慣れは必要だと思いますが、どちらかというと勉強に時間を割くなら簡体字をひたすら覚えることです。簡体字が読めないと選択問題でも選べなくなってしまうので。
リーディングはやはり簡体字に悩まされましたが、内容がそこまで複雑ではないので全体から文字を推測することも可能かと思います。
筆記は10問中8問が並べ替え、2問が与えられた単語や写真を使った作文でした。設問ごとに簡体字・繁体字をそろえればどちらを使ってもよいということだったので、並べ替え8問は簡体字、作文2問は繁体字を使いました。ここが一番点を落としてしまったところだと思いますが、簡体字で与えられた単語の繁体字がわからず、繁体字&簡体字を混ぜた文章になってしまいました。作文で繁体字を使いたい時は、簡体字を覚えることに集中しすぎて繁体字を忘れないようにしなければ、と強く思いました。
③HSK6級の難易度は?(試験時間:午前)
ここでもやはり慣れない簡体字には戸惑いましたが、「中国語検定HSK公式過去問集6級」を過去2年間分解いて挑みました。HSK5級とHSK6級を同日んい受験したので、とりあえずHSK5級は落としたくないと思っており、HSK6級のほうは問題の傾向を知るために過去問を解いた程度です。
結果、リスニング、リーディング、筆記、全てにおいて7割取れました。6級でも得点のみしか出ませんが、こちらも6割以上で合格レベルだそうです。
まずはリスニングですが、思っていた以上に手こずりました。5級では感じなかったアクセントの差に圧倒されたような感じです。5級では話すスピードが比較的遅いため、アクセントの違いは頭の中で変換して理解していましたが、速くなったことによりその変換スピードが追いつかなくなったような感じです。日ごろから新聞レベルの中国を聞きなれておく必要があるかもしれません。
リーディングは後半とてもスムーズに進んだ感じでしたが、「4選1」で間違った文章を見つける初めの10問は苦戦しました。試験後中国の友人にも過去問にトライしてもらいましたが、問題によってはネイティブでも引っ掛かりそうな。語彙や文法力とともに、一文字も読み間違えない・読み落とさない集中力も問われる問題かと思います。後半は確かに5級以上に単語は増えますが、簡体字の基礎(读·vs 讀、验 vs 驗、题·vs 題、会 vs 會、听 vs 聽、体 vs 體、东 vs 東、们·vs 們、稳 vs 穩、丝 vs 絲 etc.)となる漢字の部位や簡体字の法則的なものを5級レベルでも覚えてあると、全く読めないということはありませんでした。
筆記は1問、10分間で1000字の文章を覚え、文章回収後に35分間で400字にまとめるという難題です。1問しかないので繁体字で記述しましたが、私はここで宁=寧に変換することができませんでした。。。やはり記述に繁体字で挑む場合は、簡体字を勉強した後にまた繁体字慣れしなおす必要がありそうですね。採点基準が分からないところが不安でしたが、10分間で記憶したことをそのまま簡略化し、自分の意見や考えは入れずに380字強(タイトルを含めた字数)の文章にしました。記憶力には自信がないほうなので、1000字の文章をメモをとらずに覚えるところは楽ではありませんでした。書いていくうちに、「そういえば前半でこれも書くべき」ということを思い出して書き直すこともあり、試験対策が不十分であったような気がします。
④HSK6級筆記 作文の採点基準について
これはあくまでも筆記テスト7割の自分が大切にしているポイントです。
ポイント①
「タイトルをつけるように」と問題文に書いてあることを見逃さないよにしましょう。タイトルは必須です。
ポイント②
10分間で「いつ、どこで、誰が、誰と、何をした」を記憶すること。具体的な数字(年、時間、距離など)と主人公の名前は確実に覚える必要があると思います。主人公にかかわる主な人物の名前も覚えておくとスムーズにまとめられると思いますが、私の場合は「主人公の母」「主人公のコーチ」といったまとめ方をしました。
ポイント③
高度な文法や言い回しで2文以上の文を簡略化し、1文にまとめること。(今回の私は「いつ、どこで、誰が、誰と、何をした」をひたすら書き続けるだけの作文になってしまいましたが、文の接続時や簡素化させるときに必要だと思います。)
⑤HSKの全体的な感想
合格点(6割)には達することができたので一安心。
それにしても、台湾人が話す中国語は中国大陸でも通用するものだと理解してくれる人が増えることを願います。
一方で、HSK5級やHSK6級で満点・高得点を目指すのはまた難しいことなのだなと感じました。
特に、HSK6級は「合格基準を目指す」というより、TOEICのようにいかに高得点を目指すかといったところにfocusを当てている人も多い印象です。
個人の目標にあった検定活用をおすすめします!