御社の人材マネジメントには、成果が生まれるストーリーがあるか?
”実務協業型”人事制度構築・導入支援を行う株式会社Trigger 代表の安松です。
一気通貫でつくれない人材マネジメントシステム
人材マネジメントは各社各様です。そして人材マネジメントシステム全体は、様々な仕組みや取り組みによって構成されています。
ミッション・ビジョンに紐づく「コアバリュー」
・役割・責任やジョブディスクリプション、コンピテンシーやスキルマップといった「人材像を表現したもの」
・MBOやOKRといった「パフォーマンスの発揮を動機づけるもの」
・インセンティブや昇降給、表彰制度やサンクスメッセージなど「報酬と称賛でパフォーマンスに応えるもの」
など、人事の施策は豊富です。
ただ、おそらく多くの企業では、これらすべてが一気通貫で設計され導入されることは少なく、時々の経営・組織上の課題対応として段階的に導入されているのが現実でしょう。また、過去の様々な経緯の中で改定を繰り返し現在に至っていると思います。
「組織風土変革のためにコアバリューを策定したい」、「事業ドメイン変更に伴いスキル・コンピテンシーを見直したい」、「新たな中期事業戦略に基づきインセンティブ制度を改定したい」、私自身もこうしたご要望に対する検討・実行のご支援を行っています。
全体におけるパーツの位置づけは?
こうした経年の取り組みの中で、宿命的にどうしても生まれてくる課題があります。それは、多くの仕組み・取り組みが、人材マネジメントシステム全体の中でそれぞれどう位置付けられ、相互にどう連関して機能しているのか?がだんだんわかりづらくなってしまうということです。
そのため、数年おきのレビューが必要となります。このレビューにおいて重要なのは、その仕組みや取り組みは、人材マネジメントシステムの中のサブシステムとして、ビジネスの成果を生み出すためにどのように機能しているのか?という点に着目することです。
成果創出機能としてのサブシステム
人材マネジメントシステム全体を構成するサブシステムとしては、例えば以下のようなものがあります。
好ましい価値観が共通認識・共感されるためのもの(例:コアバリュー)
競争優位性につながる知識・スキルが明示されるためのもの(例:スキルマップ、能力要件表)
成果創出に有効な具体的な行動が例示されるためのもの(例:コンピテンシー)
役割やジョブ、期待される成果責任がしっかりと認識されるためのもの(例:ジョブディスクリプション、ミッショングレード、職務権限表)
具体的な達成目標を掲げてアクションの実行が支援されるためのもの(例:MBO、OKR)
好ましい価値観の体現や期待される行動の実践、成果の度合いに合理的に報いるためのもの(例:インセンティブなどの各種報酬制度、表彰制度等)
Performance Progress Model
そして上の図のように、これらはすべて、「ビジネスの成果を生み出すための“機能”である」という発想が肝要です。これらのサブシステムの連なりの中で、
自社のたくさんある制度や人事施策の位置づけ・目的を明瞭に語ることができるか?
自社の人材が成果を生み出すメカニズムを語れるのか?
これらの観点で整理することによって、“組織として人材をどのように生かし、差別化していくのか?”という、自社独自のストーリーができあがるのです。
「自社の人材マネジメントには、成果が生まれるストーリーがあるのか?」
これを機に、今一度見直し、整理していただくことで、何かしらの示唆を得られるかもしれません。
※本稿はCHROFY株式会社のウェブサイトへの私の寄稿を、運営会社の許可を得て転載したものです。
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