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マイ・セブンルール

”実務協業型”人事制度構築・導入支援を行うTrigger 代表の安松です。

フジテレビ系列で放送されている「セブンルール」というドキュメンタリーバラエティ番組があります。様々な分野で活躍する女性に密着し、「いつもしていること(ルール)」を7つ見つけ、「なぜそれにこだわるのか」を掘り下げる、というもので、なかなか面白く拝見しています。

誰しも仕事や生活上のポリシーのようなものは幾つかあると思いますが、「自分は果たして、自分の仕事におけるポリシーを、7つも挙げることができるだろうか?」とふと思い、”マイセブンルール”を整理してみることにしました。

Rule1 事実・原理原則・直感

人事の仕事をしていると、日々職場から様々な問題が寄せられ、即時に対応していくことが求められます。その多くは、前例がなかったり、ルールが決まっていなかったりしていて、人事に判断を求められる場面が非常に多くあります。反面、自分自身もその課題に通じていなかったりすることが多々あります。
何に基づき判断するか?―私は3つの要素があると思っています。

(1)事実
丹念な事実の洗い出し・整理を行った上で、「良識に従えば、次はこういうアクションをするのが妥当である」という解を見出す。ここに、日ごろから「良識」を研鑽しておくことの重要性がある。

(2)原理原則
特に前例がなかったり、自分自身がその分野に明るくなかったりするときは原理原則で判断することが重要。ただし、原理原則に沿った判断は、大きく外すことはないかもしれないが、現実に対して効果的か?はまた別問題。

(3)直感
事実も洗い出した。原理原則でも考えた。それでも何が最適かが分からない場合は、最後は自分の直感を頼りにするしかない。直感というと、何か天性の閃きのような印象があるが、私は「納得感」と「自信」だと思っている。突き詰めて言えば、私たちの周辺に起こる問題に対して絶対的な正解など存在しない。したがって、「納得感」―この選択肢に自分自身は納得できているのか?、「自信」―この選択肢を選び出した自分を信じることができるか。後悔しないか。この感覚が持てる判断であれば、その後は何とかなるものだ。

実際には、私たちは「事実」「原理原則」「直感」のそれぞれを複合的に考えて判断しています。ただ、私はこの3要素への重きの置き方によって、その人の判断は特徴づけられていると感じますが、私自身は、まず直感的に解を仮置きして、事実と原理原則に照らしてその解で行けそうか?を検証する、という思考をたどることを意識しています。

Rule2 型を持ち、型にこだわらない

直感で設定した答えが、事実や原理原則に照らして「どうも違いそうだ」という場合、最初にそう感じた自分にこだわることなく、すぐに別の仮説を置いて検証し直すことが大事だと思います。自分の当初の考えに変に固執せず、より良い解を求めて考え方を変容させていくこと。こういうマインドセットが、現実場面で効果のある手を繰り出していく要諦だと思うのです。これを「しなやか」と言うのだと思います。「実を取る」ということでもあると思います。

ちなみに、「型を持ち、型にこだわらない」というのは横綱白鵬関の言葉です。自分流を持ちながらも、しなやかに多彩なアイデアや打ち手を繰り出せる自分でありたい、そう思ってこの言葉を肝に銘じています。

Rule3 初案の創出

企画立案でも課題対応においても、最初にアイデアをまとめること、ゼロからイチを作り出すことには大きなパワーを要します。その分、初案があれば、議論は前に進み出します。したがって、初案創出のスピード(初速)は企画・検討をゴールに至らしめるスピードを決めます。また、他の人より早く案を打ち出すことができれば、多くの場合、議論をリードできます。

また、最初に案を出す人材は、組織において非常に重宝されることは、私自身の経験からも感じますが、経営・人事・ITコンサルタントの安達裕哉氏のブログは、「最初に案を出すことの重要性」についての示唆を与えてくれます。

Rule4 議論を尽くす

ある年の人事評価における上司からフィードバック―「厳しい時間軸の中でもメンバーとのディスカッションを欠かさないところがいいね」。

それまではあまり意識したことはありませんでしたが、確かに言われてみればそうかもしれません。というのも、ここ数年、状況が激しく動き情報は常に断片的、自分の知識・理解やアイデアのみでは、答えを見出せない場面、乗り越えられない難局があまりにも多く、多くの人の力を借りることなくしては、「納得感」もって判断することができない状態にずっといました。状況が自然にそうさせた、というところがあります。

ただ、大事だと思うのは、ディスカッションパートナーといかに本心から意見を表明しあえる間柄に、普段からなれているか?ということです。本音の意見をぶつけるに足る相手であるかどうか?を周りの人はよくよく見ています。

これが部下・メンバーであればなおさらです。「心理的安全性」の重要性が提唱されている昨今、仕事以外のコミュニケーションを円滑にして対人関係を良くしようという向きも多く、それは決して間違いであるとは思いませんが、自分のキャラクターやスタンスに合致した方法であるかは要吟味です。

無理してぎこちないコミュニケーションをとらずとも、仕事の議論において、まずは自分が本心をオープンにして、しっかりと丁寧にやっていけば相手とも良い間柄が出来る、そんなふうに思っています。

Rule5 小さな意思決定から逃げない

私たちは多くの場合、組織で、チームで仕事をしますが、チームの成果創出スピードアップのためには、「自分が決められることは、今ここで決める」ことを肝に銘じておくことがとても重要です。

大きな組織になればなるほど、レポートラインがあって、意思決定の権限があって、所定の承認プロセスを経て物事を決めていくことが多くなります。しかし、上へ上へと意思決定を送っていては、物事が決まるまで長い時間がかかってしまうこともとより、個人にとっても、いざというときに、リスクをとって「今ここで決める」ことができず、チャンスを逃しピンチを拡大してしまいます。要は意思決定にも訓練が必要、ということです。

もちろん、意思決定の手順は、組織として正しい意思決定を行うための必要性があって存在していることは確かです。その判断は組織の方針や経営理念に適ったものになっているか?こうしたことがプロセスの中で自問自答され、判断がブラッシュアップされていくことも真です。

というふうに、上記の両側面を考えると、メンバーやミドルリーダーは、それぞれの持ち場にあって「自分なりの最終結論は必ず出す!」ことをやっていくのが良い、と思うのです。その「最終結論」はもちろん組織にとっては「仮決め」です。ただ、こういう小さな意思決定の積み重ねが、組織の硬直化を回避し、強い集団となっていくことにつながるはずです。

Rule6 本気を出しきれているのか?

誰しも、できれば楽をしたい、面倒なことはしたくない、難局を避けて通りたいと思うのが人情です。それが普通です。日々様々生じる難問への対処や難しいプロジェクトの推進などにおいても、「人事を尽くして天命を待つ」の言葉通り、安易に逃げたい自分を律して、できることをやり尽くしたか?は、やはり成否を分けるものだとつくづく感じます。

以前勤めた会社の社長がこんなことをおっしゃっていました。

やり残しがあると心に失敗の暗雲が垂れ込めてくる。そうすると次の瞬間から、失敗する理由・言い訳を探し出す自分がいる。そのような心持ちのままで事にあたった場合、”予定通り”失敗する。これを「失敗の予感」と呼ぶ。

自分は本気を出し切れているのか?自問自答の毎日です。

そして、特に組織においては、「自分が自分自身にどのくらい厳しく対峙できているか」を周りの人は本当によく見て評価しています。自分がリーダーの立場であればなおさらそう。そういう取り組みが方ができていれば(常時100%とはなかなかいきませんが)、周囲にも伝わって、ゴールに向けて一丸となってハードワークできるチームができる、私はそう信じています。

Rule7 判断と決断

日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さんの著書『判断と決断』。大変感銘を受けた書籍ですが、仕事の現実場面でも、「今自分が行おうとしているのは判断なのか?決断なのか?」と思案する場面があります。

「判断」とは過去の事象について評価すること。その基準は、正しいか正しくないか。「決断」とは未来の事象について方向性を打ち出すこと。その基準は、強いか弱いか。さらには早いか遅いか。
判断をすべき時とは、事の大小はあれ、人が「混沌」の中にある時。そして、判断を終えた後、ものごとはある指標・基準において整理された状態になる。決断すべき時とは、人が選択肢を前に迷っている時。決断を終えた後、人は新しい一歩を踏み出し、選んだゴールに向けて行動を起こす。

判断と決断の違いを意識して、物事を決めていくと、意外とスッキリします。

私たちが日々向き合っている正解なき課題に対して、自分の直感を信じ、しかし頑なにならず、初案をもとに議論を尽くし、準備すべきことをやり尽くしたらば、その先はリスクを覚悟して決断するのみ。決断したら、その決断は正しかったのだと思えるように全力を尽くす。これまでそうしてきたし、これからもそうしていきたいと思います。

書いてみて、、、7つもマイルールを挙げて記述していくことは、かなりしんどいことだと気づきました。だいぶ時間がかかりました・・・。

しかし、今の自分はこれまでの幾多の経験と、周りの皆様からの薫陶によって形成されているのだと、改めてつくづく感じることができました。

あなたのマイ・セブンルールは何でしょうか?

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