呪いと感謝
コソボの観光地プリズレンから
アルバニアの首都ティラナ行きの国際バスに乗り
途中の町ククスに向かった
料金は終点ティラナまでで10ユーロ
ククスまでも10ユーロだった
距離は1/3くらいしかないのに
無愛想な運転手は町から離れた高速道路の路肩で止め
携帯電話で誰かと会話しながらバスのドアを開けた
バスを降りるときに
運転助手が小声で❝sorry❞と言うのが聞こえた
高速で横を走り抜ける車の音の合間に
どこか遠くで鳥が鳴いているのが聞こえる
僕はバスの運転手を呪った
高速道路のフェンスをよじ登り
草藪をかき分け
やっと道に出る
たぶんこの方向だろうと
30分ほど炎天下を歩くと
ククスの町の標識が出てきた
久しぶりの
感動に近い達成感
やったー!
僕はさっきの無愛想な運転手に感謝した