本。パンと牛乳はやめなさい2
今日も本の話。昨日の記事の続きである。
『パンと牛乳は今すぐやめなさい!』(内山葉子、マキノ出版)を読んだ。昨日はパンについて書いたので、今日は「牛乳」について書こうと思う。
日本人の大半が、「牛乳は体にいい」と思い込んでいるが、それは間違った思い込みらしい。牛乳で一番問題なのは、「牛乳は体にいい」という固定概念であり、それ故飲みたいわけではなくても一生懸命飲もうとすることのようだ。
何故、そんな固定概念が出来上がってしまったのか。1946年、アメリカの小児科医、ベンジャミン・スポック博士が書いた育児書がきっかけらしい。アメリカはじめ、世界43ヵ国語に翻訳されて、世界的大ベストセラーになった本があった。日本ではこの育児本が、アメリカでの発刊から20年後の昭和41年に訳され出版されている。
「生後3ヵ月での母乳からの断乳」「子どもには牛乳や乳製品を積極的にとらせる」などの指導内容が書かれており、日本では、この内容が栄養士に教育された。母子手帳もこれを基盤に作られた。この本に書かれた「牛乳はすばらしい栄養食品だ」という概念が、ここで子どもに対してだけではなく、大人にも必要なものとして広がり、常識化した。
ところが第1版が出版されて40年以上、日本での出版から20年以上たったとき、スポック博士は第7版の改訂をした。6版まで「とるべき」としていた牛乳・乳製品を、「とるべきではない」として、菜食を推奨する内容になっているのだ。しかし日本では第7版は出版されず、訂正内容が広く知られないまま今日に至る。
昭和40年代以降に生まれた子どもの多くはこの初版本にのっとって育児をされ、いまだに「牛乳神話」が信じられているのが現状のようだ。
人はカルシウムの99%が骨に貯蔵されている。「骨や歯=カルシウム」というイメージから、「健康のためにはカルシウムが必要。だから牛乳や乳製品を取らなければいけない」と思い込んでいる。本当に牛乳は健康に良いものなのだろうか?
牛乳は、小麦と同じく昔から飲まれ続けている。昔は、それほど問題は無かった。小麦と同じく、「現代の牛乳だからこその害」というものがあるらしい。
昔の牛乳は、絞ったそのままを飲んでいたので、その中には牛乳を消化するための酵素が含まれていたし、多くの栄養素や乳酸菌などの善玉菌も含まれていた。しかし大量生産するようになって、「加熱殺菌」が必要になった。それによって酵素が活性を失い、善玉菌も死滅してしまった。加熱されたたんぱく質は消化されにくくなり、ビタミンなどの栄養素もこわれてしまうものが多くなった。また、「ホモジェナイズ」という作業によって、酸化が進んだりトランス脂肪酸が発生したりするらしい。さらに現在の乳牛は、遺伝子組み換え食物や穀物を与えられ、ホルモン剤などを投与されている。その成分が牛乳にも含まれてしまう。
生のまま飲んでいた頃は問題なかったが、製法が変わり、デメリットの方が多くなってしまったのが現状のようだ。
生の牛乳なら酵素が含まれていたから分解できた物質(αカゼイン)が、今の牛乳だと分解できず、腸に炎症が起こる。すると、下痢や便秘など腸の症状が起こる。消化できない物質は、アレルゲンとなりやすく、遅延型アレルギーの原因となる。
また、牛乳を飲むと骨が強くなると思われているが、実際には弱くなってしまうらしい。牛乳には確かにカルシウムが多く含まれているが、人はそれを有効に使うことができない。むしろ、
消化しにくいたんぱく質をとる→腸の中に窒素の残留物が増える→窒素残留物が血液中に増える(酸性になる)→弱アルカリに戻すために血液中のカルシウムを増やす(骨から溶かし出される)
となり、骨のカルシウムが減ってしまうのだ。
他にも害はいろいろあるのだが、読んでいて特に「へぇ」と思ったのはこの辺りだろうか。
牛乳にしても小麦にしても、「昔のものよりも今のものの方が体に悪い」というのは共通している。恐らくそれは牛乳と小麦に限らず、いろんな食品で見らることなのだろう。商品の質を上げるために、大量生産するためにとしてきたことが、実は体にとっては害となっている。考えてみれば当然で、体の構造などそう簡単には変わらない。新しい食品(物質)に適応しようと思えば、それこそ気の遠くなるような時間が必要なのだろう。
今の体は、昔から食べられてきたものを消化吸収できるように作られている。それを忘れてはいけないのだろうなと思った本だった。
ではまた明日。