ひらがなの目覚め
テレビでドラマが流れていた。録画してあった「おじさんがひとりでご飯を食べているだけのドラマ」である。
夫が好きで録画してあるので、たまに我が家で流れる。息子もとてもよく訓練されており。
「腹が……へった。ちゃん、ちゃん、ちゃん。よし、店を探そう」
と言ったり、EDで「ごろーごろー」と歌っていたりする(わかる人にしかわからない話でごめんなさい)。
そんなドラマのメイン内容は全然関係ないところで事件が起こった。息子が急に
「おい」
と言ったのだ。
誰かに向けて呼びかけた風ではない。視線はテレビ画面。見ると、画面の端の方に「おい(何とか)ばし」と橋の名前を書いてある看板が映っていた。
どうも息子は、画面に映った文字を声に出して読んだらしい。
え、これって、すごくない??
夫と顔を見合わせる。そして2人して息子を褒めだした。
「そうだよ!これは『おい』だよ!」
「すごいね!読めてるね!!」
たかがひらがな2文字で、と言えばそうだし、息子が「お」と「い」を読めることは知っている。最近は絵本を読む時に1文字1文字指さして読む場面もあるので、段々と読めるひらがなも増えてきてはいるのだ。
ただ、それとこれとは別というか。
ふと見たテレビ画面に映った文字を読めて認識できるって、とても世界が広がるのではないだろうか。
そこに文字情報がある。これを読めることでこんなことを知れる。その第一歩。「そうか、ひらがなが読めたらこの場面でこんなこともわかるんだ」っていうキッカケ。
もちろん息子がそこまで深く考えることは無いと思うのだけれど、世界が広がる瞬間を見た気がして私が感動した。
「読めたらこんなことがわかる」ってとても楽しいことだし、勉強するモチベーションも上がるのではなかろうか。
決して「ガンガン勉強して欲しい」ということではなくて。「学ぶ楽しさを感じて欲しいな」ということ。
「知る」ってワクワクするし、楽しいことなのだ。「おい」をキッカケに、もっと世界が広がっていったらいいな。
ではまた明日。