ふてぶてしさ
職場の新人さんが、悩んでいるらしい。
仕事が遅い、できない、周りのスピードについていけない。そういう話らしい。
言っていることは正直その通りで、ハッキリ言ってしまうと彼女の仕事はとても遅い。一度言ったことを覚えているような記憶力の良さや理解力があるわけでもなく。教え方にコツがいるなぁと思う。速度も覚えも遅い。そういう事実は確かにある。
ただ、私たちが彼女に対して「遅いから速くして!」「一度で覚えて!」と言ったことは無いし、今の所言うつもりもない。
本人がそれを自覚しているのは見て取れるし、何よりちゃんと成長していっているからだ。
フルーツの切り方も飾り方も。最初は酷いものだった。いろんな新人さんを見てきたけれども、その中でもちょっと飛び抜けていた。そもそもが若いし、ナイフを持った経験もほとんど無いのだと思う。でも一週間もすれば見違えるほど綺麗になったし、安心して任せられるようになった。
彼女には、素直さとひたむきさがある。だから今は仕事が遅くても、覚えが良くなくても。一度覚えてできるようになったら大丈夫だろう。そう私たちは思っているのである。
おそらく今の彼女に一番必要なのは「ふてぶてしさ」ではないかなと思う。仕事が遅い?すみません。でもいつかできるようになりますから!気長に待っててくださいよ!っていうふてぶてしさ。
私自身、「速く仕事する」よりは「丁寧な仕事をする」方が得意なので。「どんなに頑張っても周りの人ほど速くできないなー」という悩みはすごく理解できるのである。ただ、やっていればある程度までは速くなるし、速い人はいろいろ雑な部分もあるので「綺麗さでは負けないぜ」と思うこともできるようになると思う。
そもそも新人さんは、仕事ができないのが当たり前なのである。即戦力を期待されて入った人ならともかく、この分野未経験、若くて仕事経験自体もそんなに無いだろう人に、いきなりバリバリ仕事してくれ、なんて誰も求めていない。
ガミガミ言われないなら、今の内に。ちょっと迷惑かけてるかもしれないけど、仕事覚えていくわーっていう。そのくらいのふてぶてしさは持っている方が、お互いにとっていい気がする。
新人さんが周りに負担をかけないなんて、まず無理な話なのだし。それが教育だし先行投資だ。「自分が周りほど動けていない」という事実を見ることは大事だろうけど。そこで自分を責める必要は無いと思う。できないなら、自分なりに考えて最善を尽くしていくだけ。少なくとも今は、それでいいのではないかなぁ。
なんてことをつらつら考えた昨日であった。素直ないい子なんだから、もっとふてぶてしくなっていいんだよー!と思うものの。それが無いからこそ素直ないい子なんだろうねぇ…。
ではまた明日。