ある意味レア、リーチ岬が水没した日に我孫子に行ったよ。

画像1 原田マハさんの「リーチ先生」を読んで以来、白樺派に興味を持ち、彼らが一時集結した我孫子に行ってみたい、とずっと思ってた。それが実現したのが・・・大雨の翌日。手賀沼公園の突端に「リーチ岬」というのがあるそうなので、駅から歩いて15分ほどの手賀沼公園へ。あれ・・・、なんだかおかしい。ブイみたいに見えるのは、実はベンチじゃない? 手前の2つは、東屋? 地元の人と思われる何人もの人が撮影していたその理由は・・・。
画像2 実は、そこがリーチ岬で前の晩の大雨で水没していたとのこと。本当は、並べられたベンチのあたりまで行けたはず。バーナード・リーチが、陶芸の合間に佇んでいたことから名づけられたらしいけれど、沼と言ってもとてもきれいな水で何本かの樹木も水に浸っていて、ある意味レアで幻想的な雰囲気でもあったよ。
画像3 こちらも水没中。近所の人も、この不思議な風景に戸惑ってる感じ? 沼に沿って遊歩道が続いているけれど、間にある雑草が伸びすぎちゃって沼を見ながらそぞろ歩けないのが残念ではある。遊歩道は5㎞も続いているんだって。これは近所に住んでたら、良いお散歩コースだね。犬を連れた人たちもたくさんいたよ。
画像4 光っちゃって、ごめん! リーチ先生の碑です。我孫子にはそんなに長い間住んでいなかったとのことだけれど、「私の人生で最も充実していた時期」と後述しているので、たくさんの仲間に囲まれて楽しかったに違いない。今はマンションや住宅がたくさん建っているけど、当時は本当にのどかな田園風景が広がってたんだろう。陶芸への創作意欲も次々に湧いてきたのかもしれないね。
画像5 我孫子にある3つの館の一つ、「杉村楚人冠記念館」にお邪魔。明治末期から昭和初期にかけて活躍したジャーナリストのお宅を開放してるよ。戦前の貴重なガラスがはまった窓は、外の景色がゆらゆら揺れて見えて素敵。ジャーナリストだけに、沢山の書籍が遺されていて、机では色々執筆してたんだろうな~と遠い昔に思いをはせてみた。
画像6 白樺派を代表する志賀直哉の住居跡ね。そもそも「柔道の父」と呼ばれた嘉納 治五郎が、甥の柳宗悦を我孫子に呼び寄せたことから、次々に白樺派の面々が我孫子に集まることになったんだってね。「リーチ先生」の中でも柳宗悦は、重要な登場人物。リーダー的な存在だったと記憶してる。短いけれど充実した我孫子の日々だったと思われる。
画像7 志賀直哉についての碑。「暗夜行路」の一部や「城の崎にて」は、ここで書かれたんだって。兵庫県の温泉街城の崎は、この作品を上手に使って町全体を盛り上げるのに成功してるけど、読んでみるとそんなに城の崎は出てこないのが、これまた面白いんだけど、我孫子はもっとアピールしても良いんじゃないの? と思っちゃうほどさりげない感じで、貴重な物件が点在してます。
画像8 結局残ったのは、この書斎だけらしく。他は建物があった地面に間取り図のようなものが描かれてたよ。大雨の翌日だったからかな? 公開はされていなかった。母屋と少し離れて、落ちついて執筆していたのかも。なにしろ「小説の神様」だものね。
画像9 志賀直哉邸のすぐ近くにある白樺文学館だよ。杉村楚人冠記念館とここ、そして鳥の博物館の3つで共通入場券も発売されてるけれど、鳥の博物館には行かれなかった。でも、2つ行っただけでも、じゅうぶんに楽しかったので良し、としましょう。
画像10 手賀沼へと続く階段だよ。陶芸家のリーチ先生は、ここで窯を作るんだけれど、上手く行かなくて失意の気持ちを抱えてこの階段を降り、手賀沼の壮大な景色に癒された、って説明ボードがあった。他の白樺派の人たちも、好んでこの階段を歩いたってね。なんだか、ずしんと来る一段一段です。
画像11 我孫子駅は、ウエルカムな雰囲気を醸し出してるよ。改札を出ると、こんなのが迎えてくれる。すぐ近くには、観光案内所「アビシルベ」があって、尋ねると色々と親切に教えてくださった。ビートルズの「アビーロード」に引っかけて「アビロード」というお散歩雑誌があるのも、ご愛嬌。
画像12 ロータリーのとこにある、白樺派の写真。一時期はこんなに集まったのかと思うと、柳宗悦の吸引力はすごかったんだね。その後も人が人を呼んで増えていったのもあるけれど、いつのまにかまた波が引くようにいなくなっちゃったのが、寂しい。何人か最期まで住んでいた人もいるけれど、馬込文士村も同じく、ずっと続くわけではないんだね。そこが、また刹那の雰囲気があって良いのかもしれないけどね。
画像13 レトルトのカレーだよ。白樺文学館で(アビシルベでも売ってる)お土産に購入。レトロな感じがたまらない。右の商品なんて横書き文字が右からスタートになってるし。リーチ先生が、「味噌を入れたら?」と提案して、その味が白樺派の特徴となっていったらしい。なんと我孫子市のゆるきゃらは「うなきち」くんと言って鰻なんだけど、手賀沼には鰻がいるとのこと。奥深い! 今度はリーチ岬に佇める晴れた日に来てみようっと。楽しかった大人の遠足でした。

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