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花ねぇ…。花…

懐かしい話題が浮かんでくる瞬間って、不意打ちだよね。

思い出すのは、あの時の同級生が
「世界に一つだけの花!」って、
何かにすがりつくみたいに話してた、あの場面。
今振り返ってみれば、
その情熱が
なんだか滑稽で、苦笑いが出る。

花ってのは、そもそも綺麗なもので、
特別であるとか、唯一であるとか、そんな言葉を持ち出すまでもなく、
ただその存在だけで十分だ。

俺も昔は、
親父の霧吹きを借りて、
植物に水を吹きかけてみたりして、
「おお、綺麗だな」なんて、
いっときの気持ち良さに浸ってたこともあったっけ。

でも今は少し違う。
朝露に濡れた植物の美しさは、言葉で表すよりも、感覚で知ってる。
あの、静かに広がる清らかさっていうか…
変わらない感覚で、ただ見つめていられる。

小学生の頃、プランターに植えたチューリップを植え替えて、
蜜を持ってる花には群がるように友達が集まってた。
あれは、子供たちにとっての特別な瞬間で、
誰かの記憶の片隅に残ってるんだろうな。

主役も、脇役もできるのが花。
飾り方次第で姿を変えるけど、
自然に育ったそのままの姿も捨てがたい。

手をかけて育てる価値があるのも、周知の事実。

そういう意味で、彼岸花のミステリアスな佇まいには、惹かれるものがある。
あの妖艶な赤、ゆらめく姿…。
ユリも似たような、少し謎めいた雰囲気を持っていていいな。

昔からの言葉でいえば、
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はユリの花」
なんてあるけど…

やっぱり、俺にとっては彼岸花が一番しっくりくる気がする。

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