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ブラックは機嫌が良くないので

ああ、休みが終われば
仕事がまた始まる。
嫌だと嘆いても、
目を背けても、
時間は変わらず進んでいく。

深夜食堂を流し見しながら、
晩御飯を作る。
白身魚のフライに、パスタサラダ、
コンソメスープ。
味見は大事だけど、
しすぎると何が何だか分からなくなる。
舌は鈍く、鼻も頼りない。
残念なことに、味の感覚は薄れていく。

食べる役目は、子供たちに譲ることにした。
少しだけ、仕方なく。

台風が去っても、天気は変わらず、
蝉の声は小さくなった。
暦は秋を告げるが、
体感はまだ夏に取り残されている。

山にはバッタが跳び、カマキリが登り、
見たこともない蜘蛛が巣を張る。
俺はスマホを片手に散歩し、
犬を連れたおばさんに
怪訝そうな目で見られる。
その犬は、興味津々で何にでも飛び込んでいく。
俺に似てない、いい犬だ。

坂道を登る足取りは重く、
仕事の休憩時間を確認し、
ため息をついては急ぐ。
もう少し、現実から逃れたいと願う。
言い訳がぽこぽこと頭に浮かぶけど、
外がちょうど良いという人もいるけど、
俺はまだ、何かが足りない気がする。

季節が変わるのを感じつつ、
俺も変わる予感がする。
願わくば、あまりしんどくない変化がいい。

仕事が終わって、
またため息をつく。
ブラックコーヒーを飲んで、
その苦味が口に広がる。
下品な言葉が喉を抜け、
ハンドルを握りながら運転を始める。

帰り道、ふらふら歩く学生たちが
危なっかしくて、ゆっくり車を走らせる。
広い道に入って、
アクセルを少しだけ踏み込む。
でも、ビビりだから限界はすぐに来る。

娘の忘れ物を取りに行って、
なんとも間の抜けた気分になる。
後ろを走っていた車がさっさと曲がっていくのを見て、
追い抜かれるかと思ったけど、
そんな気はなかったらしい。

また微妙な暑さがじわりと汗をにじませる。
エアコンをつけると、少し寒いけど、
贅沢な悩みだ。
まあ、エアコンを使うんだけども。

家に着くと、
嫁さんはライブチケットが当たったと喜んでいる。
さて、ぼちぼち家事を片付けるか。
そんな夜、
明日もぼちぼちやっていこう。
1日1日を乗り切るだけだ。

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