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しょげるカタ

どんなに丁寧にやっても、こうしてミスがついてくる。
どこかで些細に思ってた部分が、まるで落とし穴みたいに後から牙をむく。
ハンドルに額を押し付けたまま、
焦りと悔しさが胸の奥で暴れて、
その手が知らず知らずクラクションを激しく鳴らしてしまう。

些細といえば些細なミス。
「なんてことない」って思おうとするけど、ミスはミス。
忙しい夜の中で、あれこれやることが詰まっていたけど、
バタバタしながらも、ひとつひとつ丁寧に仕上げてたつもりだったのに…
ちゃんとやってた「はず」なのに、
気づけばこんな形で引っかかってしまう。

大きなものでもないし、たぶんバレないくらいの小さなミス。
周りには言わなきゃわからないだろうし、
正直に話して責められるほどのものでもない。
でも、どこかで自分にだけはごまかせない。
「まあ、次は気をつけよう」で済ませられたら楽なのに、
今日一日、なんか心のどこかで引っかかり続ける。

あーあ。
空は今日も青く澄んでる。
やけに青空が澄んでるのが悔しいくらいで、
でも、昨夜からの冷え込みが少しずつ冬の足音を連れてきている。
今年ももう紅白の参加者が発表される頃なんだなあ、って思うと、
じわじわと年末が近づいてるのを感じる。
11月の半ばってことは、そろそろボーナスも見えてくる。
…まあ、それも含めて、頑張らないとな。

次こそは、絶対にミスしないように気をつけよう。
ミスってしまった自分が嫌になる。
世の中、うまくニヤリと笑ってごまかす器用な人も多いけど、
俺はどうもその辺が不器用で、
年齢を重ねるほど、「ごめんなさい」って素直に言いにくくなっている。
謝れば済む話かもしれないけど、なんだかどこかで躊躇してしまう。

とりあえず、今日はさっさと帰ろう。
帰ってシャワーを浴びて、ちょっとだけ長めにお湯に浸かって、
頭の中を空っぽにしよう。
そのあとは、あんまり考えずにボーッとご飯を食べて、
ゴロリと横になって… しばらく静かに過ごしたい。

ふと、感じる視線。
ああ、猫だ。
いつもは気にしないけど、どこかで野良猫がじっとこちらを見てるのに気づいて、
ついそのもふもふした姿に目が行ってしまう。
その可愛さに惹かれそうになるけど、
餌付けするつもりはない。
飼わないなら、情をかけてはいけない。
飼うって決めたら色々な責任もついてくるし、
いろいろな面での負担も増えるのは目に見えている。
でも、近くで見つめられてると、ついついその可愛さに惹かれるな。

ほんの少しだけ、癒された昼。
少しの間、昼寝でもしてリセットしようか。
そして起きると、陽が少し傾いていて、
空気がさらに冷え込んで、冬の気配が濃くなってきた。
これだけ冷えると、温かい鍋焼きうどんが恋しくなる。
けれど、椎茸も油揚げもない。
何なら鶏肉さえ切らしている。
まあ、鍋風にして簡単に食べるのも悪くないか。

嫁さんに今日のことを話してみようかな。
きっと慰めてくれるか、それとも笑って喝を入れてくれるか。
どっちにしても話せば、少しは気持ちが楽になるはず。
不器用な自分が悩んでいるのを、ちょっと聞いてもらうだけでも。

明日もまた、ぼちぼちやっていこう。
無理せず、一日一日を乗り切っていこう。
焦らず、無理せず、少しずつ進んでいけばいい。
こうして少しずつ、年末まで一日一日を刻んでいく。

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