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訳語を選ぶときの注意。

翻訳ではいろいろな形でお仕事をお受けしますが、その中で、「最初にすべての文書が送られてくるのではなく、納品しつつ、エージェントから次々に原稿が来る」という形式もあります。

そういう時、訳語を選ぶときに注意しなければならないことがあります。

例えば、「外観検査」という訳語にVisual inspectionという語をあてたとします。これはこれで正解なのですが、もし次に送られてきた文書に「目視検査」というのがあると困ります。「目視検査」こそ、Visual inspectionという語がふさわしいからです。

もし「目視検査」もVisual inspectionとして訳したとしましょう。次に送られてきた文書に「なお、外観検査は目視検査と探知機による検査があり、対象により使い分けること」なんてあったらどうしましょう?

答えは「ひでぶ」です。

このように違う原文に対して同じ英語になると大変ですので、最初に出てきたときに「これは注意しなければ」というカンを働かせる必要があります。

これは慣れもありますが、一番簡単な予防法は、Visual inspectionという訳語を思いついたときに逆翻訳して、本当に過不足なく正確かをチェックすることですね。

あ、これはあくまでも僕の専門の技術関連ですので、文学とか芸術とかは当てはまらないかもです。あしからず。

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