一本ずつ消えてゆく『本』 あとがき
不可思議な写真に、ぴりっとした言葉を添える『一本ずつ消えてゆく』シリーズ。一本ずつ消えてゆくのは、一つ前のタイトルの文字。
先日『本』版が完結したので、こちらでまとめます。
消えた順番
『本』では、この順番で一本ずつ消しました。
本→木→大→𠂇→丿
𠂇(さ):左手の象形で、左、左手、もとるという意味の漢字
丿(へつ):右上から左下へのはらい。はらいをそのまま漢字としたもの
参照元:カタカナに見えなくもない漢字の一覧
各作品を並べてみる
『本当に』を使いすぎてしまった。
でも、
その時の感情は本当に本物だったんだ。
もう信じてもらうことは期待しない。
けれど、嘘をついていた訳じゃない。
それだけは知っておいて欲しかった。
にわか雨が降った時にだけ木を見つけては雨宿りして、
晴れたら木のある場所すら忘れているのでしょう。
大きく育て上げた希望が割れてしまったときの後始末が虚しいから、
そもそも希望など持っていないのだと装っていたのだね。
左利きを矯正してあげたの、少数派だとかわいそうでしょと、
そう語る人の得意気な表情を見た時から、
ここから離れようと決めていた。
へつぽつと、本日も、周りの言うことに流される
丿乀(へつぽつ):船などが左右にゆれるさま
引用元:コトバンク
裏話
今回の『本』も、前回の『正』シリーズのように、繋げて一つの詩や物語として完成させずに、個々で完結するようにしました。
𠂇(さ)、丿(へつ) などは、今回調べて初めて知った漢字です。カタカナだと言葉をイメージしにくいということもあり、どの文字も漢字になるようにしてみました。ただ、早くも壁にぶつかっているようにも感じます。
カタカナを許容するか、はたまたこのシリーズを一旦休止とするか、少し考える必要がありそうです。
おわりに
今回のピリッとした言葉を振り返ると、未熟なただのつぶやきのものもあり、大変お恥ずかしいものではありますが、どれもそれぞれの文字を見た時にふと思い出した苦い感情をそのまま書き起こしました。あくまでも私自身が古い記憶を呼び起こしながら書いたものであり、読んでくださる方を直接傷つけたり非難する意図はありません。
とはいえ、ぴりっとした言葉はやはり鋭く、紙で手が切れてしまうように、どこかの誰かを傷つけてしまっているのでは、と思うようにもなりました。これからどうするか考えているところではありますが、もし続けるとしたら、鋭すぎるところは少しばかり平らになるよう工夫できたらと思っています。
最後までお読み下さりありがとうございました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。 いただいた御恩は忘れません。