自由律かるたのかきくけこ
前回の「自由律かるたのあいうえお」では沢山の方にご覧いただきました。感謝申し上げます。今回はかきくけこの句です。
本記事を初めてご覧になる方は前回記事をご一読されると詳しいコンセプトを把握できます。
白・黒・食べ物・ワインをテーマに、「か」から「こ」で始まる四句がそれぞれ揃いました。おやつ片手にしばしお付き合いください。
ホッと白い句
▶︎か
壁の画鋲穴を爪でそっと埋める
▶︎き
決めるまで待ってくれていた店員
▶︎く
くずかごに入らずにぽてと落ちるティッシュ
▶︎け
結末は知らぬまま熟睡
▶︎こ
コンサートホールから生まれる無音
コンサートの句に一番反応が集まりました。個人的に口ずさんで楽しいと思うのはくずかごの句。「くずかごにー入らずにーぽてと落ちるティッシュッ」というリズムで、「に」の時に音を高めに出すと、間抜け感が出て気分が軽くなります。
ぴりり黒い句
▶︎か
叶わぬ願いが短冊にある
▶︎き
切らした卵の入れ物だけ冷やされ
▶︎く
クレープ屋にもタピオカの波が押し寄せ
▶︎け
消した跡がかすかに読み取れてしまう手紙
▶︎こ
今後ともよろしくないが末尾には添えた
一番反応が集まったのは「消した跡が」の句でした。
今後ともの句は、「今後ともよろしくないが末尾には添える会社員」とした方が具体的だったかもしれません。
食べ物句
▶︎か
カステラの底の紙からザラメ糖を掘り出す
▶︎き
きゅうりのぼつぼつなくなるまで塩もむ
▶︎く
串カツのソース二度漬けのタイミングをはかる
▶︎け
ケチャップで見事な絵を描いてくれるお姉さん
▶︎こ
氷砂糖から拾われてゆく乾パン
カステラの句に一番反応がありました。私はどうも甘いものが好きなようで、気をつけないと全部お菓子の句になってしまいます。「き」から「け」はお菓子以外の題材から考えるように意識しました。
ワイン句
▶︎か
カベルネ・ソーヴィニヨンに大丈夫遅れたとてと言われる
▶︎き
キュヴェと聞いて見知らぬ地に思いを馳せ
▶︎く
グランクリュというボードゲームではお金持ちだったあの子
▶︎け
原産地が迷子なワインも売れてゆく
▶︎こ
香水のふりまかれた空間は避けて試飲
原産地の句に一番反応がありました。自分自身の背中を押してくれるのはカベルネの句です。グランクリュというボードゲーム、いつか遊んでみたいです。
かるた自選句かきくけこ
▶︎か
カステラの底の紙からザラメ糖を掘り出す
▶︎き
決めるまで待ってくれていた店員
▶︎く
串カツのソース二度漬けのタイミングをはかる
▶︎け
消した跡がかすかに読み取れてしまう手紙
▶︎こ
コンサートホールから生まれる無音
反応の多い句は、自分自身もお気に入りな句であることが多いようです。今回ワイン句からは自選句出ず。
おわりに
コロナの影響で不安な気持ちが芽生えやすい今日この頃というのもあり、自由律かるた製作委員会の緊急企画にも参加しました。
▶︎ 自由律かるた製作委員会元気
後回しにしていたことが全部ぜんぶ片付いた
暗い気持ちになった時は、
#自由律かるた製作委員会元気
で検索をしてみてください。俳人の皆さんの元気の出る句を読むことができます。
今回も長文にお付き合いくださりありがとうございました。さ行が完成した頃にまたお会いしましょう。