楽をしてアップルパイを作りたかっただけだったのに
そのアップルパイは、想像していた見た目とは大きくかけ離れていた。
不規則な切れ込み模様が、奇しくもしょぼくれた顔を彷彿とさせる。まさに人生に疲れた顔をしたぬりかべのようなアップルパイ。
原因は、料理初心者であるのにも関わらず軽率にレシピをアレンジしたせい。本来ならば長方形の冷凍パイシートをレシピ通りに端から切り込みを入れるところを、パイシートを縦半分に折ってからランダムに切りこみを入れてみたのだ。そしてぬりかべを生み出した。
ここまで読み「この人はアップルパイを作るのが初めてだったのかな」と思った優しい方が居れば、すまない。当方はアップルパイを少なくとも三回以上は作っており、むしろ初めて一人で焼いたものの方が良い見た目をしていた。
▼図1:アップルパイ(作成初回)
良い見た目と言ってはみたものの、それはあくまで当社比の話である。シートが膨らみすぎているせいか交差させた網目がまるで退廃した建物のようだ。それでも当時は美味しく出来たアップルパイに浮かれて、仰々しくガラスドームまで被せて写真を残した(この文章を書いているうちにだんだんと恥ずかしくなってきた)。
▼図3:アップルパイ(作成三〜四回目)
やはりどうみてもぬりかべだ。どうしてこうなった。
原因は初めに書いた通り軽率にレシピをアレンジしたため。ではそもそもどうしてアレンジしたのかというところであるが、突き詰めるところおそらく楽をしたかったのだろう。その証拠に、ぬりかべパイは焼き上がりが白っぽく、照りが無い。これは、パイシートの表面に塗るべき卵黄液が塗られていないため。卵黄を塗る手間さえ省きたかったようだ。
ちなみにレシピに忠実に作れば、以下のリンクの写真のように見た目にも美しくて可愛いアップルパイが出来上がる。
そして、以前書いたメロンパンラスクの記事で、太字にまでして内省した内容が全く活かされていない状況に笑いがこみ上げてくる。もう三度目の正直にしようね、未来の私。
あんなに失敗したのも久しぶりだ。クッキー風のレシピではなく、クッキーのレシピを参考にするべきだった。簡単そうに見えるものに迂闊に手を出すから失敗してしまうのだ。
(引用:メロンパンに熱を入れる|寅三奈)
ちなみに誤解なきよう補足しておくが、今回参考にさせていただいた のん✳︎のんさんのアップルパイレシピは最高に美味しい。特に感激したのが砂糖煮のリンゴ部分。電子レンジだけで出来るのに、鍋でじっくり煮つめる方法と遜色ない美味しさ。ぬりかべパイは見た目こそアレだがめちゃくちゃ美味しかったのである。
私の他にぬりかべパイを焼き上げる人などそうそう居ないかとは思うが、これ以上ぬりかべパイの創造主が現れないように、念のためぬりかべパイのレシピを書き残しておく。
材料
のん✳︎のんさんのアップルパイレシピに忠実に従う
作り方:
1:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
2:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
3:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
4:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
5:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
6:シートを縦半分に折る(左端が輪になるように)。
7:写真の黒線の通りに切り込みを入れる。
切り込みを入れたら、縦に折りたたんだパイシートを広げ、
今度はパイシートを上下にそっと引っ張るようにして網目を広げる。
◎ここでポイント!
ぬりかべを人生に疲れた表情にさせるためには、上から二段目〜四段目に入れる切り込みを右下がりに入れるのがポイント。そうする事で、眉尻、目尻、口角となる部分が全て下がり、しょぼくれた顔が出来上がる。
8:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
9:のん✳︎のんさんのレシピに忠実に従う
完成!
皆さんは是非、のん✳︎のんさんのレシピを1〜9まで全て忠実に従って、見た目も美味しいアップルパイをご堪能ください。
⌘2021/1/21追記⌘
ありがたいことにぬりかべパイを愛でてくださる方々が現れ、生みの親は幸せな気持ちとなりました。せっかくなので、関連した記事のリンクを置いておきます。
ぬりかべパイの失敗から発想を得て、エイの裏側パイも誕生しました。ぬりかべパイのお友達です。
ぬりかべパイを作ってくださる方もいらっしゃいました。
ぬりかべパイとエイパイの絵も描いてみました。
ぬりかべパイとエイパイについての記事が増えたら、また随時更新します。