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日本の教育は変わらないといけないのか?〜詰め込み教育はダメ??〜


 僕は学校教育は変わらないといけないと思っています。

 思っていますが、自分の考えを疑う姿勢をもちつづけ、考えが偏らないよう努力したいなと常々思っています。その一環として、この夏休みは「自分とは異なる考えを主張する人の記事や動画を積極的に読んだり、見よう!!」ということを意識して過ごしていました。

 すると昨日、深く考えさせられる動画を見つけました。

 

 

 この動画は主に日本教育とフィンランド教育とその成果を比較していくものです。

 フィンランドは教育先進国と言われ、子ども主体の教育を重要視しています。その結果、PISA調査では高い成績をおさめていました。一方の日本の教育は「詰め込み教育」と言われ、どちらかと言うと教師主導の教育が多く見られます。「詰め込み教育は成果が出ない」「生徒主導の教育にしなければこれからの時代に対応できない」という類の批判から、日本もフィンランド教育から様々なことを取り入れようとしており、今の教育界のトレンドワードである「個別最適な学び」「協働的な学び」もその一環だと考えられます。

 つまり日本の学校教育は、従来の「詰め込み教育」の比重を減らし、フィンランド教育のような「生徒主導の教育」に近づこうとしているわけです。


 こんな傾向に警鐘を鳴らすのがこの動画です。この動画では冒頭、衝撃のデータを提示します。フィンランドのPISA調査のスコアが、劇的に下がっているデータです。一方の日本は相変わらず好成績を維持しています。

 この現状を鑑み、この動画は問うわけです。

「本当に詰め込み教育はダメなのか????」

 と。


 詳しい内容は実際の動画を見てみてください!たくさんの引用元を基に作られている動画です。めちゃくちゃ説得力があります。

 ここから先は、僕がこの動画を見て考えたことを整理していく記事にしていきたいと思います。論点にしたいことを見通しとして先に示します。



 それではよろしくお願いします!!

 

フィンランド教育は秩序を乱し、個人主義を蔓延させる?


 フィンランドが現在のような「生徒主導」の教育に切り替えたのは以外にも1990年代だといいます。そしてそれ以前はむしろ日本のような「教師主導」の教育だったそうです。

 ということは、以前の「教師主導」の教育を行なっていた先生方はまだ現場にたくさんいらっしゃるということです。そんな先生方が以下のような趣旨のコメントを残したといいます。

「この教育を始めて、教室に秩序がなくなったように感じる」(秩序の乱れ)
「以前より保護者からのクレームが増えた」(個人主義の蔓延)

 これは、現在進行形で日本にも起こっている現象ですね。

 ただ、前者に関してはある意味では当然だと思うんですよね。だって子ども主導の学習なんですから。秩序を何と捉えるかにもよると思うのですが、そりゃあ先生主導の授業よりは秩序が乱れているように見えるでしょう。

 また。後者に関してですが、わがままな保護者が増えたのは生徒主導の教育のせいでしょうか。

 それも原因かもしれませんが、他にも「社会的なストレスの増加」「情報過多と誤解」「学校の地位低下」「社会的なサポートの減少」など、原因だと考えられることはたくさんあります。


 フィンランド教育が秩序を乱し、わがままな人を増やすというデータは僕が探した限り見当たりませんでした。「フィンランド教育は秩序を乱し、個人主義を蔓延させる?」という疑問に答える際には慎重にならないといけないでしょう。

創造性には知識が必要?

 
 これには完全同意です。

 よく「これからの時代は創造性が大事だから知識は必要がない」「知識はGoogleにあるし」という指摘がありますが、僕はそうじゃないと思います。

 知識がない中での創造はただの思いつきです(芸術とかではその限りではない時もありますが)。ペラっペラの。

 そして、知識は内在化されて始めて使える知識になります。僕には頭は「新たな知識製造マシーン」であるという感覚があります。覚えて、頭の中に入れておいて、いつか新たな知識を生み出す素材として使われるというイメージです。

 だから、知識を頭にいれる必要がないという指摘は妥当じゃないと思います。

 ですが、「知識の詰め込み」が正しいとは思いません。いや、正確に言うと機械的に知識を詰め込ませるのを強いるような教育は間違っていると思います。嫌々覚えたところで、生きて使える知識にならないし、子供が学び自体を嫌いになってしまうからです。

 ただ、知識を頭に詰め込むこと自体は先述したように重要です。ではどうしたら良いのでしょうか?僕の経験と知識からこの問いに答えるとするならば、

 ・知識を覚える目的を子どもに理解させる(テストの点数を取らせるためとかではなく)
 ・子供が自律的にに知識を増やせるように自己調整力をつけさせる。
 ・(せめて)楽しく、効率的に覚えられる学習法略を教える。

 などがあるのではないでしょうか??

このような努力をせずに、恐怖や重圧で知識を得させるのは、僕は賛同しかねます(仕方ない場面もあるかもしれませんが)。繰り返しになりますが、学ぶこと自体を嫌いになってしまうからです。

 
 

フィンランド教育は学力差をより大きくする?


 この疑問は・・・フィンランドのテスト結果からも、麹町中(学校改革で有名な)の現状からも、そして僕自身の経験からも妥当なのかなって考えています。

 フィンランドや麹町中では、「自主性がある人は伸びる」「自主性がない人は伸びない」という現象が起こったそうです。

 僕も前年度「自由進度学習」もどきを実践してみましたが、やれる子はどんどん難しい問題にチャレンジし、やらない子は簡単な問題ばかり取り組むというような姿が見られました。

 これじゃ学力差は開くばかりですよね。

「子供は有能な学び手である」

 という子ども観への転換が強く求められています。実際そうだと信じたいですし、そんな子供の姿が見られるような授業改善をするべきなのでしょうが、まあ結果を見ると子どもが有能な学び手になるにはかなり工夫しなくてはいけないようですね。そのための時間と環境と人材の確保は必須であるように思います。

 そして、これは僕自身の反省なのですが、僕は「人間みんな僕みたいに自分でどんどん学ぶのが好きな生き物なんだ」という前提で物事を考えていました。

 でも、弟に「フィンランド教育どう思う?」と聞いたら

 「俺だったらそんな環境だったら勉強しない気がする。兄ちゃんみたいな人の方が少ないと思う。」

 って言われました。

 僕の自律的に学べる能力(地頭は悪い)はずっと、後天的なものだと思っていましたが、実な先天的なところも一部あるのかもしれません。

 って考えた時に「すべての人が自律的に学べるわけではない」ということも頭に入れておかなくてはいけませんね。

 とはいえ、自律性に先天的なものが一部あるとしても、自律性を身につけさせるのが教育ですから、いつかは手を離していく必要はあるのだと思います。

 それが小学校なのか中学校なのか高校なのかはまた議論が必要ですね!

 

 また、新たな論点もここで生まれます。「苦手な子はある程度できるように、できる子はもっともっとできるようになることは本当にダメなのか?」という論点です。

 ここに関しても日本の教育は答えを出していかなくてはいけないのかなって思います。

フィンランド教育はダメなの?


 超絶賛されて、あたかも「理想」「正解」のように扱われているフィンランド教育ですが、日本と同様にたくさんの課題を抱えていることがわかりました。

 じゃあ、フィンランド教育はダメなのか?

 そんなことはないですよね。どんなシステムにも完璧などなく、課題があるというだけのことです。

 また、フィンランドはPISA調査の結果にあまりこだわっていないそうです。あくまでも生きる力を身につけるのが目的だという立場をとっています。

 今回の動画の検証はあくまでも、PISA調査で測れる学力を軸に展開されたものですので、その結果だけでフィンランドの教育が間違っているかは測れませんよね!

日本の詰め込み教育こそが正解なの?

 
 っていうか日本て詰め込み教育なんですか?っていうのが僕の印象です。まあ中学、高校はそんなイメージでしたけど小学校で勤務している限りはそこまで「詰め込み」って感じはしません。

 まあ、仮に日本が詰め込み教育なのだとしたとして、詰め込み教育が正解なのか?と問われれば「そうじゃない」と思います。っていうか知識そのものの多さが評価されるような仕組みは間違っていると思います。

 評価の仕方として1番の理想は、「多くの知識がないと、あっさい内容になる論述」を課すことじゃないですかね笑

 A Iがこんだけ発達しているんですから、採点の「手間」などもだいぶ簡略化され、意外に現実的なんじゃないでしょうか。

 知識が目的じゃなく、手段になりますから。人間、目的を達成するための手段を得るのが案外楽しかったりしますもね〜。

例)大魔王倒すために、装備を揃えるのが大魔王倒すことそのものより楽しかったりする現象。

 


結論:日本の教育は変わらないといけないの?


 結論です。日本の教育は変わらないといけないと思います。

 でも、この結論の内実は先生になりたての時のような「フィンランドみたいにならないと」というものではありません。

 あくまで日本の効果を挙げてきた教育を基盤として改善していくというイメージです。実際日本の教育はこれまで高い成果を挙げてきているわけですから。

 

 この動画では、元英国大統領チャーチルの名言を文字って、すっごいまとめを行なっています。

「日本の教育は最悪である。ただし、他の多くの国の教育を除いては。」

 このまとめが全てを物語っているのではないでしょうか?(このまとめすげええ🤩)

 日本の教育は高い成果を挙げてきたのだから、それら全てを否定するのではなく、ちょっとずつ課題解決に向けて改善していくことが大切なのではないでしょうか?

 PISAが指摘する日本教育の課題は、

1 過度な競争と圧力
2 画一的な教育と批判的思考力の欠如
3 生徒への多様性への対応力
4 教師への負担へのサポート面

だそうです。これらに真摯に向き合い、これらを身につけるために他国の実践を少しずつ取り入れていく必要がありそうですね!

 

 この動画のおかげで自分の考えもより深まったと感じます。皆さんもぜひ、試聴してみてください!!

 ここまで読んでくれてありがとうございました!






 


 

 

 

 

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