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『How Will You Measure Your Life』⑤人生の階段を踏み外さないために

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『How Will You Measure Your Life?』Clayton M. Christensen

経営学者クリステンセンによる、幸福な人生を送るための思考法が学べる本書。三部構成となっているが、第三部は前の二部と比較して少し異なった内容になっている。第一部と第二部が人生の幸せを見つけるための方法を示しているのに対し、第三部では大きな過ちを犯さないための心掛けがテーマになっているからだ。

大きな成功を収めたにもかかわらず、大きな過ちを犯して人生を台無しにしてしまう人もいる。第三部は一章のみの構成となっており文章量もやや少なめ。それでも著者からの強いメッセージを感じる内容となっている。著者が強調したかった部分はここかもしれないと思った。

例外の先にあるもの

「ルールは守ろう!」と標語ポスターのようなことを言うのは簡単だけれども、時には柔軟な例外対応をせざるをえないこともある。ルールや習慣を守り続けるか、それらを破ってでも優先すべきことを対応するか。常にバランスを取りながらの判断が求められる。その際、直後だけではなく長期的な代償を予測する必要がある

誰もが守るべきルールや大切に習慣を持っていることだろう。もし、それらを破った場合どうなるか。最初は罪悪感や違和感を覚えるかもしれないが、繰り返しによって常習化してしまうことも多い。「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉は極端ではあるものの、小さな綻びがやがて大きな崩壊へとつながっていくことの恐ろしさをうまく表している。

特に、他者と共有しているルールや習慣は特に重要だろう。子どもへのしつけやビジネス取引などが代表的なケース。例外を認めた後は、ルールや習慣は変更余儀なくされ、例外は例外ではなくなることまでを覚悟する必要がある。

「一度だけ」「今回だけ」「特別に」といってルールや習慣を破った結果、すべてを失うということは決して珍しことではない。薬物によってメダルを剥奪されたアスリート、不倫によって追放された芸能人、インサイダー取引が発覚し逮捕されたビジネスマンなど、事例は枚挙にいとまがない。その後に起こることを十分に想定せず、その場の快楽や一時的な栄光を優先してしまったことによる悲劇である。

所感

人生に失敗はつきものではあるが、道を踏み外すようなことだけは避けなければいけない。道を外れるときには意外にも無自覚なのかもしれないと、本書を読み終えた後に思った。気が付いたら道を外れていた、きっとそんな状況なのだろう。だからこそ「一度だけ」は魔の言葉という思いを胸に刻み、常々思い出せるようにしたい。

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