『How Will You Measure Your Life』③目先の利に惑わされるな
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『How Will You Measure Your Life?』Clayton M. Christensen
僕にとっての人生の指南書『How Will You Measure Your Life』。今回はリソースの分配(Resource Allocation)について。
リソースとは?
多くの人が「資源(Resource)」という言葉を聞いて思い浮かべるのはヒト・モノ・カネだろう。これに情報・時間・知的財産を加えた6つの要素を経営資源と称することもある。リーダーはこれらを最適に配分することによって会社や組織の利益を最大化することを目指す。
Christensenの主張を読んで僕が面白いと思ったのは、上記の6つに代表される要素に加えて価値感やプロセスも同様にリソースとなりうるとしていることだ。経営資源(what)だけでなく、プロセス(how)や優先順位(why)もリソースであるという。
たとえばコンサル会社をイメージしてほしい。確かにコンサル会社は優秀なヒトや情報という資源を有している。けれどそれだけではない。長年培われてきたフレームワークこそが彼らの強みであり、価値を生み出す源泉といえるだろう。単純に頭がいい人が集まっているだけではなく、そこからどのように課題を解決するかという過程が財産であり、顧客が求めているものなのだ。
プロセス(how)や優先順位(why)を固めていく
リソース分配が大切なのは何も企業や組織だけではない。個人にとってもどのように自分の資本を使っていくかは慎重に考えていく必要があるだろう。それについても本書で述べられている。
有効なリソースの使い方は収益をあげることと自己成長につなげることの二つとされている。(ちなみに、どちらも簡単ではないとも述べられている。)
もし自分自身に既に優れたリソースがそろっていて自信があるのであれば、収益化を目指してもいいだろう。ビジネスを立ち上げるもよし。誰かを指導するのもよし。それによって生計を立てていくことも可能だろう。
しかし、僕のような20代、30代の若者であれば、すぐに収益化につながる資源をもっていない人がほとんどだと思う。その場合は自己成長のため投資をする比重を高くすべきである。
特に大切なのがプロセス(how)や優先順位(why)を固めていくことだとこの本を読んで気づかされた。それまでは自己成長というとプログラミングや外国語の能力を高めるといったスキル習得をイメージしていたことが多かった。
スキルは確かに大切だけど、それだけでは他の人間やテクノロジーに代替されやすい。時代の変化によって陳腐化してしまうリスクもある。むしろ、自身のコンセプトを固め、実現のための筋道を描けるようにすること。多様な課題に対して再現性をもって乗り越えられるようになること。これこそができる人財としての価値が高まめるために必要なものではないかと考えるようになった。
当然ながら、これらは一朝一夕で身につくようなものではない。困ったことに具体的な目標設定や数値化して比較する方法もほとんどない。だからこそ、そのために時間やお金を投資し続け、定期的に目指したい姿と現実をすり合わせをしていくことが必要なのだと思う。
転職の面接ではスキルに関しての質問以上に、志望動機についての質問や経験についての質問をされることが多い。これは採用担当もwhyの資源とhowの資源を重視している証拠であり、これらを兼ねそろえた人財に価値があるということだと思う。
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