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なぜ、あの店はテイクアウトをやめてしまったのか? 7つのポイント

昨年4月の緊急事態宣言の時に、多くの飲食店がテイクアウトを始めていましたが、結果はどうでしょうか?

難しさを感じて、すぐやめてしまったり、テイクアウトの他に通販、デリバリーなども着手し、手が回らなくなったりと思うように成果を上げられなかったお店が多いと思います。

しかし、このコロナ時代において、外食の機会の減退により中食、内食が増えていく流れはとめられず、テイクアウトの需要はさらに膨らんでいくでしょう。

中食 持ち帰り、家で消費される調理済みの食品
内食 家で素材から調理したもの 食材キットも含む

 また、コロナ禍がなかったとしても、少子高齢化、原材料と人件費の高騰などマイナス要因が多くいこととホワイト企業化の流れが強まり社会保険の加入義務遵守で、あと5年を待たずして、外食のメニュー価格は、かなり高騰することも予想されます。

ランチは1人 2000円  ディナーは安くて5000円

そうなると、外食は日常的ではなく、もっと特別なものになり、普段はテイクアウトへと流れていくようになります。
今後に向けて、テイクアウト事業がお店の新たな売り上げの柱になるように、しっかり固めていかなくてはなりません。 

以下にあげる注意点は、私が実際に行い、感じたことをまとめリストアップしています。
この点を十分理解して、実行に移す手だてにしていただければ幸いです。

1 テイクアウトで注意すべき7つのポイント

 1 テイクアウト用の盛り付けを完成させる
 2 最終調理工程が短い商品だけにする
 3 経過時間ごとに試食する
 4 料理の温め方、食べ方はハッキリ伝える
 5 消費期限を安全係数0.5に設定する。
 6 梱包資材などの置き場所が思ったより必要
 7 お客様は目の前にいない

2 テイクアウトは飲食業ではない

テイクアウトは、新たな設備投資もほとんどないことから、飲食業の一角に感じますが、実際は、そうざい製造業という異業種であることを認識しておかなければなりません。

つまり、オペレーションも利益構造も全く違い、店内の飲食に比べて数量がでなけれが利益につながらず、かなり利幅が少ないことを覚悟しないといけません。

売値を決めて、原価と照らし合わせるとがっくりするかも知れませんがテイクアウト専門店、惣菜製造業の専門店は、その薄利で努力して実施しているのです。
しかし、この覚悟があれば、飲食店ならではの付加価値も足すこともできるので、必ずチャンスはあります。

3 テイクアウト用の盛り付けを完成させる

持ち帰り商品の場合、店の雰囲気、皿、テーブルなど雰囲気を演出する面が劣ることは間違えなく、店内で提供される料理と同じ価格で販売することが難しくなります。
特に、盛り付けに関しては、私も数多くやってきましたが、店内で使用しているお皿を使用できないことで、料理全体の雰囲気が全く別のものになってしまいます。

したがって、調理方法は変わることはあまりないですが、テイクアウト用の盛り付けを独自に検討するのに相当な時間を割くことになります。

この研究をする時間を省いてテイクアウトを行い、収益を確保するどころか、かえってお客様を失うことになってしまっているお店が少なくありません。

私の知る限り、テイクアウト商品が売れずにすぐやめてしまったお店は、店内の料理をそのままテイクアウト容器に移しているだけのお店がほとんどです。

ここは、特に時間をかけるべきところと割り切り、一品づつ検証していってください。

私が大好きな盛り付けのセンスがいいと思うお二方
山本千織 チオベン


ジェイミーオリバー ドサっと盛り付けがかっこいい 


4 最終調理工程が短い商品だけにする

テイクアウトは、店内で飲食されるお客様と料理を提供する時間、タイミングが全く違います。

店内のお客様の料理を作りながら、テイクアウトのお客様の料理を準備することは、キッチンのスタッフにそれなりの負荷がかかることを理解しておかなければいけません。

居酒屋でとりあえず生ビールと枝豆、あとは2、3品頼む人がほとんどのところに、1人だけ、お水と焼うどんを頼むお客さんがいらした時のリズムの狂い方を皆さんはお分かりになると思います。

これがテイクアウトでは、ずっと続くのです。

そして、当たり前ですが、全ての料理が完成して揃わなければ、お客様は持ち帰ることができません。
 
店内のお客様のようにお酒と1品さえ提供できていれば、最悪15分は待たせても大丈夫! みたいな考えは全く通用しません。 

どんなにお待たせしても10分以内の提供が望まれます。

このことから調理の最終行程ができるだけ短いことが必要な条件とされます。

それが人員的に難しいようなら、受け取り時間を限定したり、予約のみにする方法で試してみるべきです。

5 経過時間ごとに試食する

ほとんどの持ち帰り商品は、2時間以内に消費されますが、根本的にお客様はいつどうやって食べるかわからないことを理解しないといけません。

当然、出来たてじゃないと美味しくないものは、テイクアウトでは出さないと判断されると思いますが、メニューを増やしたい思いから、許容範囲を広げてしまったり、彩りなど盛り付けに困って、なんとなく付け合わせで入れたものが劣化してしまうことが多く見受けられます。

また、テイクアウトの商品を必ず、試食はしていると思いますが、
お客様の食べる時間に合わせて食べていますか? 

最低でも1時間後、3時間後とそれぞれ確認をするべきですし、
冷蔵庫にしまって、翌日に食べることも想定しないといけません。

6 料理の温め方、食べ方はハッキリ伝える

テイクアウトでは、対面販売で商品の説明を店員が直接お客様に伝えられるという点から、保健所でも食品表示をしなくてもいいと認めていますが、基本的に商品を渡す時に、お客様は人の話は聞いてないと考えるべきです。

こちらは、電子レンジで2分ほど温めてください。
→冷たいまま、「いまいちだな。」とか言いながら食べてます。
 
こちらは、このソースをかけてお召し上がりください。
→違うものにソースかけてしまって「しょっぱいな。」とか言ってます。

温め方は、ふたに書いてあった方がいいですし、ソースは、すでにかかっていた方が善策です。
もしくは、ふたにシールを貼る、かわいいイラストで紙に印刷するなど目に留まる方法で、確実に伝えましょう。

7 消費期限を安全係数0.5に設定する

テイクアウトの場合、食品表示の義務はありませんが、食品表示のシールを貼ることをお勧めします。
もしくは最低でも、消費期限はいつかをわかるように明記すべきです。

賞味期限ではなく消費期限です。  
消費期限 「安全に食べられる期限」
賞味期限 「美味しく食べられる期限」 

お客様の安全を確保することが目的ですが、お店側も自分を守らないといけません。

お店で料理を保存するわけではないので、保存方法を伝えた通りに確実に守ってくれるわけがなく、やはりこちらからの提示は、
「美味しく食べられる期限」賞味期限ではなく、安全面で絶対食べて欲しい消費期限が採用されるべきです。  
そして、賞味期限と消費期限は同時の方がいいでしょう。
厳しく判断していきましょう。

たとえば  
12時間は安全に食べられる商品を安全係数0.5を採用し  
12h✖️0.5 =6h → 消費期限は6時間後 となります。  
したがって、夕方お渡しする料理は、 「本日中にお召し上がりください。」 となります。

8 梱包資材などの置き場所が思ったより必要

テイクアウト用の料理が完成し価格も決まり、ようやくメニューアップしようと、厨房、ホールですぐ対応できるように準備する段階に入ると皆さんが意外と困ってるのが、予想以上に梱包資材、テイクアウト容器で場所を取るという点です。
 
特に、小規模の店では、メニューを決める前にテイクアウト用の資材の置き場所をどの程度用意できるかを確認しておいた方が無難です。

仮にトンカツ弁当だとしましょう。
必要なものは、
箸 お手拭き ソース からし 弁当容器 弁当容器の蓋 袋 
食品表示シール    輪ゴム or   セロテープ

1品でもこれだけあります。

さらに、なるべく早く出さないといけないことから、すぐ取れるところにないといけません。
この保管スペースを普段、店内のお客様の料理を作っているスペースにねじ込むことはできますか?
このセットアップに相当な労力がいることを覚えておいてください。

9 お客様は目の前にいない

持ち帰って自宅などで食べる事になるテイクアウトの商品ですが、万が一、何かトラブルがあった時に、イートインと大きく違うことは、お客様が目の前にいないことです。
 
トンカツ弁当に髪の毛が入ったとしても、普段ならすぐお詫びに行き作り直す、これが出来ません。

また、商品の入れ忘れがあると、自宅まで届けに行かないといけなくなることもあります。

イートインだったらすぐフォローできることも、テイクアウトでは出来ないことを肝に銘じてください。

そして、お客様の表情を伺うことができません。

持ち帰った商品を召し上がって、不満や異常があった時に、お電話いただければ本当にありがたいですが、2度と買わないと決めて、連絡をいただけないことが最悪の状況であることを認識して、テイクアウト業を始めましょう。
 
ここが最も注意すべき点です。

ほとんどが当たり前のことですが、認識が甘いことが多いです。

改めて、テイクアウトの特性を頭に入れて、望んでいただきたいと思います。

もう一度まとめます。

10 まとめ

1 テイクアウト用の盛り付けを完成させる
2 最終調理工程が短い商品だけにする
3 経過時間ごとに試食する
4 料理の温め方、食べ方はハッキリ伝える
5 消費期限を安全係数0.5に設定する
6 梱包資材などの置き場所が思ったより必要
7 お客様は目の前にいない


テイクアウトをやるか? デリバリーをやるか?といった売り方の問題ではなく
一番大事なのは、お客さんの満足度の高いものを提供できているか? 
この一点につきます。

これは、コロナ前であろうが後であろうが全く関係ない話。

そもそもお店で出している商品は、美味しいのか、見た目が食欲をそそるものなのか?
その根本的な課題にフタをしてしまってないでしょうか?

私の知る限り、コロナ禍になってからテイクアウトを始めて成功しているお店は、そもそも以前から繁盛していて、すでに顧客がたくさんおり、
あの店の最高の料理が家で食べられるの?
と、待ちに待ったお客さんのニーズに応えた結果となっています。

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太田とよしき🎈飲食店経営コンサルタント
飲食業は最高に幸せなしごと。