2021年 飲食店のトレンドを総括!!
今年も多くのクライアント様、クリエーター様とお店づくりができて本当に勉強になる1年でした。
この大変な時代に、業態転換や新規出店をするパワーのある方々と出会えて楽しい2021年を送ることができました。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
さて本題です。
今回はタイトルのように、2021年の飲食業界のトレンドをまとめてみました。
今年を整理することは来年の展望に大きくつながります。
それではスタート!
コロナ禍が長引き大きな影響があった2021年の飲食業界ですが、この後にも先にもないような特異な状況下で飲食店はどう戦ってきたのだでしょうか?
2021年は、各飲食店の生き残りをかけた戦いから飲食業界全体のトレンドが形になり、日本全体の食文化さえも変えてしまった1年とも考えられます。
国からの助成金・協力金など、たくさんの支援を受けてきた飲食業界は、よほどの大規模な店舗でない限り、この大不況を乗り切ることができたようですが、この恩恵は2021年までであることは間違えなく、来年からは飲食店の本当のコロナショックが始まることでしょう。
この2年弱のコロナ禍で、どのように飲食店が変貌を遂げてきたのかまた、2021年のトレンドと共にまとめてみました。
1. 飲食店プラス【 副業展開 】へ
・テイクアウト
・デリバリー
・EC
・料理教室
・Youtube運営
挙げてみると多種多様ですが、今までテイクアウトさえも考えたことがなかったような飲食店が、持ち帰り需要に応え、あの一流飲食店が?というお店が、Youtubeを運営したりと、本業であるイートイン以外の売上を作ることを目標にさまざまな展開を試す1年となりました。
★ フレンチ料理界の重鎮、三國清三氏のYouTubeチャンネル「オテル・ドゥ・ミクニ」は、2020年スタート。
このほかにも多くの優良店のYouTube配信が始まっています。
営業時間の短縮、営業自体の自粛で、特に従業員を多く抱える店舗や家賃の高い好立地の飲食店は、非常に早い対応を見せ、テイクアウトなどを実施し、このコロナ禍を乗り切るための打ち手としましたが、その中で、その戦略が成功し収益を残した店舗は数少なかったようです。
原因は、テイクアウトは惣菜製造業の、デリバリーは宅配業のノウハウが必要であり、その専門店にはスキルが到底及ばなかった点が挙げられます。
また、ECやデリバリーなど、その業態を今後も常にやり続けることを前提に店舗の改装を行い、今後、イートインだけではない飲食店の形作りを進めてきた店舗も多くありました。
コロナ禍では、協力金なの資金を利用して、飲食店の改装工事が多く見られました。
2. 業態転換の枠を超えた事業展開
この2年で、新しいキーワードとして取り上げられる業態で、「ゴーストレストラン」と「シェアキッチン」が最近よく耳にされると思います。
『ゴーストレストラン』は、文字通りお客様がいない状態で営業されることが由来。
これはピザや寿司の宅配で従来から行われているビジネスでした。
しかし、これまではデリバリーされる料理の種類は、ある程度限定されていましたが、『えっ、こんな料理まで?』というようなジャンルのものが提供されていることからレストランでの体験を自宅でというニーズに応えようと一段レベルの上がった業態になりつつあるようです。
経営コストの面では、一般的な飲食店と比べ、駅から離れた立地の悪い場所でも、半径2km範囲の世帯数が4万世帯を超えていれば、成立することから、家賃という固定費が大きく抑えられるのが、非常に大きなアドバンテージを生んでいます。
そして、『シェアキッチン』の台頭もかなり目立ってきました。
この背景には、コロナ感染拡大の影響で、これまで週に6日ほどの勤務が日常だった飲食店従事者が勤務日数を減らされたり、わりとしっかりとスキルを持った料理人が解雇されたことから、短期的にでも自分で商売をすることを目的としたり、これを機会に自分でビジネスを始める基盤づくりのために、シェアキッチンでの開業を選んだことも追い風となりました。
また、既存の飲食店がテイクアウトやECの商品の生産場所として、一時的に使える調理スペースが必要となったことが大きいのです。
学芸大学で盛り上がっている『シェアキッチン』
コロナ前であれば『ゴーストレストラン』も『シェアキッチン』も飲食店ではなく異業種と捉えられている部分もありましたが、アフターコロナにおいては、この垣根はあまりなくなってしまい、今後そのトレンドは続いていくのでしょう。
3. 飲食店で急加速するDX化
コロナ前からの人材不足、人件費、食材費、燃料費の高騰があり、年々、飲食店の必要経費は上昇し、そこにコロナ騒動があったことから少ない人数で効率よく作業し、機械や装置、ITをフル活用するトレンドがはっきりと現れています。
特にある程度の規模を持っている飲食店は、配膳ロボなどを導入するケースもあり、まさに人間に変わってロボットに作業をしてもらい、何よりも高くつく人件費の削減を狙っています。
また、そのような高額なイニシャルコストを支払う余裕のない個人商店や小規模の飲食店でも、DX化のトレンドはあり、比較的少額の投資でも導入できる決済システム、予約システムを採用し、ipadひとつで、効率化を図っていくことは、2021年に入り当たり前となってきました。
さらに感染症の拡大予防の観点から、非接触型のアプリも存在感を示しています。
オーダーしてから商品を受け取るまで一切の接触を無くした飲食としてクローズアップされたお店【ブルースターバーガー】
★中国のラッキンコーヒーからヒントを得た業態と言われています。
また、完全に非接触型とまでいかずとも、接触の機会を減らすための飲食店のシステム・アプリがたくさんリリースされたのが2021年のトレンドです。
中でも、飲食店に訪れたお客様のスマホをデバイスとして利用し、テーブルから、そのお店の料理の注文をお客様自身でできるシステムは、人件費削減や注文を聞くときのミスの減少も期待でき、採用する飲食店は激増しました。
LINE ミニアプリ
Okage go to
このような飲食店側とお客様側の双方の時間と労力を大切にできるシステムの導入は2021年を境に常識になるでしょう。
4. シュウマイと鶏の唐揚げ
2021年でさらに定着し、取り扱う店舗も増えた料理として、『シュウマイ』と『鶏の唐揚げ』が挙げられます。
小麦粉を原料とすることと牛肉などの高価な精肉は使用しないことから餃子は低価格の飲食店で採用されることが多かったですが、これまでそれほどの存在感でもなかったシュウマイに着目する飲食店は多く、コロナ前から少しずつ増え、この2021年に激増しました。
ちょっと軽く呑むときや立ち飲みでも気軽に楽しめること、酒の種類が限定されないことが勢いのついた原因でもあります。
一方、同じような低価格の原材料であることから、昔から定番となっている鶏の唐揚げだが、今回のコロナ禍で、大手の飲食店チェーンが鶏の唐揚げのテイクアウト業態に乗り出したことから、その乱立が始まったのも2021年のトレンドです。
各社とも、フレーバーの違いや形状の違いで差別化を図ろうとしているが、さすがにここまで競合店舗が増えてくると供給過多となってしまいます。
いつの時代でも、低価格の原材料で、家庭で作るのは面倒なものは、飲食店にチャンスがあるという定説は変わらないようです。
シュウマイは、『手作りは面倒だし、蒸し器がないからできない。』
鶏の唐揚げは、『食べたいけど、油の始末と汚れが気になるからやりたくない。』
こんな主婦の声は、いつもビジネスのヒントになり、それを飲食店の経営者は取りこぼすことがないようです。
5. 昼間のぜいたく主義へ
緊急事態宣言が明けても、やはり深夜のお客さんの動きはとても鈍いままのようです。
家飲みを楽しめるように工夫し、酒の量が減って、朝ジョギングするようになると、やはり22時になると帰路に着くルーティンになってしまう。
この流れは、当面変わらないと考えられ、2021年は人々のその習慣を根強いものにした1年でした。
深夜に余計に使っていたお金を昼間の時間帯の消費に充てるようになることは、ごく自然なことかもしれません。
深夜の飲食は基本的にお酒が絡むことから、わりと高額になるが、それに比べて、昼時は普段より500円多く払えば、とてもリッチな気分になれます。
900円のランチを普段食べる人が1400円使うことできれば、どれだけ彩るかは簡単に想像がつくはずです。
飲食店側としても、ランチ営業は「くたびれ儲け」で、『お店の宣伝と考えて、プラスマイナス0ゼロならばやっておくか。。』という感覚で営業している飲食店も少なくないはずです。
しかし、この2021年で、この考えは大きく変わり、高価格帯で少しいいものを提供できる飲食店は、ランチ営業の独立採算を目指すチャンスがきたと考えるべきかもしれません。
まとめ
緊急事態宣言に振り回された2021年の飲食店でしたが、国の補償によって、他の業界よりもまだ保護されてきたビジネスなのでしょう。
しかし、2022年は、今までの国からの支援もない上に、大きく消費が落ち込み、お酒をメインの収益源としていたい飲食店にとっては、厳しい1年になっていくでしょう。
飲食店に行くことがもっと特別になっていくこれからの時代で、『まぁいいか、ココで。』というお店選びをする人は確実に減ってきています。
そのお店じゃなくてもいい『替えのきくお店』は、どんな時代も少し時間をかけて淘汰されますが、2022年以降は、その淘汰されるスピードがものすごく速くなることは間違えありません。
「なんの料理を出すか?」ということよりも、『どんな思いがあるのか?』
という他の人には真似することができない、経営者の信念や思想がのっかった飲食店に今後フォーカスがあたることになるでしょう。
年末年始を機会に、経営者も従業員も『なぜ、自分は飲食業を選んだのだろう?』こんな根本的なところから見つめ直すことも大切なのかもしれません。
今年も大変お世話になりました。
どうぞ良い年をお迎えください!
ありがとうございました。