<読書録:シン・ニホン>
日本には不安と停滞感、現実を直視しない楽観、たそがれ感が満ちている。悲観論や批判ばかりの人、危険をあおるだけの人も多い。単なる悲観論、それは逃げだ。自分たちが未来も生き続けること、自分達が次の世代に未来を残す存在であることを無視している。
文句は言ってもいい。しかし言った人が直す。は僕らが保育園や幼稚園で学んだこの社会の掟だったはず。
同書は現代の経済のルールや知的生産のルールが大きく変わってしまったこと、日本が今どういう状況にあるかということ、そしてその中で個人や社会は何をしなければいけないのかということ、これらを人つなぎにまと目られている。
枠組みを日本として見たときに、これから何が起きようとしていて、何が課題になるのか?
そしてその課題に対してどのような取り組みをもってして、乗り越えていくのか?という内容理解の叶う本。
そもそも
【人口減少は悪ではない】
「経済成長」は持続可能な社会の創造に非常に重要な要素であるが、
「人口減少」が経済成長を阻害するという考え方は異なる。人口がいれば経済が成長するという論点は労働集約型の考え方に帰結する。
日本の生産性は先進国一低い。高める余地は多分にある。
技術の力、エコシステムの創造で経済成長は十分成せる。
【AI×データが未来を変える力】
持続的な地球、持続的な人類の繁栄、持続的な日本という枠組みで考えると、課題を解決しうる圧倒的に大きな可能性を持つのが「AI×データ」。
「AI×データ」は生産性・効率性・合理性、追求しいわゆるこれまでのエコシステムを再構築する力がある。
プライバシーは重視される必要があるが、まだまだ分断されたデータが多く最大限活用ができない状態。リアルもネットでもいずれのデータもつなげて捉えられる状況は作る必要がある。
・マッシュアップエコノミー
一社で丸々情報リソースを抱え込もうとする必要もなく、「ここだけは」というところを徹底的に作り勝負所以外は外注する仕組み
なぜするかといえば、スピード、情報収集コスト、複雑性が高いため。
<未来は課題意識、夢を何らかの技術で解きあかしデザインでパッケージングしたものと捉えられる>
過去も含め、革新は、生み出したい、解き明かしたいという想いから生まれてきた。
これからは特に「妄想し、カタチにすること」ができる時代、かつこれが富に直結する。
【価値創出の3つの型】
・N倍化→量的拡大ハードワークの世界
・刷新→アップデート(例:医薬品がポカリの原点に)
・創造→イーロンマスクやジョブズ
※人口減少のこれからはN倍化が通用しない。
下記の二つが富を生む
・刷新→アップデート(例:医薬品がポカリの原点に)
・創造→イーロンマスクやジョブズ
誰ができるの?
→「異人」である
【「異人」とは?】
・あまり多くの人が目指さない領域のいくつかでやばい人
・夢をケガキ、複数の領域をつないで形にする人(課題×技術×デザイン)
・どんな話題でもそれぞれ自分が頼れるすごい人を知っている人
ちなみにこれまでは下記であればよかった。
・みんなが走る競争で強い人
・科学、工学、医学等個別領域の専門家
・自分で何でもできるすごい人
とはいえ、
人間社会で成功するかどうか、面白いことを仕掛けられるかどうかのかなりの部分は、
運、根気、勘、チャームが非常に重要
チャームとは?要素分解
・明るさ、前向きさ、
・心の強さ
・信じられる人であること、人を傷つけたりだましたりしないこと
・包容力、愛の深さ、心の優しさ
・その人らしさ、真正さ、独自性
・エネルギー、生命力(運気の強さ)
・リスクをとって前に進める提案力、実行力・推進力
・建設的な発言
・協力し合う、助け合う人型、耳を傾ける力
・ユーモア、茶目っ気
・素敵な裏表のない笑顔
【「異人」を育成するには?】
現代のリベラルアーツ(これからの社会を生きぬく基礎教養)を(中高生の間がベスト)ベースとして学ぶ必要がある
※リベラルアーツをベースにさらなるものを身に着ける
■現代版リベラルアーツ
・母国語
・世界語(英/中)
・問題解決能力
・データ×AIリテラシー
・母国語
∟明確に考えを表現し、伝え、議論することができる
∟正しく文書や相手の言っていることが理解できる
・世界語(英/中)
∟情報のタイムリーな情報収集力
∟いうべきことを敬意をもって的確に伝える力
・問題解決能力
∟問題設定力
∟MECEに切り分け整理する力
∟So Whatを繰り返し意味合いを出す力
∟以上を踏まえ実際に結果につなげる力
・データ×AIリテラシー
∟分析的、データドリブンな思考力ト基本的な知見
∟数量的分析力
∟統計的素養
∟情報科学の基本
∟データエンジニアリングの基本
【AIに代替されない人間に残ること】
・自分なりに見立てて、それに基づき方向を定めたり、何をやるかを決めること、また問いをたてさらに人を動かすこと
・欲しい姿をデザインする最のベースになるのは、夢を描く力、妄想力、そして自分なりに見立てる力だ。
・機械が出した答えに人は動かない、自分が原落ちしたうえで、それぞれの人たちに、これまでの文脈、これからのビジョンもあわせて説明し、原落ちしてもらい、動かすのも僕らの大事な仕事になる。
【日本のイノベーションが起きにくい構造】
例えば、AI人材が育たない、技術分野で海外に勝っている分野がほとんどな
積み上げた日本の叡智をものすごいスピードで溶かしている。
根本の原因は
・国家におけるR&Dにおける予算編成の低さ(技術へのリテラシーの低さ)
∟アメリカは10倍近くあるのに、むしろ日本の財源は減らされている。
・大学の稼ぐ力(東大とMITは大学の年間予算が3倍違う)
∟国頼りの予算設計、卒業生からの寄付が集められていない(東大は個人基金は6%、イエール大学は75%)、基金が少ない&運用ができていないの運用
結果起きていることは
・博士課程に進む学生の減少
・研究資材不足で研究が進まない
・日本ではなく海外で研究する研究者・学生の増加
イノベーションとは脱「選択と集中」である。「多様性」こそが源泉でもある。
<未来は予測不可。だからこそ創るものであると捉える>
ダーウィン
生き残るのは最も強い種ではなく、最も変化変化に対応できる種である。
一番いいのは未来を生みだすことだ。
アラン・ケイ
未来を予測するのに一番いい方法、それをは発明することだ