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<読書録:21世紀の啓蒙①>~「啓蒙主義」人が生きる意味とは?~

目次-------------------------------

「啓蒙主義」人が生きる意味とは?
②問題は貧困であって格差ではない
③農業技術の革新の不当な認知と攻撃がなぜされているのか
④温室効果ガスと環境問題 
⑤なぜ人は正しく認知できないのか
⑥平和と富と民主主義の関係



<読書録:21世紀の啓蒙>

人が生きる意味とは?から「啓蒙主義」の理解

全ての失敗、全ての悪は知識の不足によるものである。我々の知識が不完全には程遠いがために問題は必ず起こるが、問題は誤りを見つけて正すことで、解決可能である。

今世界で起きている問題に対して、歴史的文脈、正しい統計的数字等から正しい知識を身に着け,

「私たちは理性と共感によって人類の繁栄を促すことができる」という啓蒙主義の原則に基づき、「理性」「科学」「ヒューマニズム」「進歩」という観点から問題を考察・洞察したのが同書。


喜びも痛みも、満足も苦しみも、感じるのは集団ではなく「感覚を持つ存在」である個人であるから、部族、種族、国家、宗教の栄光より個々の男性、女性、子供、の幸福を重視するという考え方。

 

■人が生きる意味とは?から「啓蒙主義」を理解する

「なぜ私は生きなければならないのか?」(抜粋:学生からの質問に答えた本著者)

この問いが生まれるということは、あなた自身でも合理的理由を探しているということ・いわゆる自分にとっての大事なものを見つけたり、その正当性を示したりする手段として、「理性」を頼りにしているということ。

「感覚をもつ存在」であるあなたは「わくわくするような人生を送る力」を持っている。例えば学んだり考えたりすることで、理性の力そのものを磨くことができる。科学を通して自然界の真相究明に努めることも、芸術と人文科学を通して人間のありようについて探求することもできる。喜びや欲求充足のために自分の力を存分に発揮することもできる。あなたの祖先もそうすることで繁栄し、だからこそあなたも存在している。あなたはこの世界の自然の美しさや文化の豊かさをめでることができる。あなたには「共感」を抱く能力(好ましく思い、愛し、尊敬し、助け、そして思いやりを示す能力)があり、その共感を家族、友人、同僚とわけあうことができる。

そしてこれらのどの一つとして、あなただけの特有のものではないことが理性によってわかるのだから、あなたには自分が得られて当然だと思うものを、ほかの人々に提供する義務がある。あなたは「感覚をもつ存在」としての生活の質、健康、知識、自由、豊かさ、安全、美、そして平和をより高めることによって、かれらの幸福を育むことができる。歴史を見ればわかるように、他の人々に共感し、自ら創意を凝らして人間のありようを改善しようとするとき、私たちは進歩ができる。そしてあなたも、その進歩の継続力を貸すことができる。

 

■科学によって無知と迷信から脱却する

一般通念はとんでもない間違いを犯しうる。価値は技術だけではなく、科学の手法にある。疑問を持つこと、間違っている可能性と正される可能性を持つこと、開かれた議論と経験的検証こそ確かな知識を得るための便りである。

 

■認知力と規範、制度が、人間の不完全性を補う。

人間は合理的である。という考えは誤りで、人間は非合理的であり、誤った意思決定をすることが大いにありうる。

自分の経験だけを一般化し、固定観念で推論し他人にも当てはめようとするし、自分の革新を裏付ける証拠は集めるが矛盾する証拠は無視するし、自分の知識、理解、正当性、能力、運を過大評価する。

とはいえ、人間の認知力はその限界を超えうる特性がある。

認知力とは「抽象化能力」である。ある「場所」におかれた物体についての概念を、ある「状況」におかれた人のような「存在」の概念化に転用することができる。

そして「組み合わせたり、繰り返したりする力」を持っている。「体内には体液がある」「病気は体内にある体液の不調和である」「私は病気が体内にある体液の不調和だという説をもはや信じていない」といったように、モノ、場所、経路、動作主、理由、目的といった基本概念を組み合わせて、命題にすることで驚くべき多種多様な考えを生み出すことができる。それも一つの命題で終わらず、命題の命題、命題の命題の命題と膨らませていくことができる。この二つこそ人間にしかできないことでもある。

 

また私たちの関心を偏狭な利益から、普遍的利益へと切り替える規範と制度を生み出していける限りにおいては、人間の本性は自らの改善の種を宿しているといっていい。そうした規範には言論の自由、非暴力、協力、コスモポリタニズム、人種、人間の可謬性の自覚が生まれ、制度には科学、教育、メディア、民主国家、国際組織、私情が含まれる。

※コスモポリタニズム:人は理性を持っている時点で平等であるから、皆が尊重されるべきである

※可謬性:知識についてのあらゆる主張は原理的に誤りうるという哲学的学説

 目次-------------------------------
①「啓蒙主義」人が生きる意味とは?
②問題は貧困であって格差ではない
③農業技術の革新の不当な認知と攻撃がなぜされているのか
④温室効果ガスと環境問題 
⑤なぜ人は正しく認知できないのか
⑥平和と富と民主主義の関係


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