おじいちゃんの思い出


おじいちゃんの口癖は
「農協へいかないかん」

朝でも昼でも夜でも夜中でも農協へ行くと言うので、
「農協は20年以上前に潰れている。」と、僕と弟とおばあちゃんで止めていました。

おじいちゃんは、たぶんアルツハイマー型認知症でした。
その時の僕は、認知症の事もよくは知らず、痴呆って言われるって、恥ずかしいなと思っていました。

いま思うと、無知な、自分の方が恥ずかしく、情けないです。

もう過去に戻る事もおじいちゃんに謝ることもできません。

おじいちゃんに対してもっと話を聞いたりもっと優しくしたり、お返し出来ればよかったなと後悔しかないです。

いま僕は、施設で理学療法士として働いています。
患者さんは高齢者の方が多く、認知症の方と関わることがあります。
そんな時、お話を聞き不安や寂しさが少しでもラクになればと、何も出来ないけれど、おじいちゃんの事を思い出しながら仕事しています。


このおはなしはフィクションです。


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