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帰るべきところへ

 9月28日に終了した「GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜」。ドラマは実在する警視庁内の組織、身元不明人相談室を舞台に年の差があるが同期バディの三田桜(小芝風花)と月本真(大島優子)が持ち込まれたご遺体を帰るべきところへ返して行くという物語である。
 元サッカー選手とその妻、大金を息子に残した父、インフルエンサーとその友人、といったように夫婦、親子、友人と絆の深さを感じた作品となっていた。
 しかし、第4話以降になると2人のそれぞれの事情が明らかになる。詐欺に手を染める羽目になった息子と両親の回では真が東日本大震災による津波で恋人が行方不明になっていたことが明らかになった。さらに、商店街で亡くなった母親の回では桜が母親との関係が悪く、その事情まで明らかになった。
 その後もトー横キッズの友情や親に認められなかった同性カップル、かつて高校野球でバッテリーを組んでいた刑事とヤクザの絆など、家族や友情の絆を描いていった。
 しかし、最終章では同僚の堀口(戸次重幸)が階段から突き落とされたことで状況は一変する。堀口はかつて事件を起こした父親のせいで、警察官になれなかったが、戸籍を偽ったことで警察官になったというエピソードが語られた。そこでも親子や夫婦の絆がしっかり描かれていた。そして最終回では、室長の利根川(吉田鋼太郎)が同期でもある公安部長の佐川(杉本哲太)の罪を糾弾し、堀口の家族の名誉を回復させた。さらに桜の恩人でもある男性(尾美としのり)の身元も明らかになり、母親の葉月(鈴木杏樹)との関係も少しずつ回復していくのである。
 身元不明のご遺体がわかるにつれ、それぞれ抱えていた家族のほころびを解いていく。
ドラマの中に良いスパイスが生まれていたのがうかがえる。
 最後は真が福島に移ることになるので、バディは解散となるが、今後もまた見たいと思う人も多かろう。時期はどうあれ、続編を見たいと思う。

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