【実話】インスタ×ChatGPTは絶対に失敗するので、今すぐやめるべし。
ChatGPTが大ブレイクした2022年末。
「インスタ運用のプロ SAKIYOMI」と呼ばれる弊社でも何かしら活用できるのではないか?と話題になり、代表から直々に「SAKIYOMI ChatGPT活用PJ」のオーナーを拝命した。
さて、SAKIYOMIだったら何ができるかと思索に耽った結果、1つの結論に至った。
インスタのコンテンツ作成は、とにかく時間がかかる。特にSAKIYOMIの場合、よりクオリティの高いコンテンツを作成することに命を賭けていることもあり、そのステップは複雑怪奇を極めている。
その詳細が気になる人は、こちらを参照してもらいたい。
1投稿の作成に要するのは3時間。
月に10投稿するなら、30時間。
100アカウントを運用しているため、3,000時間。
仮にこれが30分で終わるなら…
考えただけで人事の血が騒ぐ。
とてつもない工数削減であり、生産性向上における革命を起こせると言っても過言ではなかった。
しかし、僕は気が付いてしまった。
『ChatGPT、ぜんぜんインスタで活用できなくね?』
これは、僕がインスタ運用のプロ SAKIYOMIの社内で、ChatGPTではない形でAI活用をし、工数削減、生産性向上の革命を本当に起こしてしまった話。
AIへの誤解と本質
AIに対する人類の誤解。「AIは万能だ」ということである。
それこそ、ChatGPTの登場により「ハルシネーション」が叫ばれ、初めて「間違えるんだ」ということを理解した人も多いだろうが、それでもなお、AIへの期待値が「万能」であることに違いはないだろう。
しかし、万能さは誤解であり、AIの本質はそこにない。
そもそもAIは、大量に学習したデータの中から、指示に対して最も確からしい答えを弾き出す動きを取る。つまり、与えられた指示に呼応する形で、可能な限り精度の高い推論ができる、ということがAIのcanであり、その本質であると、僕は考えている。
AIと人間
AIの本質を考えたときに、それを絶対的なものとして捉えがちかもしれないが、これは人間が知覚し、思考し、行動することと大差はない。
人間も、知覚によって情報をインプットし、思考によって整理・指示出しし、行動によってアウトプットをする。
つまり、AIと人間とで構造的な差異はなく、その処理能力の速度とキャパシティの大きさ、体力と忍耐力にスペック的な違いが生まれているだけであると考えられる。
そう定義すると、AIはより身近なものだと捉えることができる。AIでハルシネーションが起きている状態とは、指示を出した自分のメンバーが、自分が期待していたアウトプットを持ってこなかった時と同義。
その根源悪は、自分の指示の出し方が悪いのかもしれないし、そもそも自分のメンバーがインプットをそれほどしていなかった可能性もある。
いずれにせよ、AIと人間とに差異がない以上、AIは人間のように扱う必要があり、AIが期待通りな動きをしないのであれば、それをAIの責任とするのではなく、あくまでもそこに指示やインプットをさせた人間側に問題があると捉えるのが必然だと言える。
ChatGPTと人間
AIと人間が構造的に相似であると考えたときに、ChatGPTとは”何者”であると考えられるのだろうか。
ChatGPT(のgpt-4)は2023年4月までの情報を学習してあり、テキスト生成、画像生成・解析、音声解析までもを実現します。言い換えると、目と耳を持ち、会話が成り立ち、世界中のあらゆる2023年4月までの情報を知っているやつ。
博士?博識者?知識人?とにかく知識を大量に持っており、何かを聞いたら即座にアウトプットを返すことが可能な人、と言えるだろうか。そこに加えて、直近のことは答えられないが、何かを教えたら自慢の短期記憶と強力な理解力で、それに基づいたアウトプットを返してくれる。
いやはや、自分で打ちながら、その万能性に驚く。
博識者との対話と”ならでは”の落とし穴
「ChatGPTは博識だから」という思い込みから、インスタのコンテンツ作成における工数削減を求めて、僕はその博識者と対話を続けた。
『全ては指示の出し方で変わる』
そう信じ、3ヶ月間、ほぼ毎日と言っても良いほどプロンプトをこねくり回し、試行錯誤し続けた。
しかし、結果は芳しくなかった。
かろうじて導き出したのが、gptを「SEOライター」として役割定義をし、役割に則ってSEO記事を作成させること。
それが精一杯であり、そしてそのアプローチでは、なんの成果も得られない、という壁にぶつかってしまった。
そこには”博識のgpt”ならではの問題があった。
一般論しか語ることができない
博識だからこそ、広く知識を保有しているものの、インスタ特有の良い意味で「偏りのある知識」を導き出してはくれない。
インスタのコンテンツは学習していない
冷静に考えると、インスタのコンテンツは画像であり、その画像の中身までをインスタが学習しているわけではない。博識だからこそ、テキストで生成されたWebコンテンツの学習は済んでいるが、インスタをカバーはしていない。
どれだけインスタのコンテンツ作成にChatGPTを活用しようとしても、彼が博識者であり続ける以上、インスタに活用できる未来は訪れないことがわかってしまった。
最強メンバーとしての育成
AIの本質へと立ち返る必要性を突きつけられた僕は、gptからの脱却を図った。
1. インスタマーケの基礎だけを学習させる
既存のAIサービスに、SAKIYOMIがこれまでに積み重ねてきたインスタマーケの基礎概念など、当たり前のように学習されていない。
SEOマーケターに「インスタのコンテンツを作れ!」と叫んでも、そりゃどう頑張ってもSEO記事に類するものができ続けるだけである。
そのため、SAKIYOMIの中に眠っているほぼ全てのテキストコンテンツを掘り起こし、「インスタマーケに即したコンテンツとはこれである」をAI(仮称:投稿作成AI)に大量に学習させた。
これまでに運用を担ったアカウントの数は、数百を超える。コンサルティングも含めたら、それはもはや不明だ。それらがおよそ1年間コンテンツを作り続けているわけで、それをインプットさせたら、流石の人間でも「こういうことなのね」という基本を学習できる。
まずはこれを、労働集約的に徹底した。
2. スコアリングシステムを用いたフィードバックシステム
人間も、基礎を学習したからといって、言い換えると、頭で理解したと言っても、それを実践できるのかは別の問題。大量のテキストコンテンツを読み込ませた投稿作成AIが、僕らが理想とするテキストコンテンツを作れるのかは、甚だ疑問だ。
ということで、実際に社内で良いとされるコンテンツを洗い出し、それらを元に、およそ10項目で構成されるスコアリングシステムを作り上げた。
そして、投稿作成AIにテーマを与え、そのテーマに沿ってテキストコンテンツをアウトプットし、スコアリングシステムに即してフィードバックをする。
そしてフィードバックの内容をもとにアウトプットのさせ方をチューニングし、また次のテキストコンテンツをアウトプットさせる。これをひたすら繰り返した。
まさに自分のメンバーが何かをできるようになるまで、ひたすらフィードバックをし続けたのだ。
3. 柔軟に学習内容を変更させられる
インスタのコンテンツを大量に学習させたものの、学習させたジャンルが多岐に渡ったこともあり、ややgptのアウトプットに似通ったアウトプットを出すようになってしまった。
つまり、自分たちで学習させ続けた投稿作成AIも博識に近づいてしまったのだ。
当然のことだが、この投稿作成AIの利用シーンは、社内の運用代行案件であり、そのジャンルは多様。だからこそ、都度そのジャンルに適応した、そのジャンルに特化した、そして、インスタのコンテンツの基礎をしっかりと学習した、良い塩梅の投稿作成AIが必要だと気が付いた。
そこで、投稿作成AIにデフォルトで学習させておくものは「より抽出されたインスタマーケティングの基礎」だけとし、それ以外の余分な学習は可能な限り削ぎ落とし、そのドメインや領域に特化した情報は後から付加できるようにする。
その投稿作成AIに学習機能を実装した。
4. 競合の上位互換を倒すために競合を学習する
学習させられるジャンルに柔軟性を持たせ、その中でもインスタマーケティングの基礎は確実に抑えている。そこまで来た時点で、ある程度戦っていける投稿作成AIを作ることに成功した。
しかし、それを社内の運用担当者にテストローンチしたときにもらったフィードバックが痛烈だった。
「AI使って競合よりも良いコンテンツって作れないんですか?」
かなり盲点だった。人間がインスタマーケをするときも、当たり前のように3C分析を行なっている。自分のメンバーにインスタマーケを教える際も、それを教えているのにも関わらず、ことAIになったら抜け落ちていた。
そこで、学習機能自体をアップデートし、Instagramの中にあるコンテンツを学習させ、それを元により上位互換のコンテンツを作れるように進化させた。
苦節10ヶ月。神ツールの爆誕。
ChatGPTが登場した2022年末から10ヶ月後の2023年10月。博識者であるChatGPTではなく、自社で0から育て上げた最強のメンバーが爆誕した。
社内向けに、2度目のテストローンチ。
↓これは開発当初から頑張ってくれたエンジニアの実演動画
そこで成し遂げた実績が想像以上だった。
テキストコンテンツの生成にかかる時間、わずか2分。
画像生成も含めると、1回30分。
運用担当者と比較したコンテンツのクオリティ、38%向上。
月間の投稿可能数、2倍。
社内からの評判も上々。
僕はこのプロジェクトを完全にやり切った。
誇張でもなんでもない、正真正銘の神ツールの爆誕に成功したのだ。
生産性向上のフィールドは社内から社外へ
当時の僕のように、ChatGPTの可能性を信じ、インスタ運用をはじめとするSNS運用にAI活用を取り入れようとする方々は多くいるだろう。
僕はそれを全面的に肯定する。
僕たちが作った投稿作成AIは、
SNSマーケターから無駄な労働を解放する。
今はまだインスタのフィードとリールだけだが、リールができるならTikTokでも使えるだろうし、同じロジックからきっとYouTubeの台本も作成できる。X(Twitter)は言わずもがなだろう。
僕は人事だからこそ、正直、投稿作成AIが誕生した瞬間に、満足していた。社内で実績を作ることができたし、僕の守備範囲である社内メンバーの生産性向上は達成された。
しかし、満足していなかったのが、SAKIYOMIの代表である石川侑輝だった。石川が見ている世界は、もちろんSAKIYOMIの外側であり、投稿作成AIを外部向けとしてもローンチすることを僕に命じた。
つまり、生産性向上のフィールドを、社内から社外へと移せ、という新しいミッションだ。
何度も言うが、ChatGPTをインスタ活用しようとしている人がいれば、僕は全力で止める。それではインスタマーケティングは成立しない。インスタ運用のプロ SAKIYOMIと言われている僕たちが、それを身をもって実証した。
きっとこれから、インスタ運用に乗り出す人は増え続けるだろう。これも、自分たちSAKIYOMIへの問い合わせ数が増加し続けていることから、きっと正しい予測だと言える。
つまり、インスタ運用の需要は継続的に増え続けるのである。
そんな世の中が待っているからこそ、そこに無駄な労働が垂れ流され続ける様を、黙って見過ごしてはいられない。
より本質的で、より意味のあるSNS運用を誰もが実現するために、僕たちはこの投稿作成AIを世の中に広く届ける意義があると信じている。
インスタのプロが、ChatGPT信者に告ぐ。
ChatGPTはインスタ運用において、本質的な工数削減になりえない。ここでいう本質的な工数削減とは、伸びるコンテンツを持続した状態で、無駄な労働を削減できている状態を指す。
そのためには、あなただけのジャンルに特化した、あなただけの最強のメンバーを従える必要があるのだ。
それをSAKIYOMIは、外部提供することに決定した。
ぜひ興味を持った方がいたら、次のLINEに登録して、情報を待ってもらいたい。投稿作成AIに関する情報はもちろん、セミナー情報なども発信している。
セミナーに登壇しているのは、もちろん僕だ。
僕のこれまでの葛藤、失敗、そしてChatGPTではダメな理由を圧倒的な熱量で語り続けている。
別にもう、誰も同じ轍を踏む必要はない。すでに僕らが失敗した。
あなたのインスタ運用への挑戦が、成功体験へと昇華することを祈って。全てのSNSマーケターから、無駄な労働が解放される日を願って。
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