数列1(等差・等比数列、漸化式)
・この記事は高校で習う数列に関するまとめ直しである。
・誤植等がありましたら、コメントで教えてください。
1.1.言葉の定義とか
・数列とは文字通り数の列である。
・有限個からなる数列を有限数列という。例)1,2,3
・無限個からなる数列を無限数列という。例)1,2,3,・・・
以下、「数列」というときは無限数列とする。
・ある数列に対し、先頭から$${m}$$番目の数を第$${\bm{m}}$$項とよんで、$${\bm{a_m}}$$や$${\bm{x_m}}$$とかで表す。また、数列$${a_1,a_2,\cdots ,a_n,\cdots}$$を$${\bm{\{a_n\}}}$$と表す
(大学では$${\{a_n\}_{n=1}^\infty}$$や$${\{a_n\}_{n\in \mathbb{N}}}$$と表すこともある)
・一般の自然数$${n}$$に対し、数列$${\{a_n\}}$$の第$${n}$$項を一般項という。(人によって、または問題によって第$${n}$$項といったり一般項といったりする)
・また、第1項を初項という。
例)正の偶数を小さい順に並べた数列2,4,6,8,…の一般項(第$${n}$$項)は$${2n}$$である。
1.2.基本的な数列:等差数列、等比数列
1.2.1.等差数列
・数$${a}$$と$${d}$$に対して、$${a}$$に$${d}$$を足し、さらに$${d}$$を足し、…で得られる数列$${a,a+d,a+2d,a+3d,\cdots}$$を等差数列という。
(すなわち、等差数列とは隣り合う項の差がいつも$${d}$$となるような数列のことである)
・等差数列$${a,a+d,a+2d,a+3d,\cdots}$$に対し、$${d}$$を公差という。
例)先ほど登場した正の偶数からなる数列は、初項2、公差2の等差数列である。また、3で割ると1余る正の整数を小さい順に並べた数列1,4,7,10,…は、初項1、公差3の等差数列である。
問1:次の等差数列の初項と公差を求めよ。ただし答えだけでよい。
(1) 2,6,10,14,…
(2) 10で割ると3余る正の整数を小さい順に並べた数列
・等差数列$${a,a+d,a+2d,a+3d,\cdots}$$の一般項について考える。
第1項:$${a}$$、第2項:$${a+d}$$、第3項:$${a+2d}$$、・・・
・これを見ると、第$${n}$$項は$${a+(n-1)d}$$になると想像できる。実際、
第1項:$${a+(1-1)d}$$、第2項:$${a+(2-1)d}$$、第3項:$${a+(3-1)d}$$、・・・
となり、一致。
(のちに登場する数学的帰納法を用いると証明できる)
問2:次の等差数列の一般項を求めよ。
(1) 1,3,5,7,9,…
(2)2,5,8,11,14,17,…
(3)初項が2、公差が4の数列
(4)第1項が3、第2項が7の数列
(5)自然数を小さい順に並べて得られる数列
(6) 1,1,1,1,…
(7)等差数列$${\{a_n\}}$$に対し、$${a_2=4,a_4=10}$$
(8)等差数列$${\{b_n\}}$$に対し、$${b_{100}=302,b_{200}=602}$$
・注意:以上まではずっと初項$${a}$$も公差$${d}$$も正の整数の場合しか考えてなかったが、別に正の整数でなくてもよい。
問3:次の等差数列の一般項を求めよ。
(1) 1,-1,-3,-5,…
(2)初項、公差ともに円周率$${\pi}$$である数列
(3)初項が$${1+i}$$、公差が$${\frac{1}{2}+3i}$$である数列
問4(やや難):初項$${a}$$、公差$${d}$$の等差数列$${a,\cdots,68,b,74,\cdots}$$に対し、公差$${d}$$と$${b}$$を求めよ。
1.2.2.等比数列
・数$${a}$$と$${r}$$に対し、$${a}$$に$${r}$$をかけて、さらに$${r}$$をかけて、…で得られる数列$${a,ar,ar^2,ar^3,\cdots}$$を等比数列という。
(つまり、等比数列とは隣り合う項の比がいつも$${r}$$となる数列のことである)
・等比数列$${a,ar,ar^2,ar^3,\cdots}$$に対して、$${r}$$を公比という。
例)2の累乗で表される正の整数を小さい順に並べた数列1,2,4,8,16,…は、初項1、公比2の等比数列である。
問5:次の等比数列の初項と公比を求めよ。
(1) 1,3,9,27,81,…
(2) 5,50,500,5000,…
・等比数列$${a,ar,ar^2,ar^3,\cdots}$$の一般項を求める。
第1項:$${a}$$、第2項:$${ar}$$、第3項:$${ar^2}$$、・・・
・これを見ると、第$${n}$$項は$${ar^{n-1}}$$になると想像できる。実際、
第1項:$${ar^{1-1}}$$、第2項:$${ar^{2-1}}$$、第3項:$${ar^{3-1}}$$、・・・
となり、一致。
(これものちに登場する数学的帰納法を用いると証明できる)
問6:次の等比数列の一般項を求めよ。
(1) 3,6,12,24,…
(2) 1,-1,1,-1,…
(3)初項4、公比3の数列
(4)初項2、公比$${-\frac{1}{2}}$$の数列
(5)-1,-1,-1,-1,…
(6)等比数列$${\{c_n\}}$$で、$${c_3=18}$$、$${c_5=-162}$$
(7)等比数列$${\{d_n\}}$$で、$${d_3=1}$$、$${d_7=4}$$、公比は正の実数
(8) $${i,-1,-i,1,\cdots}$$
問7:初項$${a}$$、公比$${r}$$の等比数列$${a,\cdots,12,b,3,\cdots}$$に対し、$${r}$$と$${b}$$をそれぞれ求めよ。
問8:次の数列を(ア)等差数列でも等比数列でもない(イ)等差数列だが等比数列でない(ウ)等比数列だが等差数列でない(エ)等差数列かつ等比数列である、に分類せよ。
(1)負の奇数を大きい順に並べた数列
(2)一般項が$${a_n=\underbrace{11\cdots 1}_{n \text{個}}}$$で表される数列(すなわち、1,11,111,1111,…)
(3)一般項が$${a_n=2}$$で表される数列(すなわち、2,2,2,…)
(4)一般項が下のように表される数列$${\{a_n\}}$$
$$
a_n=
\begin{cases}
1+i &\text{if nが4で割って1余る数} \\
-1+i &\text{if nが4で割って2余る数} \\
-1-i &\text{if nが4で割って3余る数} \\
1-i &\text{if nが4の倍数}
\end{cases}
$$
1.3.漸化式
1.3.1.漸化式の定義と等差数列、等比数列の漸化式
・今までは数列$${\{a_n\}}$$に対し、$${a_n}$$を$${n}$$の式で表す一般項を考えてきた。
・今度は、第$${n+1}$$項$${a_{n+1}}$$を$${a_n,a_{n-1},…}$$と$${n}$$の式で表す漸化式について考えていく。
例)正の偶数を小さい順に並べた数列$${a_n}$$の漸化式は、$${a_{n+1}=2a_n}$$と表される。
例)$${a_1=1,a_2=1}$$で、$${a_{n+1}=a_n+a_{n-1}\cdots\ast}$$を満たす数列$${\{a_n\}}$$を考えると、式$${\ast}$$はこの数列の漸化式となる。また、この数列をFibonacci数列という。
問9:次の数列$${\{a_n\}}$$の漸化式(今回は$${a_{n+1}}$$を$${a_n}$$と$${n}$$の式で表されたもの)を求めよ。
(1)一般項が$${a_n=3n+4}$$で表される数列
(2)等比数列:$${1,\dfrac{2}{3},\dfrac{4}{9},\dfrac{8}{27},\dfrac{16}{81},\cdots}$$
(3)一般項が$${a_n=4n+3^n}$$で表される数列
注意)一般に、数列$${\{a_n\}}$$の漸化式だけが与えられても数列は特定できないため、多くの場合は初項と漸化式が与えられることが多い。
・次が成り立つことは、等差数列、等比数列の定義から明らかである;
(わからないという方は、今一度定義を見直してほしい)
問10:上を実際に計算することで示せ。すなわち、初項を$${a}$$としたとき、
(1)$${a_{n+1}=a_n+d\Rightarrow a_n=a+(n-1)d}$$
(2)$${a_{n+1}=ra_n\Rightarrow a_n=ar^{n-1}}$$
をそれぞれ示せ。
問11:数列$${\{a_n\}}$$の初項$${a}$$と漸化式が以下で与えられているとき、数列$${\{a_n\}}$$の一般項を求めよ。
(1)$${a=1,a_{n+1}=a_n+2}$$
(2)$${a=3,a_{n+1}=3a_n}$$
1.3.2.ほんの少しだけ複雑な漸化式
・この節では、漸化式$${a_{n+1}=ra_n+d}$$で与えられる数列$${\{a_n\}}$$の一般項について考える。
・$${r=1}$$の場合は、数列$${\{a_n\}}$$は等差数列である。
・$${d=0}$$の場合は、数列$${\{a_n\}}$$は等比数列である。
・$${r=0}$$の場合は、数列$${\{a_n\}}$$は$${d,d,d,\cdots}$$となる。
・では、$${r\neq 0,r\neq 1,d\neq 0}$$の場合を考える。
・ここで突然だが、$${\alpha=r\alpha +d}$$を満たす数$${\alpha}$$を与える。このとき、$${r\neq 1}$$であるから、$${\alpha=\dfrac{d}{1-r}}$$。
・連立方程式
$$
\begin{cases}
a_{n+1} &=ra_n+d \\
\alpha &= r\alpha +d
\end{cases}
$$
に対し、上式から下式を引くと$${a_{n+1}-\alpha=r(a_n-\alpha)}$$となる。これをよく見ると、数列$${\{a_n-\alpha\}}$$は初項$${a-\alpha}$$、公比$${r}$$の等比数列だとわかる。(ただし、$${a}$$は数列$${\{a_n\}}$$の初項)
・よって数列$${\{a_n-\alpha\}}$$の一般項は$${a_n-\alpha=(a-\alpha)r^{n-1}=\Bigl(a-\dfrac{d}{1-r}\Bigr)r^{n-1}}$$だとわかるので、以下がえられる。
・上の公式を使って一般項を求めてもいいのだが、上の公式を得るまでの計算過程を理解して使えるようになるほうが重要である。
例題)数列$${\{a_n\}}$$の初項が2、漸化式が$${a_{n+1}=2a_n-1}$$で与えられているとき、一般項$${a_n}$$を求めよ。
解法)漸化式は$${a_{n+1}-1=2(a_n-1)}$$と変形できる。(この式変形は慣れれば直感的にできる。慣れるまでは$${\alpha=\frac{d}{1-r}}$$を計算)
数列$${\{a_n-1\}}$$は初項2-1=1、公比2の等比数列であるから、$${a_n-1=1\cdot 2^{n-1}}$$、よって$${a_n=2^{n-1}+1}$$。
問12:数列$${\{a_n\}}$$の初項$${a}$$と漸化式が以下のように与えられているとき一般項$${a_n}$$を求めよ。
(1)$${a=2,a_{n+1}=2a_n+6}$$
(2)$${a=2,a_{n+1}=3a_n-1}$$
問13:初項4、漸化式$${a_{n+1}=4a_n-2^{n+1}}$$で与えられる数列$${\{a_n\}}$$の一般項を求めよ。ただし、わからなければ以下の誘導に従って考えよ。
(1)数列$${\{b_n\}}$$を$${b_n=\dfrac{a_n}{2^n}}$$で定めるとき、$${\{b_n\}}$$の初項と漸化式を求めよ。
(2)$${\{b_n\}}$$の一般項を求めよ。
(3)$${\{a_n\}}$$の一般項を求めよ。
以上。