冬空の音。の第二百九首
第二百九首
窓の外泣いているのは虎落笛
哀しく貴く美しく消ゆ
─── 音無桜花
2024.11.29.
体調が優れずに伏せっていました。
窓の外から虎落笛が聞こえてきます。
強い風が吹いていたようです。
昔ならば竹柵などで生じたであろう虎落笛。
今では電線に吹きつける風で耳にする事があります。
障害物の風下に発生する「カルマン渦」により生じる音なのだそうです。
条件によって様々な音を生じるようで、私は「この世の終末にあらわれた魔獣の咆哮」のような虎落笛を聞いた事があります。
夜の虚空にうねるように響き渡っていました。
今日の虎落笛は、悲しげな冬空そのもののような調べ。
細く高い音を悲しげに奏でて、どこかに消えていきました。