
Photo by
michisora7
椿、。の第十六首
のどかな春の陽気の一日。
山茶花が散り終えつつあるのに次いで、椿が散り始めています。
春の名を冠する花が散り始めて、いよいよ季節もクライマックスへ。初夏への移り変わりも遠い話ではなくなってきました。
四季折々の花が散る姿は、過ぎゆく季節への最後の挨拶のように見えます。
桜が大地を覆うように散る「花筵」と呼ばれる姿は、春のフィナーレに相応しいもの。
その一方で、梅や山茶花や椿が木を囲むように花を落とす姿にも風情を感じます。
今日は椿が日溜まりに花を落としているのを見かけました。
花の本来の務めを終えてなお、「散った後の美しさ」と「土へ還る役割」について、無言のままに表しているようでした。
第十六首
春に降る花の命は尽きてなお
その宿命の果てるときまで
─── 音無桜花
2023.03.19.詠
花の姿に耳を傾けながら