【気まぐれエッセイ】妬ましいあの娘の、本当の魅力
いつもあの娘ばっかりズルい。
あの娘だから許されるんだ。
あの娘と私は住む星が違うから。
そうやって人を妬みながら、いつも私は、肝心なところで一歩引いてきた。「涼しい顔で手に入れられないならいらない」そんな臆病であるが故のプライドの高さが、私の人生を邪魔していると、どこかでわかっていたのに。
私がずっと妬んできたあの娘が、実はちゃんと、欲しいものに手を伸ばし続けていることに、私は最近になってようやく気が付いた。
生まれてこの方ずっと人生イージーモード、みたいな顔して、本当は私よりずっと痛い目もみてる。美味しい想いと同じ分だけ、私だったら立ち直れないと思うようなひどい目にも遭ってきたのだろう。「それでも自分を信じる力」と言うとちょっと綺麗すぎるけど・・・もっと的確に表現するなら ”どんなときでも自分にとって都合のいいように解釈する力” を、あの娘は持っている。本人がそうだから、傍からはすべてが、キュートに軽やかに上手く回っているように見えるだけのこと。
あぁ、そうか。
私が本当に嫉妬してきたのは、あの娘の綺麗な顔や甘え上手なところなんかじゃなくて、その限りなく厚かましさに近い逞しさだったのだ。
ずーっと「あの娘ばっかりズルい」って、私は言い続けるの? そうやって年を重ねて、嫉妬が顔に滲み出た醜いオバサンに、私はなりたくない。
だったらもっと必死に掴みに行こう。恥をかくことを怖がらず、これからは私も、もっと全力で欲しいものに手を伸ばそう。そしてそれによって起こるすべての出来事を、自分にとって都合のいいように解釈してやろう。
そう決めた瞬間、思った。
もし今度あの娘に会っても、私はもうモヤモヤしないだろうって。
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