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KONAMIに対する風当たり-何故ネットではKONAMIに不信感が蔓延しているのか?-

偶には時事ネタでも取り扱ってみようかと思います。少し興味が湧いた事があったので。
ここ数日、TwitterではKONAMIとCygamesの訴訟が話題に上がっています。

ざっくり言うと
・Cygamesのウマ娘に対してKONAMIが特許侵害で訴訟提起を起こした
・損害賠償として40億円とアプリ差し止めを要求
・具体的に何の特許に対する侵害なのかはまだ未発表。ウマ娘が元々育成ゲームとしてパワプロシリーズに近いシステムと言われていたためそれ関係では?という意見が多いよう。(あくまで憶測であり、断定は危険)

といった感じです。これについては「訴訟されました。」くらいの話であるにも関わらず、KONAMIに対する風当たりは些か強い論調が見受けられます。
それは何で?って話を今回はしようと思います。

予め断っておきますが、この記事では僕の意見は極力言わないように記事を書こうと思っています。個人的にはKONAMIに対して擁護よりの意見を持っているし、批判意見に思うところもあるのでそういったニュアンスが含まれやすいです。ですがどちらかといえばこの記事で伝えたいのは「何故KONAMIに批判的な風潮があるのか」「KONAMIが権利関係であくどいと言われる原因は何なのか」といったことの理由の部分であり、批判者の糾弾は目的ではないことはご理解いただければと思います。

さて、KONAMIが良く権利関係でやり玉に挙げられるのは大きく2つあります。「申請された特許関係のトラブル」と「KONAMIのゲームタイトルに対する扱い」です。他にも大小ありますが、特にこれらは批判者からよく指摘される、或いは指摘されてきた点です。

まず1つ目の「申請された特許関係のトラブル」です。かつてKONAMIは2つの特許を保有しておりました。以下の記事が分かりやすかったです。

いずれもゲームシステムの根幹に関わる部分の特許であり、尚且つ画期的なシステムでした。裏を返せばこれは同じようなゲームジャンルで取りやすい手法で有ると言えるでしょう。
そして実際、KONAMIは特許権侵害で訴えています。また、CAPCOMの「モンスターハンター」等、他社製の3Dアクションでカメラワークが不評であった際にユーザーから権利関係でのKONAMIに対する疑いも有りました。いずれの特許も同じようなゲームジャンルではシステムの基礎部分に該当するようなことが特許内容に書かれていたのも、批判の対象になりやすい要因だったのかもしれません。言ってしまえばゲームの基本的な部分の特許を所有してライセンス料を否が応でも徴収したり、ライバルを積極的に排除できる立場に収まる、「利権屋」であるという主張がネットではしばしばあったのです。
但し、これらの特許は何れも1996~1999年のゲーム業界が黎明期であった時期に申請されたものであったことは留意するべきです。

寧ろインターネットで批判が多いのは2点目、「KONAMIのゲームタイトルに対する扱い」でしょうか。
2010年代、特に前半は日本のゲーム業界にとってはあまりいい時代とは言えませんでした。開発費の度重なる高騰とソフト売上の現象、更にはスマートフォンの普及によるゲームスタイルの大きな変革など、当時の各企業には重い負担が伸し掛かりました。日本物産、タイトー等の古くから続くゲームメーカーが倒産、吸収合併等を余儀なくされるなどユーザーにも大きな不安と悲しみを呼びました。
とりわけ、ハドソンの吸収合併は衝撃的すぎました。かつてはnamco、KONAMI、SEGA、任天堂等といった会社とも渡り合い、今は無きPCエンジンの急先鋒でもあった大手ゲーム会社の撤退を知った時の気持ちは、今でも言葉に出来ません。
そして、ボンバーマンや桃太郎電鉄を始めとした旧ハドソンのIPの多くはKONAMIに受け継がれることになりました。当時の経緯などを纏めて下さっている記事がありましたので紹介させていただきます。

しかし、この吸収合併と旧ハドソン開発メンバーに対するKONAMIの「仕打ち」がユーザーから反感を多分に買いました。この頃はインターネットの普及がかなり進み、有名なクリエイターが自由に発信するようになってくるなど、現在のクリエイターとユーザーの距離感が構築され始めた時期でもありました。そのため、旧ハドソンメンバーからの告発や苦言などがネットで話題になったのです。
とりわけ桃太郎電鉄の名物プロデューサー、さくまあきら氏は当時大きな波紋を呼びました。

彼の発言通りここから桃太郎電鉄シリーズは一度休止状態となり、2017年に任天堂から3DSで新作が発売されるまで一切音沙汰が無かったことから当時の混乱は容易に察することが出来ます。この一件を筆頭とした一連の騒動から、ユーザーから「KONAMIは自社IPやクリエイターを大事にしてくれない」という論調が大きくなっていきました。

更に騒動は続きます。2015年に当時KONAMIに在籍していた小島監督を巡るトラブルは国内外でユーザーから非難が集まりました。小島監督はKONAMIが持つIPでも熱狂的なファンが多いメタルギアシリーズの生みの親として知られ、更には当時話題を呼んだ「P.T」と、そこから続くSIRENTHILLの続編の制作にも携わっていました。それゆえに、彼の名前やスタジオの除名は先のハドソンの一件で既に反感を買っていたユーザーからのKONAMIに対する評価は更に大きく下がることになりました。今でこそ冷静な意見や小島監督に対しての批判など、様々な言説も多数見かけるようになりましたが、当時はネット全体でKONAMIに対する怒りが爆発していたのを覚えています。

そしてこれらの件から「KONAMIは権利ばかり主張し、ゲーム業界全体の発展を妨げている」「自社のIPもクリエイターも雑に扱い、平気で切り捨てる」というイメージが、ネットでは多く見られるようになっていったのです。ここまでの極端な思想は最近でこそなりを潜めたものの、ほんの5,6年前までは割と見かける主張だったと思います。またそこまで行かずとも、KONAMIに対する漠然とした不信感は未だにあると言えるでしょう。

今回のCygamesとの1件は、奇しくも「ウマ娘という比較的最近の人気IP」に「特許関連でKONAMIが訴訟を起こした」という状況であり、そういった不信感に再び火がついたからこそ、一部のゲーマーから「またKONAMIかよ」という反感を持たれたのでしょう。
しかし、特許侵害を訴えることそれ自体は正当な権利であり、また訴訟は始まってすらいないということを忘れてはいけません。不信感を持つのはある種仕方のないことです。しかし、今回の件は現在進行形であり、どちらの落ち度なのか、どういった事が起きているのか、外部からは何も分からない以上、冷静に見守るより他無いということは、忘れるべきでは無いのかと思います。
ごめんなさい結局感想を言っちゃいましたね。忘れてください。
今回の件は僕も大変興味深いと感じており、気が向いたら進展を記事にしてみようと思います。それではまた。


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