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日本の中高生へのお金の教育を考える⑥

続き記事です。前回はこちら。

さて、どう教えていくかについての、最後の切り口はこちら。

パッシブラーニング vs アクティブラーニング

です。講義を受けて学ぶのか、自分も発言して他者と議論を交わして学ぶのか。これも現在の教育の潮流だと思いますが、私もできる限り、後者を軸に置きたいと思っています。

特に僕が伝えたいことはWhy、How、Whatで言えば、Whyがメインなので必然的にアクティブラーニングが大事になるとも思っています。HowやWhatは本などでも学びやすいけれど、Whyは基本的に答えがないので、双方向の議論が必要です。

また、投資自体にも普遍的な正解がありません。人それぞれの歩みたい人生や価値観は違いますし、生まれた国や保有している資産も異なります。同じ人であっても、タイミングによって行うべきことも変わります。そして、テクノロジーや商品の進歩によって使える投資商材も大きく変わります。

僕もよく「ケイさん、何を買ったら良いですか?」といWhatを唐突に聞かれますが、超一般的なこと以外は答えられないんですよね。同様に「どのようにしたらよいですか?」というHowもそうです。まあ、個別に3時間ぐらいかけて、その人の人生観、家族構成、親族まで含めた資産状況について包み隠さず全開示をしてくれれば、何らかの良いアドバイスはできるのですが。

学生さんにおいても、基本は一般教科の勉強に時間を使うわけで、お金の勉強を学ぶなどは、数回あるかどうか。また、彼らが実際にお金の投資を始めるのは、明日や来月からではなく、早くても数年後、時には十年後です。となると、学生に教えるべきは、「長く残る記憶とすること」「後々に取り出せる知恵とすること」「移り変わりのない根本的なこと」が大事になってきます。テスト前だから覚えるが終わったらすぐに忘れてしまう的な教え方が1番ダメなのでしょう。

https://career-ed-lab.mynavi.jp/career-column/69/

という訳で、この表の下半分をなるべく増やす、というかそればかりで構成できるようにを大事にしておきます。いくつかお伝えしておきたいのは、

・現在の日本の中高生は、ディスカッション形式や参加型の授業に、普段からかなり慣れています。引っ込み思案で自分の意見を言えないような、ステレオタイプ的な日本人の学生像はかなり消えています。

・人数が多いからといってアクティブラーニングができないことはありません。少人数の方が効果が高いのは、パッシブでもアクティブのどちらのやり方でも同じですが、私は100人以上でもアクティブラーニングを提供しています。隣の人と横の人と議論してもらう、一部から全体に発表してもらう、違う意見を求める。指示に基づいてゲームをする、レポートでアウトプットをするなどなど、工夫しだいですね。

・リアルとオンラインについても、基本はリアルの方が効果が高いと思いますが、それはパッシブでもアクティブでも同じことです。ただ、オンラインであると、五感をフルで使って行うことが確実に難しくなるので、相性が良いとはお世辞にもいえないでしょう。VRゴーグルの普及などを楽しみに待ちましょう。

という点です。

という訳で、6回にも分けて長く書いてきましたが、以下の3つの切り口では後者に寄ったお金の教育を私は作っていきたいと思っています。

・管理教育  or 主権者教育
・シグナリング仮設 or 人的資本仮説
・パッシブラーニング  or  アクティブラーニング

一方、こんなことを私が言えているのも、教科書を作って試験を行ったり、資格試験を作ったり、講義をしたりを、多くの方が既に汗水を垂らしているからです(もしくはこれから垂らす)。前者・後者のどちらであろうと、生徒の能力を高めたい、社会をよくしたいという想いは同じですので、複数面から学生のお金の教育の厚みが増していくことが大切だと思います。

さて、次回からは何を教えるべきか、教えないべきかを書きます。ライフプラン表などは少し紹介しましたが、やっと本題でしょうか。

次回に続く

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