大型IPOのその後
2024年10月23日に東京メトロ(9023)が上場しました。
上場初日は公開価格1200円を大きく上回り、大商いを伴って上昇。
幸先の良いスタートを切りました。
東京メトロは昨年上場した楽天銀行以来の大型上場でしたが、
ここでは過去10年の大型上場企業の上場後~きょう(2024年10月24日)までの値動きを確認してみたいと思います。
まず昨年3月上場の楽天銀行(5838)
公開価格1400円に対し初値は1856円、2024年10月24日の終値は3005円
公開価格、初値を大きく上回っています。
昨年4月、瞬間的に安値1785円をつける場面はありましたが、その後は初値を下回る場面はなく堅調に推移しています。
まだ上場から1年半しか経過していませんのでここからが正念場。
次が少し間隔が空いて2018年12月上場のソフトバンク(9434)
公開価格1500円に対し初値は1463円で公開価格を下回りました。
ちなみに上場後に10分割していますので、分割後考慮で初値は146.3円。
ソフトバンクはコロナショック後の2020年9月に安値115.8円まで下落する場面がありました。
2024年10月24日終値は187円で初値は上回っていますが、昨年初頭までは150円付近でもみ合いが続いていました。
5年間で146円から186円ですので上昇幅は知れていますが、高配当銘柄ですのでずっとホールドしている方は報われています。
次が2018年6月上場のメルカリ(4385)
こちらは公開価格3000円に対し初値が5000円で、初日から大幅高となりました。・・・が、2024年10月24日終値は2120円。
公開価格、初値共に大きく下回ってしまっています。
2021年にはコロナショック後の巣ごもり特需期待もあって7390円まで上昇する場面もあったのですが、やはり期待ほど業績が伸びていないことが株価伸び悩みの要因でしょう。
次が2017年12月のSGホールディングスこと佐川急便(9143)
公開価格1620円に対し初値は1900円でしたが、こちらは株価を二分割しています。
分割後考慮で初値は950円、2024年10月24日終値は1480円。
2020年3月のコロナショック時に安値988.5円まで下落する場面はありましたが初値割れはなし。
2021年9月につけた高値3440円からは大きく調整しており、足元の株価も冴えませんが、高配当銘柄ですので上場からホールドしている方は報われています。
次が2016年10月上場のJR九州(9142)
公開価格2600円に対し初値は3100円、2024年10月24日終値は3952円。
上場から8年経って現在は初値を20%超上回っていますが、2020年8月に2055円まで下落する場面がありました。
鉄道株に関してはコロナショックでどこも傾きかけましたし、あそこでホールドするのは難しかったかも知れませんね。
次が2016年7月上場のLINE(3938)※現在は上場廃止
LINEは2020年12月19日付でZホールディングスとの経営統合のため上場廃止となっています。
公開価格3300円に対し初値は4900円でしたが上の月足チャートをみても分かるように初値をつけた後は同月に3855円まで急落しています。
2019年6月には安値2911円まで下落し、公開価格も割っていますが最終的にはTOB(株式公開買い付け)価格5380円とほぼ変わらずの5350円で上場廃止。
LINEは経営統合の話で救われましたが、それがなければ株価低迷は続いていたかも知れませんでしたね。
無配でしたし、上場期間はたった4年半ほどでしたが上場からずっとホールドするのは難しかったと思います。
最後は2015年11月に上場した日本郵政(6178)、ゆうちょ銀行(7182)、かんぽ生命(7181)の郵政3社。
月足を見て頂ければ分かりますが、3社の月足は殆ど同じ様な形状で殆ど同じ動きになっています。
来年で3社とも上場から10年経過しますが、日本郵政の上場来高値は上場後すぐの2015年12月につけた上場来高値1999円で上場来安値は2020年10月の714.7円
ゆうちょ銀行の上場来高値は上場直後の2015年11月につけた1823円で、上場来安値は2020年7月の785円
かんぽ生命の上場来高値は上場直後の2015年11月につけた4120円で、上場来安値は2020年3月の1137円
どの銘柄もコロナショック時に大きな試練がありました。
また、どの銘柄も9年経って初値を下回っています。
日経平均株価はこの3社が上場した2015年11月の終値が19747円。
日経平均が9年で2倍超上昇したのにこの3社は全て2015年上場時の初値を下回っているのはちょっと寂しいですね💦
ここで9銘柄取り上げましたが、初値を上回っているのは5銘柄。
メルカリと郵政3社の4銘柄は上場からかなり月日が経過しましたが初値を下回っています。
9銘柄のうち、上場後に一度も初値を割っていないのはSGホールディングス(9143)のみ。
楽天銀行(5838)は初値を少し下回る場面こそあったものの堅調に推移していますが、まだ上場から1年半ほどしか経過していません。
単に地合いの影響で堅調だっただけかも知れませんし、真価を試されるのはこれからでしょう。
きのう上場した東京メトロのIPOに当選した方が
「証券会社の方が2000円までは上昇するだろうと言ってた」
と言っていましたが既に2024年10月24日高値が1780円。
2000円までは10%ほどしか値幅がありません。さて、どうなるでしょうか?私は早晩初値は割るのではないかと見ています。
「寄らば大樹の陰」という諺がありますが、上で紹介した銘柄の成績を見ても決して好調だったとは言えません。
長期保有するならやはり業績と株価のチェックは欠かせないでしょう。
興味深いのはメルカリのケースです。
メルカリ、赤字続きでしたが経常利益、純利益はは着実に伸びています。
しかし、株価は低迷が続いています。
着目したいのは売上高の伸び。2016年~2020年辺りまでは年40%以上売上高が伸びていましたが2021年以降は鈍化が続いています。
やはり新興企業は成長性が株高の源泉ですので、利益よりも売上高の伸びを見るべきでしょう。
7月にここでとりあげたnoteも上場は2022年で若い企業ですが大型上場とは言えませんので、ここでは紹介しませんでした。
noteも業績は伸びてはいるものの株価は低迷していますね💦このまま低迷が続くかどうかは分かりませんが、いずれまたここでnoteの今後を考察してみたいと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。