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狐塚冬里
2014年6月12日 12:02
──雨が、降っている。夕方から降りだした雨は、深夜になってもぽつぽつと立ち去るのを嫌がるように降り続いていた。アパートの壁は薄く、寝室で横になっているにも関わらず雨音がよく聞こえる。目を閉じると空の下で眠っているような錯覚を覚えるほど、はっきりと。さすが築20年は伊達じゃない。雨にはあまりいい思い出がない。雨は、いつだって私の大切なものを奪っていく。幼稚園の時の遠足、小学生の時の登山
2014年6月3日 14:03
小さい頃から、人が何をしているのか気にするような子供だった。人の目が気になるとか、人と同じじゃなきゃと考えていたわけじゃない。むしろ、自分が浮いていても気づかないような気質だったくせに、ふと、みんなが何をしているのかが気になって不安になった。小学校から帰ったら、何するの?ご飯の時間まで何してるの?子供の頃は素直に口に出して、その度にみんなから「普通にしてるよ」と言われて首を捻っていた