『海のはじまり』のモヤモヤの理由
お彼岸を境に急に涼しくなり、夏ドラマが次々終わっていきます。
生方さん脚本の『海のはじまり』は、目を覆いたくなるような残虐なシーンもないし、露骨な意地悪場面もないし、安心して見ていられる穏やかなドラマ。海ちゃん可愛いし。
ただ、出てくる人出てくる人、いい人過ぎるので、逆に、辛辣な津野くんの登場にホッとしました。
初め池松壮亮を脇に持ってくる????とやや不満でしたが、あの役は池松くんにしかできない、池松くんならではの微妙で繊細な雰囲気がよく出ていました。
津野くん、好きです。
大竹しのぶさんも利重剛さんもよかったなあ。
さて、肝腎の中身ですが。
ドラマを見ていると、なんでこんな人と結婚するかなあ?とか、こんな人と最初から付き合わないでしょ!などという描写が出てきて、そのおかしな設定を前提として話が進むので、「だから!!そもそもこんな人と一緒にならないし!」が最後までついて回ってストーリーに入り込めないことがよくあるのですが、「海のはじまり」はよくあるそのパターンの逆パターンでした。
どうしてこんなに優しくていい人と、初めから一緒に子育てしなかったの?
産みたくなったなら、ひとこと「産みたい」と相談すればよかったのでは?
どうして何がなんでも、あんな嘘までついて、一人で産んで、夏に内緒にして、一人で育てたの?
その理由が全然わからない。
津野くんに、「どうして言わなかったの?」と聞かれても、そこは曖昧にぼかし、明確な意図は明らかにならなかった。
一人で産んで、一人で育てたことを後悔していない。
だけど、いざ自分が死ななければならないとなったら、夏くんに頼ることを考える。
勝手過ぎない?
自己満足じゃない?
その奔放さが水季ちゃんの魅力なんだろうけれど、自己満足で子供産むもんじゃないわ。
夏くんは大好きな水季に理由もわからず突然フラれて、恐らく水季を忘れようとしてつらい時期があったはず。
ようやく失恋の痛手を乗り越えて、弥生さんというたくましい恋人に出会えて将来も見えていたのに、突如、「あなたの子供です」って。
そういえば、大竹さん、最初から、「あの年頃の子供です。気付きませんでした?」とか言って、夏くんを責めるような口ぶりだったけれど、だって、逃げたわけじゃない、おろせと言ったわけでもない、むしろ「他の選択肢はないの?」とまで言っていたのに、なんで責められるわけ?
まずは「娘が勝手なことしてすみません」じゃないの?
夏くん、一度も言い訳してないしなあ。
突然フラれてつらかったも言ってない。
前提がおかしい。
夏くんなら、産む選択をしても、一緒に育てようと言ったはず。
夏くんのお母さんもお父さんも弟も、水季のお父さんもお母さんも、みんな協力したでしょう。
なのに、なんで、一人で勝手に決めて、勝手に産んで、一人で育てることにしたの?
どうしてひとこと夏くんに打ち明けなかったの?
そこがどうしてもクリアにならないので、結局、全話追いかけましたが、ずーっとモヤモヤもやもやしていました。
「テーマが大き過ぎたのでは?」という意見もありましたが、結果的には、「人はいつから親になるのか?」という、難しい、ある意味答えのない命題には近付けなかったように思います。
ちょっと不完全燃焼感のあるドラマですが、海ちゃんの演技力には脱帽。
本当にかわいかった!
目黒くんは朝ドラのシュッとした役もかっこよかったけれど、今回のような抑えたキャラも似合いますね。
まあ、やっぱり一番好きなのは池松くんかな。
池松壮亮最強。
いちいちセリフが鋭くて、ほんと見せてくれました。
「海のはじまり」が終わり、夏が終わる。
秋ドラマはどうなるのかなあ。
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