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テレビ番組「濱田祐太郎のブラリモウドク」感想/見えない彼が見た景色

初めに

2024年6月29日深夜から朝日放送テレビで「濱田祐太郎のブラリモウドク」が放送されている。こちらは以前紹介した「つまずく夜は」のディレクターが担当している番組で、同じ「ちょいバラ」枠での放送だ。つまり、関西以外でもTVerやAbemaTVで見逃し配信対応している。だが、あれからこの枠は変貌している。
この枠は去年の夏から体制が変わり、「ちょいバラトーナメント」と名前からにして対戦形式になった。全4回の15分番組を2種類同時期に放送して、視聴者はどちらの番組が面白かったのか毎週公式サイトで投票する。それを4週続けて、投票率が上回った番組が次のステージに進める。これを3回繰り返して、30分特番を放送してまた視聴者が投票した結果で優勝した番組はご褒美として1時間の特番が放送される。要はTBSラジオの演芸番組「マイナビ Laughter Night」のバラエティ番組版と認識すればいい。
実はこの番組のディレクターは過去にこの枠で過去にさや香メインの「石井ダンサーズのパーフェクトワールド」を放送していた。しかし対戦相手の「金属バットのダミ声ドキュメンタリー ガラガラGO」が手強くて初戦で惨敗、リベンジとして今回挑む。

番組の魅力

この番組がどんな番組かと言うと、全盲に近い弱視者で2018年のR-1ぐらんぷり王者濱田祐太郎が番組MCであり、藤崎マーケットトキが番組アシスタントと補助を担当している。そして、毎回ゲストが2人を自分が好きな街(番組内では推し街表記)で案内して街ブラをする。これだけ紹介すると類似番組が思い浮かぶかもしれないが、濱田でしか得られない発見や毒舌が楽しめられる。番組タイトルの「モウドク」とは、この意味も存在している。
そして、視覚障害者向けの解説放送も対応されており、TVerにも対応しているが後書きのような配信限定コンテンツも番組放送後に流れる。「つまずく夜は」も朝日放送ラジオで「つまずく夜は あとがき野村尚平」も放送されたので、それのショート版と理解してほしい。
尚、一般的に視覚障害者を補助するには補助者や盲導犬が当事者を引っ張る形で案内するが、この番組はあくまで濱田が主役なのでトキが後ろから支えている。ブラインドマラソンで伴走者はランナーを引っ張っていけないルールを、バラエティに転用したと認識してほしい。
そして、放送回の概要を紹介(執筆当時は最終回を迎えていないが、第3回が予告付きだったので分かる範囲で説明)。

  • 第1回…ゲストはエナマキシマグレン世紀、推し街は堀江

  • 第2回…ゲストはももまもる。、推し街は京橋

  • 第3回…ゲストはバッテリィズエース、推し街は新世界&天王寺

  • 第4回(最終回)…ゲストは翠星チークダンスちろる、推し街は不明

では、どんな展開が待ち受けているかというと福祉系番組ではなくバラエティ番組と気付かされる。番組開始まで街への不満を中心に取り上げられるのかと思いきや、実際は濱田が街ブラを楽しんでいる。その中で毒を吐くことはあるが、あくまでも他の芸人並みに収まっている。
この番組の主役は「視覚障害者の濱田祐太郎」ではなくて「ピン芸人の濱田祐太郎」であるが、収録における配慮の負担が多くなるのを私は理解している。だが、それは彼の活躍の機会を奪うのは差別に近いとも考えている。また、彼自身は福祉系番組との相性は悪く、過去にとある番組で不当な扱いを受けたらしい。

それはさておき、先程も申したが番組自体は緩いけれども、彼の見せ場を視聴者に送り届けている。第3回まで番組内で点字ブロックが見つからなかったり、初回ではとあるハンバーガー屋でクラフトコーラを作る時に素材の果実を嗅覚だけで判断するのが濱田自身が慢性鼻炎持ちで外したり、かと思えば第2回では上戸っぷりを見せつけたり、第3回は射的やボルダリングをサクサクこなしたりと何も出来やしないと思い込む偏見を払拭する展開が多い。この姿を是非とも視聴してほしい、今からでも全ての回を視聴するのは遅くない。
さて、トキは濱田を「お笑い座頭市」と称している。彼はそう言われることを受容しており、トキから濱田が実は見えているかもしれない行動に「見えているやないかい」と弄るのも同様。このやり取りは番組内に留まらず、プライベートでも見られる。このような距離感を成立するからこの番組は面白いと私は推測している。ゲストでも、初回のグレンは混血なので濱田と同じ画面にいると濱田が「スティービー・ワンダー」と称したり、第2回のまもる。は盟友でもあるのでトキと同じくらい接していたり、第3回のエースは天然キャラなので遊具の説明する際に濱田が見たことないもので紹介したりとコミュニケーションの差を味わうのも面白い。
教育的側面として、点字ブロックの有無や設置位置に触れたり、視覚優位の世界で濱田に説明するトキやゲスト達の語彙力や説明力の差を感じたりするのも勉強になる。

だが、対戦相手の「吾輩は芸人である。」も手強い。番組MCは銀シャリ橋本直と私立恵比寿中学安本彩花、毎回吉本総合芸能学院(通称NSC)を首席卒業した芸人に密着するドキュメンタリーを2人が鑑賞してコメントを残す。今回は両者とも面白いので投票しづらくなるが辛いのだ。
投票結果も第1回では「ブラリモウドク」が優勢だったが、第2回は「吾芸」が僅差で上回っている。TVerにあるいいねの数は「ブラリモウドク」が毎回上回っているが、この枠で大事なのは公式サイトによる投票だ。
これを読んで気になった方は、TVerやAbemaTVの見逃し配信で視聴した後に、下記リンクの公式サイトで面白かった方に投票してほしい、そこから見逃し配信へのリンクも対応されている。
私は濱田祐太郎の未来が明るくなるのを願う。

おまけ

実は濱田祐太郎に注目したバラエティ番組は過去にもある。MBS系「あれみた?」で何度も特集回が放送された。しかも、番組公式Youtubeチャンネルから見られるのはありがたい。是非とも、こちらも見てほしい。

そして、「つまずく夜は」が現在Amazon prime videoで配信されている。この機会にこちらも見てほしい。


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