あなたのお葬式は仏式?神式?仏式と神式の違いを解説【今さら聞けない葬儀マナー】
こんにちは、茨城県水戸市の葬儀社『橙縁社(とうえんしゃ)』です。
人が亡くなることは、非日常のことです。
しかし、人が生き物である限り、誰の元にも死は訪れます。
そして日本では、人が亡くなると葬儀を執り行い、故人を供養してきました。
また、人生の内で、そう何回も経験するものではありませんが、お葬式に参列した経験は誰でもお持ちではないでしょうか?
考えたくはありませんが、いずれあなたにも、人生一度きりのお葬式は行われます。
そんな時、あなたのお葬式は『仏式』ですか?『神式』ですか?
『お葬式に種類なんてあるの?』
『仏式は何となく分かるけど、神式って?』
実は、宗教や宗派などにより、お葬式の形式は変わります。
その中でも、日本伝統の形式として、
・仏式
・神式
の2つの形式を執り行うことが多くなっています。
そこで今回は、今さら聞けないお葬式マナーとして、日本の2大葬儀形式である『仏式』と『神式』の違いを、初歩的なポイントから紹介していきます。
あなたのお葬式は仏式?神式?仏式と神式の違いを解説【今さら聞けない葬儀マナー】
まず、簡単な『仏式』と『神式』の違いです。
・仏式 ⇨ 仏教 ⇨ お寺
・神式 ⇨ 神道 ⇨ 神社
『神道』とは、古来から日本にある代表的な宗教です。
昔は、神仏習合という考えから、神道の神々と仏教の仏は同じと考えられていました。
しかし、明治時代以降、神道と仏教は切り離されました。
現在、日本で行われる葬儀の大半は『仏式』です。
ですが、近年『神式』の葬儀を希望している人も、増えているようです。
仏式と神式での葬儀の違い
『仏式』と『神式』の違いが分かったところで、葬儀の違いにも触れていきます。
まず、大きな考え方の違いです。
『神道』では、死は穢れ(けがれ)と考えます。
死によって汚れた生活を清め、儀式によって清めることで日常に戻します。
仏教では、死を穢れと捉えることはありません。
それではここから、『仏式』と『神式』の葬儀の違いを、比べていきましょう。
仏式と神式の類似点の比較
1・住職と神官
2・通夜、葬儀の違い
3・焼香と玉串奉奠
4・線香と献米
5・読経と祝詞
6・死装束の違い
7・香典の表書き
8・御布施と初穂料
9・位牌と霊璽
1・住職と神官
お葬式の際、住職がお経を読み上げる姿を、ご覧になったことはあるでしょうか?
このような司式者にも、『仏式』と『神式』の違いがあります。
・仏式 ⇨ 住職
・神式 ⇨ 神官
2・通夜、葬儀の違い
一般的にお葬式と言えば、
・通夜
・葬儀、告別式
の流れが多いでしょう。
しかし、『仏式』と『神式』の違いは、その呼び方や式の内容にも至ります。
【仏式】 ⇔ 【神式】
・通夜 ⇔ 通夜祭
・葬儀、告別式 ⇔ 葬場祭
なお、ただ単に呼び方が違うだけではなく、式の持つ意味合いにも違いがあります。
ちなみに『神式』の場合、通夜祭の後に『遷霊祭(せんれい)』を行うのが一般的です。
『遷霊祭』とは、故人の魂を霊璽(れいじ)に移す儀式となっています。
3・焼香と玉串奉奠
お葬式の際、お焼香をしたことがあるかと思います。
しかし、『神式』の場合、玉串奉奠(またぐしほうてん)を行います。
・仏式 ⇨ 焼香
・神式 ⇨ 玉串奉奠
ちなみに玉串とは、榊(さかき)にシデという白い紙が付いたものです。
4・線香と献米
先程の焼香と玉串法典だけではなく、線香にも違いがあります。
・仏式 ⇨ 線香
・神式 ⇨ 献米
『献米』とは、読んで字のごとく、お米を献上します。
升を2つ用意して、米の入っている升から、入っていない升へと、一度お米を献上します。
5・読経と祝詞
『仏式』では、お葬式の時に住職がお経を読み上げます。
しかし、『神式』では祝詞(のりと)をあげてもらうのです。
・仏式 ⇨ 読経
・神式 ⇨ 祝詞
お経は、故人の冥福を祈る意味合いがあります。
ですが、祝詞は故人と共に、子孫の繁栄を祈る意味があります。
『神式』では、故人はその家の守護者となり、子孫を守ると言われており、『仏式』の読経とは若干内容が異なります。
凄く簡単に言えば、
・仏式 ⇨ 輪廻転生
・神式 ⇨ 神になる
と捉えてもらえれば、分かりやすいでしょうか。
6・死装束の違い
伝統的なお葬式の場合、棺に納める前に、死装束へと着せ替えをします。
『仏式』と『神式』では、
・衣装や小物
・意味合い
までもが違いますが、着物に着せ替えをしてあげます。
・仏式 ⇨ 仏衣(旅の衣装)
・神式 ⇨ 神衣
7・香典の表書き
お葬式の時には、当家の方に『香典』を渡します。
この香典の書き方にも、『仏式』と『神式』の違いがあります。
・仏式 ⇨ 御霊前
・神式 ⇨ 御玉串料、御神前
しかし、神仏混合の場合が多いため、『神式』で
・御霊前
でも問題はありません。
8・御布施と初穂料
司式者となる住職にお渡しする『御布施』。
この『御布施』にも、『仏式』と『神式』の違いがあります。
・仏式 ⇨ 御布施
・神式 ⇨ 初穂料、御榊料(おさかき)
また、『神式』で御神饌料(おしんせん)と書く地域もあり、一度葬儀社などに確認を取ってみるのがよいでしょう。
ちなみに、我々橙縁社(とうえんしゃ)がある水戸では、
・初穂料(はつほ)
が一般的です。
9・位牌と霊璽
仏壇などに、先祖代々の『位牌』があるご家庭もありますよね。
この位牌も、『神式』の場合『霊璽(れいじ)』になります。
・仏式 ⇨ 位牌
・神式 ⇨ 霊璽
位牌も霊璽も形は違えど、御霊が宿り、故人の霊を祀るものなので、丁重に扱いましょう。
神式の通夜祭、葬場祭の時の注意点
ここまで、『仏式』と『神式』で意味合いが近いものを、比べながら紹介しました。
ここからは、『仏式』のお葬式とは違う、『神式』ならではの特徴を踏まえつつ、注意点を紹介していきます。
数珠は使わない
お葬式の参列者の中には、『数珠』を持参している人が沢山います。
しかし『神式』の場合、数珠は使用しません。
神式のお葬式では雅楽が流れる
これは、『神式』のお葬式を体験した人しか、イメージが湧かないことでしょう。
『神式』では、
・神官の入退場
・玉串奉奠
の際には、雅楽(ががく)を流します。
ちなみに『雅楽』とは、1200年以上の歴史を持つ、日本の古典音楽であり、世界の古典音楽としても、海外で高く評価されています。
自宅の神棚に神棚封じを
自宅に神棚があるご家庭がありますよね。
神棚は、本来『神式』のもので、神仏習合の日本では、『仏式』の家庭でも飾られることがあります。
もしも人が亡くなった時、神棚に白い半紙を貼って、神棚を穢れから守ります。
半紙は、家族ではなく、第三者に貼ってもらいます。
祭壇には神饌物を供える
『仏式』の場合、祭壇にお供え物をします。
『神式』も同じようにお供え物をしますが、
・神饌物(しんせんぶつ)
という、決まった物を供えます。
『神饌物』とは、神に供える食べ物の総称です。
酒、米、水、塩、魚、鳥、海藻、野菜、果物
などを供えるのが一般的です。
この中でも『お米』は、御洗米と言って洗った状態でお供えします。
・素材のままの供え物 ⇨ 生饌
・調理した供え物 ⇨ 熟饌
と言われていますが、祭壇のお供え物は、生饌が基本となります。
ちなみに、我々橙縁社(とうえんしゃ)のある水戸では、
・水、酒、塩
・御洗米
・海の物
・山の物
・果物
を基本的な神饌物として、祭壇にお供えしています。
神式のお葬式は葬儀社選びをお早めに
インターネットでの紹介サイトが、年々増えています。
それは、葬儀業界でも一緒です。
ここで、一つ問題が生じます。
なかなかない事だと思いますが、紹介サイト経由で葬儀社を選んだ場合、もしかすると『神式』の葬儀に慣れていない会社かもしれません。
葬儀社で働いている立場からすると、普段施工している葬儀では、
・仏式9割 ⇔ 神式1割
ぐらいの割合でしょうか??
いや、もっとも『仏式』の割合が多いですね。
つまり、『神式』の葬儀は、基本的に少ないのです。
そのため、新しい会社や件数の少ない会社は、『神式』に不慣れな可能性があります。
最後に
今回は、今さら聞けないお葬式マナーとして、日本の2大葬儀形式である『仏式』と『神式』の違いを、初歩的なポイントから紹介しました。
お葬式は、故人のためのものです。
ですから、故人の意思に従って行いたい訳ですが、家系や家族、地域の風習などで、お葬式の形式は変わります。
一般的には、『仏式』のお葬式に参列することが多いでしょうが、『神式』もお葬式に参列する機会もあるはずです。
そんな時、何も知らずに恥をかく事なく、丁重に故人を送り出してあげるためにも、『仏式』と『神式』の違いを、頭の片隅に入れておいて下さい。