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史上初!姫路城「西小天守特別公開」

 言わずと知れた世界遺産・姫路城。白亜の国宝天守はあまりに有名です。

 姫路城の天守は、複数の建物が連なった「連立式天守」という形式です。ひときわ目立つ「大天守」の周りに、三つの小さな天守が付属しています。西小天守、東小天守、乾小天守です。

左が西小天守

 天守の建物群のうち、大天守はいつでも入場可能、東小天守や乾小天守は定期的に特別公開されていました。しかし、西小天守はこれまで公開されたことがありませんでした。

 2024年2月、世界遺産登録30周年を記念し、西小天守が初めて公開されたため、訪問してきました。

 天守を構成する建物は、高所からの見張りや攻撃、すなわち櫓としての機能を持ちます。西小天守も例外ではありません。

 天守の内部は迷路のようで、自分の現在位置を把握するのにも苦労します。大天守を見学した後、乾小天守から「ハの渡櫓」を通り、西小天守に入ります。

 西小天守からの眺めです。合戦時には西から敵が攻め上ってくると想定されており、西小天守は防御の要と言えます。

 西小天守は三重で、地上三階・地下二階となっています。最上階には武者隠しと呼ばれる空間が見られます。これは、やはり攻撃が想定される西を向いています。

 鉄砲を撃ちかけるための「狭間」も、西を向いています。なぜこのような造りになったのか、必ず理由があるのです。

 一方、東には味方側となる大天守がそびえているので、外をうかがう必要はありません。それゆえ、明り取りの小さな窓があるのみです。

武器をかけるための突起もみられる

 敵を小さな空間に引き入れる桝形構造も、上から見ることができます。

 西小天守の内部は、一見すると地味な空間にしか見えません。しかし、よく観察するとどういう意図をもって設計されたのかが少しずつ掴めてきます。

 ちなみに、筆者は何度か姫路城を訪れていますが、それでもまだ見ていない部分が残っていました。城址公園の外側の市街地にも、堀や石垣が残っているため、一日で回り切るのは不可能なのです。今回の訪問では、東側に残る堀跡も見学してきました。

東部中濠
総社門跡

 破壊を免れた遺構が多く、何度訪れても見飽きることのない名城なのです。

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