かあさんの畑の思い出
村の家には畑があって、3区画くらいに大まかに区切っていて、手前の方には、いつも食べる菜物などを作っている。トマト、キュウリ、なす。季節には大根やゴボウ、ニンジンなど。
あと、豆は必ず。おたっぁん豆と呼ぶ、おばあちゃんが探してきた豆を作り、毎年次の年の種を確保していた。豆は高くなるので、手(竹のぼっこ)を組み合わせて棚を作る。中に人が入れるくらいの高さで、私も収穫させてもらったことがある。人手があるときは楽しいくらいのことだが、収穫期はいっぺんにできてしまうので、畑専業くらいの労働量だ。
奥の方には南側にジャガイモを4列くらい作っていた。そして、北側にはシャラだかシャガだかの薬草を一列。あとは花畑。主に仏様に上げる花。
それでも、市場で気に入った球根があるとなんかかんか買って、上手に咲かせていた。
かあさんは、川の方に畑を借りていた。隣は馬飼いの人の土地だった。牧柵はあるけど、自由に動けるから、大きな馬が近くまで寄って来てふんふんしてくれることがあった。牧場の人がいるときは餌をやらせてくれることがあって、つい、探してしまう。馬は高価だから、他人が勝手にどうこうしてはいけないのだ。ウィルスの関係でそばに寄るのもダメな季節があるみたいだ。
脱線した。
そう、かあさんは川の傍に、傍と言っても、河川敷ではなく、堤防の陸地側だから、まぁ、近くに、くらいの感じか。堤防は、私の身長の3倍くらいの高さで、舗装されていない道路(砂利敷)が通っている。
こっちの畑は、家の隣りとは比べ物にならないくらい広くて、こっちはとうきびとかジャガイモとかを作っていた。
春にとうさんが機械で耕し、畝を切る。
そこに、ジャガイモとか、長い期間かかる作物を作って、冬前に室にしまう。仕舞う分(冬中の食料)を作るったら、容易でない。
堤防の坂の下に、グジャグジャの所があって、溝かな?排水路になっているみたいだった。雨のときとか、堤防に降った水がそこにたまって、下流に流れ、畑に余計な水が入らないようになっていた。
かあさんはその堤防にかぼちゃを這わせ
「これがほんとの土手かぼちゃ」
と言っていた。
1本の蔓にたくさんならせないよう、花を間引いていた。
家畜用のかぼちゃを作っているおじさんは、産業祭用に大きなカボチャを作っているそうだ。
「かあさんはやらないの」
と聞いたら、
「たぁいへんなんだから」
と言って笑った。子どもを世話するように育てているのだそうだ。