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映画『ラストマイル』 | 一生懸命仕事をすることの尊さと儚さと難しさ

子供が産まれ、映画館に行くことがなくなって早数年。
姉がうちの長女を姪っ子(姉の子)の学校の文化祭に連れて行ってくれるということで近くの駅まで送った帰りに映画『ラストマイル』を観ました。


「(長男は)俺が見ておくからあなたは映画見て来ていいよ」と言ってくれた夫よ、有難う。
久しぶりに映画館で自分が見たい映画を見ました!
楽しかった〜!!!


ポップコーンムービーにしたいと監督たちが仰っていたということで、イオンシネマでポップコーンとドリンクのMサイズを購入。


で、びっくりしたんですけど、ポップコーンのMサイズってあんな巨大でしたっけ?
最近イオンシネマとかTOHOシネマとか行ってなかったんで、Mサイズのポップコーンの大きさにビビりましたた。昔はよく1人で映画館行ってたんですけど、最近は1人で行くこともないので1人用セットの予想外の大きさに恐れ慄きました。


うわ、これ絶対1人で食べきれないだろ……でも残すのもよくない……
とよくわからない食い意地と正義感で席に座ると同時に猛スピードで食べ出す私。基本的には映画がスタートしたら映画に集中したいので、映画の予告編中が勝負と思っているのですが、流石に予告編中には食べ終わらず、映画の中盤くらいでなんとか食べ終わりました。(←結局食べ切ってる)


と言うことで、「こんな量食べきれないよ!」と心の中で少食ぶって騒いでいたにも関わらず、無事にポップコーンを食べ終わった映画『ラストマイル』のあらすじはこちら。

ブラックフライデー前夜、届いた荷物は爆弾だった――
日本中を震撼させる4日間。

11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?
決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?

公式サイトより一部抜粋


既に興行収入は40億を超える大ヒット作となっている映画『ラストマイル』。
社会の課題に向き合いつつ、次々と起こる爆破と怪しい人物たちに最後までハラハラドキドキできる、まさにポップコーンムービー。社会性もメッセージ性も高いのに、エンタテイメント性もしっかりあって、商業映画として成功させてるのすごいですよね。


でも、めちゃくちゃ楽しんで見れつつ、どうしたって映画を見た人に「それ」は残ります。
権力に抑圧されて苦しむ末端の人々、下請けスタッフたちの姿、自分たちもそのことを見ないふりをしていること、送料0円を当然のように思ってしまうこと、本当に「お客様のため」と思っているか、その仕事が自分の心を少しずつ壊している可能性。


見終わった後「楽しかったね!」と言い合える映画でありつつ、見た人の心に「それ」は確実に残り、言葉にはならなくてもそっと考えるようにできていることに感嘆しました。



『ラストマイル』に出てくる人たちは、本当に、なんだかみんな切なくなるくらい必死に生きています。心に何かを抱えつつ、自分の仕事にどうにか誇りを持とうとしている姿は見ているこちらの胸が痛くなるほどです。


映画では、大手外資ショッピングサイトからの理不尽とも思える過度な要求を突きつけられて疲弊する下請け配送会社の社員やスタッフの苦悩が描かれていましたが、その苦しみは抑圧する側の人間にものしかかります。


配送料を極限まで下げるのは会社の利益のためではなく「お客様のため」、爆発物があるかもしれなくても配送を止めないのも会社の利益のためではなく「お客様のため」だし、薬の配送が遅延しても販売を中止しないのも会社の利益のためではなく「お客様のため」。
自分でも「おかしい」と感じるものに、どうにかこうにか理由をつけて正当化して、その仕事を実行する。自分のキャパを明らかにオーバーしても、「お客様のため」の理念に沿って頑張る。


頑張る。頑張る。頑張る。頑張る。頑張る。


自分に言い聞かせる。


私ならできる。やれる。やるしかない。
頑張る。頑張る。頑張る。頑張る。頑張る。


頑張る。


そうして、自分を騙して仕事を頑張りすぎた結果、心が壊れてしまうこともある。


会社でも、精神的な理由から長期的に仕事をお休みしている人は大勢います。
私のそばにも何人かいました。
でも私は何もできなかったし、今も何かできる気はしません。
少しでも居心地がいいと思って欲しくて話しかけたり、負荷がかからないようにしたり、その人の仕事を本当に尊敬していたのでそれについて話してみたりしたことはあります。

話していると明るくて元気そうにも見えるので、もしかして大丈夫かな、これからしばらく会社に来てくれるかな、と淡い期待を持ったこともありますが、結局そうなったことはありません。その人たちは休みから復帰できず、いつの間にかその人たちがいないことも日常になっていきます。


心を壊してまでしなければいけない仕事なんてない。それは断言できます。
でも、じゃあどこまでだったら心が壊れないかもわからない。
頑張らなくていい仕事なんてないし、頑張って仕事する中で、どこからが自分の限界の先なのか、頑張りすぎということになるのかもわからない。


仕事は生活する上で必要なものだし、やりがいもある。
次々と起きる問題に対処するエレナ(満島ひかり)はかっこよかったし、エレナ自身もアドレナリンが出ていて、困難に立ち向かうことはある種の達成感もあったと思います。


けれど、心が仕事に壊されてしまうこともある。そして誰かの心が壊れたとしても、それは別の誰かが補填をし、会社は止まることなく成長し続ける。まるで、心が壊れてしまった人なんて最初からいなかったかのようにその人の不在に慣れる。壊れてしまった人が「人より弱かった」と片付ける。


その、仕事のやり甲斐や尊さ、自分がやらなければいけないという責任感とプレッシャー、でも本当は自分にしかできないことなんて存在しないという儚さと難しさ。


頑張りたい、という気持ちを持って働くその人を守れる会社や社会であってほしいと思います。



さて、この映画の見どころでもあった『アンナチュラル』と『MIU404』にも繋がるシェアード•ユニバースですが、この2つのドラマの登場人物たちの登場の感じ、ちょうどよくなかったですか?ちょうどいい絡み具合!ちょうどいい登場時間尺!


『アンナチュラル』も『MIU404』も好きだったので、また2つのドラマの登場人物たちに会える機会があったらいいなぁ〜と思います。


『ラストマイル』では心が壊れてしまった山崎さん(中村倫也)ですが、どうしてもNHK『Shrink―精神科医ヨワイ―』で中村倫也くんが演じていた精神科医の弱井先生の姿がチラついて、ああ、弱井先生と出会えていたら山崎さんもこんなことにならなかったかもしれない……と頭の中で勝手にシェアード•ユニバースしておりました。


岡田将生くん、ずっと好きです。
ずっとかっこいいまま、色んな姿を見せてくれるから嬉しい。


ちなみに、数年前に、時短で仕事を終わらせて、保育園にお迎えに行き、子供たちにご飯を食べさせ、寝かしつけた後にまた仕事を再開して深夜まで業務する、という生活を続けていたらある日突然腰が痛くなり、そのうち足まで痛くなり、一時歩けないほどの不調に見舞われました。
時短なこともあって、どうにか迷惑をかけずに頑張りたい、時短以上の仕事をしたいと思って無理をしていましたけど、やっぱり無理のしすぎはよくないと身に染みました。ほんとに。若くないですしね。
人間、体も心も健康が1番大事です!
それ以降は、やれるとこまで頑張って、それでもダメだと思ったら「これ以上は無理です!」と上司に伝えるようにしてます。(深夜残業は会社的にNGになったので最近は健康です)


自分の体を1番大事に、明日も一生懸命お仕事頑張りましょう!


おしまい。


NHKのドラマ『Shrink―精神科医ヨワイ―』もよかったですよね。もっと見たかった!


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