不登校先生(37)
一度、大きく息を吸って、深呼吸をする。
決断したことを伝えることは、やはり緊張しているようだ。
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「おはようございます、ととろんです。今診察が終わりました。」
「おはようございます、ととろん先生。具合はどうですか?」
「眠りが取れないのがひどくなっているので、薬の量が少し増えました。」
「そうですか、、、きついですね。」
「はい、すみません。それで先日の件についても相談したのですが、やはりまだ専門医面談ができる段階じゃないと主治医の先生に言われました。」
「はい、確かに。ではキャンセルしておきますね。」
「すみません。あと校長先生。今後のことなのですが。」
「心配ですよね。病休は90日までなので、その後復帰がまだ長引きそうな場合は、休職という形になります。その場合は、月に二回診断書を提出することになりますが、継続して、療養扱いになります。ただ、その場合は復帰は年度内にこちらの小学校でということになります。」
「ですよね・・・・。そのことを考えていました。」
「はい、ただ、先生の状況については、そうなりましたら皆さんにきちんと伝えて復帰訓練の間の配慮も最大限サポートしていきますので」
「本当にお気遣いありがとうございます。ただ、やはり、年度内に今の小学校での復帰は、自分自身がきついなと思っていまして。」
「なるほど、ではどういう方法があるかを調べて…」
「いえ、校長先生、そこまでしていただくのは申し訳ないです。ですので、考えたのですが。」
「いえいえ、気にされないでください。で、考えたというのは?」
「はい、7月半ばで病休が終わったら、昨年度の年休を振り替えて7月いっぱい休ませて頂き、7月末日で一度退職したいと思っています。」
「・・・・そうですか。そうですね。まずは療養を大事に考えたほうがいいですね。分かりました。ととろん先生の希望がかなうかどうか調べてなるべく希望に沿うように取り計らってみますね。」
「重ね重ねお手間をかけてしまい申し訳ありません。」
「お気になさらず、まずは回復に専念されてください。」
「本当にすみません。」
「いえ、では来週の月曜日もお電話待っていますね。」
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どこまでも寄り添い気遣ってくれるこの校長先生に、
これ以上見通しのないご迷惑をかけるわけにはいかない。
6月最後の月曜日、僕は、退職を申し出た。
↓次話
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