みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(11)
「あー、楽しかったぁ。」
お楽しみ会の二日目、お楽しみ会に時間目が終わり、
子どもたちは冬場とは思えないほどの汗をかいて、
白い蒸気を立ち昇らせながら、教室に戻っている。
「しっかり水分取っておきなさいよ。」
そう言って僕はいったん子ども達の変える方向とは別の方向へ足を進めた。
2時間目のお楽しみ会も、上手に進めていて、非常に盛り上がっていた。
ケイドロというと、鬼ごっこが派生したような遊びではあるのだけれど、
やはりケイドロは十分に広い運動場と、遊具や植木などで隠れられる場所があることが、
遊びそのものの楽しみのレベルを段違いに上げてくれる。
子ども達の中には、45分ほぼ走り回っていた子も数人いるだろう。
追いかけられる方も追いかけるほうも、
冬の肌寒いくらいの気候は、全力で動くいはちょうどいいようで、
予定していた3回戦を、時間いっぱい満喫することが出来たようだ。
15分+5分の休み明けも、子ども達は自分たちで決めた、
教室レクの進行チームの指示をよく聞いて、
みんなで楽しむをやり切ってくれるに違いない。
そう確信した僕は、この中休みの間に、僕から子ども達へのお楽しみレクの準備を始めた。
「フルーツバスケットを3回戦した後は、なんでもバスケットにします。」
進行係達は、お手製の果物カードを配りながら、子ども達に伝える。
みんなで楽しむという気持ちが同じ方向に向いているからだろう。
椅子取りゲームもシンゲンチも、ばくだんゲームも楽しそう盛り上がった。
そして最後のフルーツバスケットも、子ども達は各々のキャラクターを出して、
みんなでレクを楽しむことが出来ているようだった。
「あー、また座れなかったぁ。」
と、ワザとに罰ゲームをしに行くKくん。
あっという間に3ペナで、真ん中で一芸披露で、
変顔をするも大いにスベって、すべったことが大うけになって満足そう。
絶対に真ん中で一芸なんかするもんかと、必死に椅子に座るTさん。
「ここは俺が先に座った!」「いや、俺が先やったし!」
と、大声の割に、揉めるのを楽しんでいるようなⅠくんとSくん。
そんな一つ一つのプチアクシデントを、みんなの笑い声が包んでいく。
この子たちが自分たちで考えたお楽しみ会は、最初から最後まで、
みんなが笑顔でいられるそんな時間の3時間だった。
「それでは、これで6の4のお楽しみ会を終わります。では、先生から一言。お願いします。」
と、進行さんは会の講評のような事をこちらに振ってきた。
「えー、はい。話し合いの時から、みんながみんなで楽しむための会にするにはどうしたらいいか、それを意識して今日の大成功まで来たのが素晴らしかったと思います。」
パチパチパチ、と拍手が鳴る。
さぁ、今度はこちらが子どもたちを喜ばせる番だ。